「豚インフルエンザ」のせいではない。
ホワイトハウス関係者のボケのせいである。
今朝午前10時、2001年のテロで崩壊したワールド・トレード・センターが建っていた場所のすぐ横っちょの上空を、ボーイング747型旅客機が、米軍のF16戦闘機に追いかけられるようにして、低空飛行してきた。(写真はニューヨークタイムズの記事から)
旅客機がビルのすぐ近くにグーンと近づいてくるのを窓から見ていた地域のオフィス従業員達はみな、8年前のテロを思い出し、パニック起こしてウワーーーーッ!とオフィスを逃げ出して、周辺の高層ビルからはワサワサと人が路上に出てきた。泣いている女性もいたらしい。一部の金融機関では、トレーディングフロアから一時トレーダー達も避難させたところがあるという。
10時すぎ、この騒ぎのせいで、ダウもS&P500もナスダックも、インデックスはいっせいにガクンと下がった。
ニューヨークのブルームバーグ市長も、何が起こってるのかわからず、シティホールには強い緊張感が走った。
ところが・・・
これ、ホワイトハウスがアレンジした「エアフォース・ワンの写真撮影会」だった、というんである。
NY市警に木曜日遅くEメールで簡単な連絡が入ってたらしいんだが、ニューヨーク市長はじめ、市の交通局も、付近の空港の管制塔も、お隣のニュージャージー州の関係者も、だれも、この演習について直接連絡を受けていなかった。
市長も管制塔もパニック!
その後真相を知ったブルームバーグ市長は記者会見開いてカンカン。(←当たり前。)
ニューヨークシティの高校から豚インフルエンザの患者が20人も出て、それでなくてもクソ忙しいってのに、エアフォース・ワンの写真撮影会・・・って、あんた・・・。
しかもね、よりにもよって、ワールドトレードセンターの崩壊現場を写真撮影会の場所に選ぶって、ホワイトハウスよ、あんたら、【鈍感】【無神経】と呼ぶにもほどがあるよ。
ホワイトハウスの関係筋は午後になってから、「謝罪文」を発表した。
オバマ大統領、就任100日目にして、部下の不始末でテロ騒ぎ。わたしがオバマなら、これの責任者を即日クビにするけどね。
★ ★ ★
さて、豚インフルエンザである。
今朝、マーケットが開く前にCNBC局の番組を見ていたら、アメリカ人のキャスターが「フジャボー」「フジャボー」と連呼している。
「フジャボー」って何のことだ?とよく聞いてみたら、日本の医療用マスク製造会社「富士紡」が豚インフルエンザ関連銘柄として東京市場で株価が急上昇したと言ってると、ようやくわかった。
「フジャボー」・・・ま、発音ばかりは、しかたないですからネ・・・。
こちら米国市場でも、今日は、「豚インフルエンザ関連銘柄」として、豚肉を扱う食肉会社や航空会社が軒並み値を下げた一方で、バイオテクノロジー会社「ギリアド(Gilead)」(ティッカー:GILD)が値をあげた。
GILDは、スイスの医薬品大手ロシェが製造するタミフルのロイヤルティ(特許権)を持っているアメリカの会社である。そう、日本で「自殺者続出の嫌疑」をかけられたことで有名な、あのタミフル。日本で「タミフル」と「自殺者」の因果が一時マスコミ上で大問題になったのは記憶に新しいけれど、日本であれだけ大騒ぎしてたのに、こちらのメディアではほとんど話題にもならなかった。
この会社のかつての会長はブッシュ政権で国防長官を務めたラムズフェルド。同社の理事にはジョージ・シュルツ元国務長官とカリフォルニア州知事だたピート・ウィルソンの妻が名を連ねていた。これらは『米国陰謀説』が好きなひとたちの間には良く知られた話。
シュルツは同社のタミフルが品薄で株価が急上昇した2005年に700万ドル相当のギリアド株を売って現金化したことで一部で話題になり、ラムズフェルドも同年推定時価500~2500万ドル相当の同社株を売却しようとし、法的・倫理的な問題が生じないかどうか、法務省やSEC等に打診したという。これら公的な法務機関はラムズフェルド個人の株の売買に対して公的意見を提供するのをためらったため、ラムズフェルドは個人的に証券法専門の弁護士に相談し、その弁護士から「いま多額の売買をして多額のキャピタルゲインを得るのは、不必要に世間の注目を集めることになるから、いまは目立たないように何もしないほうがよい」というアドバイスを受け取り、そのまま株主として保有することにした、という報道も当時あったのを覚えている。
今日現在、ラムズフェルドがどれほどGILD株を個人的に保有してるのかは知らないが、まだ持っていたとしたら、ラムズフェルドはさらに儲かってる、ということであるな。
このGILDという会社は、以下の2点で特筆すべき会社だろう。
ひとつは、ラムズフェルドやシュルツに代表されるように、「政界とのコネクションに異常に長けている」という点。これほど政界と太いパイプを持ってる会社って、そう滅多にあるもんじゃないと思うな。
ラムズフェルドは2001年にブッシュ政権の主要閣僚となる際に、同社の会長職は退いているけれど、ギリアド社の製品はラムズフェルドらが作る太い政界パイプをつたって、米国政府御用達の会社になった。たとえばタミフルなどは、米軍の軍人用薬品というくくりでペンタゴンに大量に納められているし、日本政府もタミフルの大量買占めに走った。こうなると、バイオ株というより政治株、であるな。
もうひとつは、この会社の「過去10年の株価パフォーマンスは、過去10年で1400%成長した」という点だ。
10年で1400%ですよ、1400%! しかも恒常的に安定的に上昇トレンド、である。
薬品株やバイオテク株はもともとボラティリティの高い種類の株だけど、安定的に1400%となると、その他もろもろのバイオテクノロジー株とはレベルが違うでしょ。そんな小型株、あっていいのか。
GILDとNasdaqの相対株価でチャートにすると、ナスダックのインデックス(グラフ中赤線)がペッタンコになるくらいでして・・・。
世界貿易センターのテロも『あれは米国の陰謀だった』みたいな話に飛びつくひとは少なくない。しかし、筆者は、あの手の陰謀説は、安手のSF小説読んでるみたいで、正直言ってつまんないし、まったく興味がない。
政府関係者が私腹を肥やすために世界戦争を意図的に引き起こし・・・みたいな話を聞くと、「リスクとリターンの関係でみると、それってリスク高すぎ/リターン低すぎで成り立たないでしょうが。その程度のリターンでいいなら、なにもそこまで大掛かりなことしなくたって・・・」とすぐに思ってしまうんである。
それよりも、GILD株が今後、どういう動きをするかのほうが、よほど興味深い。
過去3年のパフォーマンスで見ても、Nasdaqインデックスが3割下がってるのに、GILD株は6割も上昇してる。この株、インデックスをアンダーパフォームしたことがほとんどないんである!
筆者は、バイオ関係やテクノロジー関係は畑違いで情報に疎いほうなので、どうやったら、GILD株みたいなチャートを長期で描く成長小型株をみつけられるのか、どなたか、そっと教えてください。(笑)
政界に知り合い作るってのも、ひとつの案かしらね・・・。
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