Thursday, March 5, 2009

パスタで腹一杯、バッドニュースも腹一杯


NYダウ6600ドル下回る。

今日もいちにち、気分が真っ暗になる相場展開であった。

ムーディーズがJPM、ウェルズ、バンカメら大手米銀の格下げに動きだしたのと、GMの監査人が「破綻の可能性もあり」と書いたことで、しょっぱなからズズーンン・・・。

金融株はどれもこれも一割下げ。「ルーザー株」の筆頭シティグループなんて、今日の取引でついに1ドル以下。

$1ですよ、$1。かつて世界最大の銀行だった会社が、ですよ。

アメリカでは宝くじが一枚5ドル。株式営業部の新米営業マン小浜君でも、「宝くじ1枚分でシティ5株買ってお釣りきますよ!」とは、さすがに言えない雰囲気に包まれている。

新聞を読んでいても、明るいニュースを探すのが大変。っていうか、明るいニュースがみあたらない。

小売のウォルマートが予想以上に業績がよかったということで朝は上がっていたが、後場にはまたズルズル落ちた。

どこかに明るい話は転がってないのかーっ!

意地になって探したら、こんな会社がありました!

   ★   ★   ★

下のチャートは、過去3ヶ月間の某社の『相対株価』である。(3ヶ月前の株価を基準としたとき、3ヵ月後の今どうなってるか、というグラフ。)



この3ヶ月で、S&P500は20%近くも下落した。それに対し、この会社の株式は、3ヶ月前から120%近くも上昇しているというんである。

この会社の名は「アメリカン・イタリアン・パスタ・カンパニー(American Italian Pasta Company)」、全米最大のドライパスタのメーカーである。

今年1月2日末がQ1だったこの会社の四半期決算を見てみたら、トップラインの売り上げが前年同期比で4割増、コストも上昇したものの増加率を比較的低く抑えて、営業利益7%増。

バランスシートの方もみてみたら、営業利益の増加が当期利益の増加となって株主資本に厚みができ、長期借入金の返済に充てて、バランスシートの構造も、より健康的になっている。

ここ一年ほど、業績発表の時期がめぐってくるたびに、営業利益がマイナスになっちまった損益計算書だの、資産に時価調整加えたら実は株主資本がマイナスになっちゃうバランスシートだの、そういうグシャグシャに壊れた財務諸表ばっか見せられてた当方としては、このAIPCというカンサスの小さな会社の

【バラの香りを運ぶそよかぜのような財務諸表】

を前にして、一瞬まぶしさで目がくらみそうになった。

カンサスの田舎の、従業員600人の小さな会社だが、純粋に売り上げ増とコスト調整で業績あがってる・・・いまどき、こんな会社があったとは・・・。(感涙)

業績絶好調の理由は簡単、アメリカの一般家庭が外食を控えるようになり、食卓に安くて腹いっぱいになるパスタ料理が乗っかる頻度が高くなったから、である。

2006年のデータなので少々古いが、世界の国民一人当たりの年間パスタ消費量のデータがあった。

1位は当然、ダントツでイタリア(28kg)。その後、ベネズエラ(13kg)、チュニジア(11kg)、ギリシャ(10kg)、スイス(9.4kg)と続き、米国は一人当たりの消費量年間9kgで世界6位。(データ元:UN.A.F.P.A.←欧州パスタ製造業者協会、とでも訳すのか。)

(ちなみに日本人は1.7kgで、ランキングではずっと下で、「そんなにパスタを食べない国民」であるらしい。)

しかし、イタリア人、一年間にひとり28キロもパスタ食べるのか?!?

さすが本場ですわねぇ。感心しててどうする。

アメリカのパスタ消費量、2006年で9kgだったわけだが、2008年はどれくらい食べてるんだろう。

AIPCの四半期業績詳細を見ると、売り上げ増に寄与した要因としては、プライス効果が4割超、ボリューム効果が2割弱だった。スーパーで売ってるパスタの値段があがったという要因が大きいが、食べてる量そのものも、やっぱり増えている。

ということはですよ、毎年1割から2割ぐらいアメリカ人のパスタ消費量が増えていると仮定して見積もってみると、2008年には、アメリカ人はひとり年間12kg近くのパスタを食べてる、という推計になるな・・・ へぇえ・・・

・・・と、自分で持ってもいない会社のデータ見て計算機叩いているおのれの姿が、なんとなく哀しい。

明るいニュースを探そうとやっきになるのは、完全に「現実逃避」モードだから。

毎日毎日悪いニュースばかり聞かされて、バッドニュースでも腹いっぱい。

そうだ、今日のわが家の晩御飯は、パスタにしよう。

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