Thursday, March 25, 2010

【備忘録3】続・豪州の住宅バブル

今年1月1日に、『豪州の住宅バブル:スフレは2度膨らむか』というエントリーを書いた。

オーストラリア経済が住宅価格上昇に牽引されてきたこと、同国のレバレッジ水準が米国のそれに近いことなどを紹介したが、あれからほぼ3ヶ月、オーストラリア経済はその後もなかなか堅調で、住宅価格は引き続き上昇しているらしい。

久しぶりにSteve Keen教授のブログを覗いたら、豪・米・日の住宅価格の比較のグラフがあったので、備忘録として張っておく。(上のグラフが名目、下がインフレ調整後)




米・日・豪のインフレーションの過去20年の推移は、ついったー上で非常にわかりやすいグラフを紹介頂いたので、それも忘れないよう、ここに張っておく。(2000年=100)(Thanks to @kazzmar)




これを見ると、過去20年間、米国とオーストラリアとでは、インフレーションはピッタリ寄り添うように推移したことがわかる。

ところで、キーン氏のブログサイトに寄せられた読者のコメントを読んでいるうち、以下の文章にあたり、筆者はギョッとした。

And that Australia’s record high level of debt is of no concern, because, well, this is Australia and we’re different.

「豪州の過去最高の負債レベルは懸念するに値しない。なぜなら、ここはオーストラリアで、われわれは他国とは違うのだ。」

「我々だけは違う」- このメンタリティが豪州の人々の間に蔓延しているとすれば、筆者としては、ちょっと怖い。右肩上がりが続くはずというのはバブルに酔ってる人間がみせる典型的な態度であって、借金を積み上げ続けて問題が生じなかった国は過去にないからだ。

しかし、豪州には依然として強気のエコノミストが多いらしく、キーン氏の悲観論は、同国では「Controversial」というラベルを付されているらしい。

2010年の後半、豪州経済がどんなことになっているのか、このエントリーを思い出そうと思う。

    ★   ★   ★

ところで、まったくの余談だが、キーン氏は昨年のグローバル金融危機の真っ最中に、豪州経済の経済成長に楽観的だったマッカリー証券のエコノミストRory Robertsonと口論になり、「2009年中にオーストラリアの住宅バブルは破裂すると賭けてもいい!」と発言してしまった。

しかし、住宅価格は2009年を通じて11%以上も上昇し続け、キーン氏は賭けに負けた。

賭けに負けた代償として、氏がやることになっているのは何と、キャンベラから徒歩で出発しコジオスコ山(標高2228メートル)の頂上まで登山するというのだ。

全行程224kmのハイキング。

さすが、オーストラリア大陸のエコノミスト達、やることもスケールでかいな。(笑)

だが、キーン氏が224kmもの距離をひとりぼっちで「負け犬」よろしくトボトボ歩くと思ったら、大間違い。

なんと彼は、Keenwalk.com.au というサイトを作り、「オーストラリアの住宅価格がクレイジーだと思っている同志たちよ!私と一緒にコジオスコ山まで歩こう!!」と呼びかけてるんである。

しかも、ただ歩くんじゃなくて、彼の意見に同意する人たちから募金も集めて、オーストラリアのホームレスのために寄付しようというプロジェクト。

さらには「キーンと歩こうオリジナルTシャツ」まで作って、一枚21豪ドルで売って、その売り上げもチャリティに向けるという。

このTシャツのデザインが実に可笑しくて、胸に、

“I was hopelessly wrong on house prices. Ask me how”

という文字が書かれ、それに対して

  • Timing
  • Our Debt Bubble
  • Government manipulation of the market in the form of the First Home Owners Grant.

のいずれかがグラフィクスで書かれているというんだから笑える。

このチャリティ・ウォークには、キーン氏の意見に賛同するエコノミストらがすでに何人も申し込んだそうだ。一般のひとも、もちろんKeenWalk.comでレジストレーションの手続きをして参加できる。

224kmの壮大なハイキングは、来る4月15日、いよいよ開催。参加者は例のTシャツを着込んで、キャンベラの議会前に午後2時に集合。「オーストラリアの住宅価格はクレイジー!」と訴えながら、最終日23日まで歩き続けるそうである。

遠くから、陰ながら、キーン氏を応援したい。(笑)

6 comments:

Anonymous said...

笑える。がんばれキーンさん。

Anonymous said...

キーン氏の見解も正しそうですし,また無意味に強気なAU市民がいることは確かにバブルっぽいですね.でも経済規模も人口も小さい資源国なので,中国経済の尻馬にうまく乗って,あと数年は行っちゃう感じがしてます.

Anonymous said...

アメリカと違って日本や中国と近いですからね。金持ちのセカンドハウスとして買いやすいですよね。借金もアメリカほど多くないですし資源もある。アメリカがバブルはじけたから次はAUって言ってもこればっかしはいつはじけるか予想するのはなかなか難しいので、、、

Gen said...

こんにちはgshibayamaです。前にも指摘したけどSydney、Melbourne、Adelaide、って世界の不動産割高度ランキングで2/3/4位になっているくらい割高なんですよね。何かのきっかけど、ドドドって落ちるんでしょうね。

http://bit.ly/9WaFmy

Anonymous said...

カッコよすぎwwww

Anonymous said...

はじめましてこんばんは。

中国経済の減速が囁かれる中、RBAが利下げをしましたが、現状の豪州経済(特に住宅バブル)について一言お願いします。