Tuesday, January 12, 2010

消費世界一まであと10年「中国消費者サーヴェイ」

今年成人になられた皆さん、おめでとうございます。気持ちも新たに誓いを立て、未来に羽ばたいてゆかれたことでしょう。

で、MHJ筆者のほうだが、2010年はもっとサクサクとブログ更新しようと年初に誓ったはずなのに、生の情報がどんどん流れてくるツイッターが楽しくて、そっちのほうで遊んでばかりいたら、前回のブログポストからすでに10日経ってしまった。

ファニーとフレディの財務内容についても、すぐに続きを書かないでいたら、何書きたいと思ってたか、すっかり忘れちまった。ウンウン唸って思い出そうとしているうちに、新しい四半期報告が出てきそうな。。。(汗)

鉄は熱いうちに打て。

頭に浮かんだらすぐに書け。(それでなくても年のせいで忘れっぽくなってるんだから。)

ツイッターの140文字に入らないようなやつは、ツイッターでダラダラいくつも書き繋げるより、ブログに書いたりまとめたりしてゆこうかな、と思ってます。

   ★   ★   ★

さて、前回のMHJで、オーストラリアの昨年のサクセスストーリーは、政府の家計への借金奨励策が牽引した結果だ、という現地のエコノミストの分析を紹介したが、そのオーストラリアの住宅ローン市場、すでに失速の雰囲気。

Australian Dollar Weakens After Home Loans Fall More Than Seen
(Bloomberg, 1-12-2010)

(以下記事より抜粋)
The number of loans granted to build or buy houses and apartments in Australia dropped 5.6 percent from October, when they declined a revised 1.9 percent, the statistics bureau said. The median estimate of 19 economists surveyed by Bloomberg was for a 0.5 percent decline.

豪州統計局によると、新築の家やアパート向けに認可されたローン数は、1.9%減だった10月からさらに5.6%減。19人のエコノミスト予想のメディアン値は0.5%減だった。

いま、豪州に強気でいる人は、そのココロは4ヶ月連続で求人が増えた、そして、なによりも「中国頼み」だそうでして。

   ★   ★   ★

で、その中国である。

中国では、不動産投機の動きが目立ってきているようで、政府は引き締めモードに突入。

China Raises Banks’ Reserve Ratio to Cool Economy (Bloomberg, 1-12-10)

筆者も、ツイッターで「賃貸相場はここ数ヶ月で15%+の感覚。元旦早々からマンションを買う気・借りる気・転がす気満々の人の波にびっくり。春節は凄そう」という現地からのアネクドータル報告を頂戴した。

2010年の住宅ローンのオリジネーションは前年比で40%減になりそう(MBA予測)という米国の状況と、えっらい違いである。

中国すげーな・・・と唸ってるところに、クレディ・スイス香港から今日(12日)付けで出された、ちょっと気になるプレスリリース。

Credit Suisse survey shows Chinese consumer spending jumps

このリリースは、クレディスイスが中国で行っている独自調査『China Consumer Survey』の結果をまとめたものだ。

中国人の旺盛な消費は加速しており、このままでゆくと、2020年には中国の個人消費は15.94兆米ドル、全世界の消費の23.1%を占めて米国を抜く、と同社は見込んでいるという。(2009年の段階では1.72兆米ドルで、グローバルシェア5.2%。)

クレディスイスから日本語訳がすでに出てるかもしれないけど、見つからなかったので、Murray Hill Journalに拙訳で箇条書きしてまとめておく。

サーヴェイから浮かび上がった、6つのポイント:
  1. リッチはよりリッチに
  2. 貧困層とミドルクラスも生活は豊かに
  3. 中国人は以前ほど貯金しなくなっている
  4. 不動産市場の急激な変化
  5. 高額商品購入がブレイク?
  6. 国内ブランドへの信頼高まる

   ★   ★   ★

1.リッチはよりリッチに
  • 2004年からのトップ10%の高所得家庭の収入増加率(255%)は、低所得家庭の増加率(50%)を大きく上回る。
  • 高所得家庭の家計収入全体に占める割合は、2004年の24.3%から35.7%に上昇。
2.貧困層とミドルクラスも生活はより豊かになっている
  • 高所得者層の増加率には及ばないものの、貧困層(ボトム20%)とミドルクラス(40~60%をプロキシーにみなす)の収入増加率も伸びは大きく、2007年以降は特に顕著。
  • 2004年から2009年のミドル層の平均収入は98%増。低所得層は、おそらく農地の利益増の間接的な恩恵を受けて、50%増。
  • 長期的な消費者市場の発展の妨げになるとすれば、労働力が供給過多のために給与の上昇が困難になること。
3.中国人は以前ほど貯金しなくなっている
  • 預貯金と投資に振り向けられる額が収入に占める割合は2004年の26%から2009年には12%まで減少。2008年以降にその傾向が加速。
  • 現時点では、減少分はモルゲージ支払いや賃貸に振り向けられている。
4.不動産市場の急激な変化
  • 賃貸住宅や持ち家に住む人の数が増加し、親から譲り受けたり社宅住まいをしている人の数は減少。
  • 初めて家を買う人の需要が、買い替え需要を上回る日は近い。
5.高額商品購入がブレイク?
  • 自動車保有比率は2004年の12%から5年後の2009年には28%に倍増。
  • 自動車の価格は年々下がっているにも関わらず、自動車購入に充てる予算は増えている。
  • 1970年代の日本の例に習えば、経済急成長下にある中国の都市部での自動車保有率は2015年ごろ50%を越す可能性。
  • 大型LCD-TVやノートブックといったビッグチケットアイテムへの興味が高まっていることもサーヴェイから裏付けられた。
6.国内ブランドへの信頼高まる
  • 海外ブランドは、とりわけ高額商品・ラグジャリー商品・ハイテク商品の分野において以前強いが、国内ブランドへの消費者の信頼も全般に高まっている。
  • 動きの速いコンスーマー商品(例えば食料や飲料)では、海外ブランドと国内ブランドに対する消費者の意識はほぼ同等。
  • 通信・インターネット・旅行などの消費者サービス分野では、国内の会社が圧倒的に強い。

   ★   ★   ★

中国のコンスーマー・マーケットはすごいことになる、というのは、自分もボンヤリ感じていましたが、「2020年に米国を抜く」という予想に目をみはり、2020年までたった10年しかない、という事実に気づき改めて感じ入る。

あの911のテロが2001年だもんなぁ。つい昨日のことのように思うんだけど。

ところで、ぜんぜん余談だけど、昨日、日本語ニュースを読んでいたら、こんな記事を見た。

シャープ:タイ工場増強、東芝は中国の販売店1.5倍、白物家電-日経

1月12日(ブルームバーグ):12日付の日本経済新聞朝刊は、国内電機大手が相次いでアジアでの白物家電事業を強化すると報じた。シャープは70億円を投じてタイ工場を増強し、東芝は中国の販売店網を2010年度中に1.5倍に拡大するという。三菱電機や三洋電機も東南アジアの富裕層向けに主力製品を投入し、成長するアジア市場を取り込む。

アジアでの白物家電事業・・・ね・・・。

MHJ筆者は日本のメーカーについてはほとんど調べたことがないのでよくは知らんけど、「米国の典型的な一消費者」として観察してきたことを述べると、日本の家電メーカーの多くは北米市場で明確な経営戦略をほとんど持たず、2000年代に入ってからの住宅ブームと持ち家のリフォームブームがアメリカで起こりハイエンドの白物へのニーズが高まっていたにも関わらず、その機会を全くつかむことができなかった、と筆者は思う。

一方、サムソンやLGなど韓国勢はHome DepotやLowesなどのミドルクラス御用達量販店と販売契約を結んで、住宅ブームの最中に流通販路でいきなりフロントランナーとして飛び出してきたという感がある。

最初、サムソンやLGなどは、白物のブランドイメージとしては欧州勢にかなわなかったし、価格帯も欧州勢よりずっと低い層でプレゼンスを拡大していたが、住宅需要にかげりが出て、消費者の価格に対するセンシティビティも強まったこともあり、ハイエンドの価格帯の分野から消費者が降りてきてて、そこでもサムソンの準ハイエンド商品をチラホラ見かけ始めるようになっている。

ま、現在は、米国の消費全般が落ちてるし、一台2000ドルも3000ドルもするガスレンジや冷蔵庫がガンガン売れるような地合いではないですがね。

だとしても、この10年で、韓国勢は米国の消費者のニーズに合う商品を揃えて、ホワイトグッズ市場で【信頼できるブランド】として、シッカリ足場を固めたという印象が、(少なくとも筆者には)非常に強いな。

シクリカルな波がまた来たときには、韓国勢は「主力メンバー」の一角として、きっとアメリカの消費市場にいること間違いなし。

日本勢はそういう韓国勢の動きとは対照的に、その間、商品投入もなかったし(多分、北米は将来なしと見込んで経営資源を切っていたせいだとは思うが)、白物の分野では、ブランド認識もプレゼンスも衰退の一途。テレビやカメラなどは別として、日本メーカーの家電というと、ここではハッキリ言って『ローエンド』『高級住宅にはステータス低くてちょっと置けない』の扱いに成り下がった。ってか、商品自体、どこにも見かけない、といったほうが正確。

日本メーカーの家電は、世界最大の消費マーケットで、韓国勢に完全なる負け戦を演じた。

上の記事では、成長たくましいアジアの消費市場でハイエンドでの食い込みを狙う、ということらしいが、韓国勢は北米でシッカリ練習積んだからね。上のサーヴェイでは、中国人の国内メーカーへのブランド認識も高まっている、というではないか。

向こう10年のアジア市場での競争絵図は、かなりキビシそうな予感・・・。

健闘を祈る。


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