2010年9月29日 『マクロ低迷下でミクロ企業体にはバイバックの好機到来』
2010年10月1日 『米国の事業会社はCash Hoarders』
2010年12月19日 『サルでもできる芸当、その後』
株式買戻し(Share Buyback)なんぞ、積み上がったキャッシュの使い道にクリエイティビティ発揮できない経営陣がやる常套手段、すなわち、「サルでもできる芸当」だ、ということでありますが、その「サル芸」がその後どうなったか。アップデートは、こちらのグラフをどうぞ。
Source: Clusterstock
2011年の第一四半期は、期中の買い戻し額が$100bnを超え(グラフがスティープになっていますね)、今四半期に入っても買い戻しのペースは落ちておらず、ここ数週間で再びバイバックが活発化。
ニュースをいくつか拾ってみると、大物企業のバイバック・プラン、目白押しである。
Disney quietly approves US$16-billion share buyback
(5/16/11, Financial Post)
Tyson Foods' Board Reactivates 22.5M-Share Buyback Program
(5/12/11, Wall Street Journal)
Kohl’s Strong Cash Flow Allows Accelerated Share Buybacks and Dividends
(5/12/11, Morningstar)
Disneyのように積極的な買戻しを発表しても全然株価に反映されずに無視される寂しいケースもあるわけだが、米企業は実際、事業キャッシュフローは潤沢で、Kohlのようにバイバックと並行で負債も減らしている会社はあるわけである。
このペースでバイバックすると、フロートしている株式数は年間5%以上減少するようなんだが、企業株アナリストはこの要因をモデルに反映していないのでEPSの見積もりは15%は低すぎだ、と言ってるマネージャーもいる。
しかし、上のグラフで、もうひとつ気になることは、4月の終盤に米企業債の新規発行がグーンと伸びた時と、シェアバイバックのペースが一気に早まった時が、タイミングを同じくしてる、という点。
企業債のクレジットスプレッドのタイトニング・トレンドは続いていて、ジャンク債市場は引き続きブイブイ。Kohlのように負債を減らすところもあるが、むしろ安いクレジットを利用して借り入れを増やし、それを元手に株式買戻しをやってる企業もいるらしい雰囲気である。
企業のレバレッジは上がっている、あるいは、ここから更に上がる可能性あり、ということである。
(小声で)その割には株価は今四半期からイマイチ覇気がないんだがな・・・
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キャッシュの使い道といえば、先日、マイクロソフト(MSFT)がスカイプをキャッシュ・ディールで買収して話題となった。
Microsoft Dials Up Change:CEO Ballmer Defends Hefty $8.5 Billion Price Tag for Internet-Phone Firm Skype
(5/11/11, Wall Street Journal)
こちらは$8.5bilという「お値段」が市場で嫌気されて、あまり好感されないディールになってしまったけど、マイクロソフトのキャッシュポジションについて、$8.5bilキャッシュで払った後もMSFTにはうなるほどキャッシュあるよ、というモルガンスタンレーのコメントがあったので、ついでに紹介しておく。
Morgan Stanley Comments On Microsoft Cash Growth
(5/16/11, Benzinga)
モルスタのアナリストによると、MSFTのキャッシュ残は09Q4から10Q3の期間中$20.7Bnから$50.2Bnに増加した。スカイプ買収に使った$8.5Bnを差し引いても、同社のキャッシュポジションは依然高水準で、業務キャッシュフローもきわめて潤沢。パッとしないMSFT社の株価は、長期的な戦略モデルが見えないのと、投資家はもっとアグレッシブなキャピタルリターンを欲している様子。
彼らの意見としては、MSFT社が取るべき方策のうち、低リスクの選択肢としてはレバレッジを上げ、配当率を4%に上げ、年間$60億ドル規模のバイバックにコミットすること。M&Aもむろん選択肢にはあげられるが、それはハイリスクだろうというのだ。
マイクロソフト社の長期財務戦略がどうなるかはともかく、ウォール街のメンタリティは確実にレバレッジ嗜好に向っている。
筆者としては、企業債新発が単にキャッシュ・リッチな状態で盛んに「サル芸」的にバイバックしていたフェーズから、意図的に高レバレッジへ移行している過渡期にいるようにも感じるのだ。
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