Sunday, October 18, 2009

銀行4社3Q決算の印象雑記

大手銀行4行の3Q決算が出ましたね。

実は、バンカメ決算が出る前日の15日に、前回のMHJ記事本文の後に続く【コメント欄】にて、銀行決算に対する自分なりの「第一印象」を、かなりはしょって書いたんです。(15日10:42にポストされた筆者のコメントです。)

以下、そのコメント欄に書いた内容と一部重複するが、今回の4行決算をみてて、どんな【印象】を受けたかを、自分で忘れないうちにここにメモしておきたい。

I. まずは、「投資銀行業務」について。

● JPMの好成績は、GS同様、インベストメントバンキングとFICC(債券・為替・コモディティ)部門の市場での相対的な強みが収益として現れた結果となったが、M&A増が見込まれるインベストメントバンキングの手数料収入についてはともかく、FICC部門が今後どれほど収益貢献を継続できるかは、両者ともに未知数。

● GSのFICC部門の3Q収益は、2Qから12%減となったが、主因は為替とコモディティでのトレーディング益の減少によるもので、金利およびクレジットについては3Qも比較的よかった模様。ただし、市場に流動性が戻るにつれてアービトラージ機会が減少していっているはずで、クレジットスプレッドが低下すると利鞘も縮小してくるのが常なので、FICC、とりわけクレジット部門での収益持続性はやや疑問あり。(「収益の持続性」については、4月15日付けMHJ記事『ゴールドマン1Q09決算について雑感』を参照。GSのクレジット・リスクテーキングについては、7月17日付けMHJ記事『{続}ゴールドマン強し!(商業銀行ステータス、さっさと返上しろよな)』参照。)

● ただし、GSの場合は、プレスリリースを読むだけだと、2Qで損失を出したモルゲージの仕組債の分野で、今回は結構なリターンをあげたという印象をもった。それが単なる値洗いによる収益増だったのか、実際にフローを作っての収益増だったのかは筆者は確認しようないけど、4Qの注目材料となりそう。というのも、複数の知り合いから最近、CMBS(商業不動産の仕組み債)の分野で動きがあるというウワサをチラっと聞いたから(←これも、具体的に何がどうかってのは未確認)。これまでのパターンとして、停滞ぎみだった市場が動き出すときに収益機会を誰よりも早く上手くつかむのがGSという会社の「お家芸」でもあるので、4Qのストラクチャード市場の状況次第では、4Qの数字に影響与える可能性があり、ひきつづき注目したい。


II. 次に「商業銀行業務」について。(←GSの出る幕なし。GSよ、さっさと商業銀行ステータス返上しろ!)

● 一方の商業銀行業務の分野では、JPMもBACもCも、(1)住宅、(2)住宅以外のコンスーマー、(3)ビジネス、すべての融資分野で不良債権がどっちゃーと増えた。毎期どんなに引当金を積んでも、翌四半期にはそれがみな吹っ飛んで新たに積み直しという状態に置かれているのが透けて見える。融資プールの「質」は劣化が続いているし、これからも当面続く、という印象強し。

● 融資の「質」の劣化が続いているという点については、JPMの3Qプレゼンテーション資料の17ページに、いいグラフがあります。個人向け融資4部門 - ①ホームエクイティ、②プライム、③サブプライム、④カード ― の延滞トレンドのグラフが4つ並んで載っており、いまだに劣化トレンドが止まる様子がないことが見て取れる。これはJPMに限ったことじゃなくて、銀行業界全体がこう。

● どの大手銀行も、オペレーションコストのカットに努めているようだが、いかんせん、不良資産から発生する償却費用がでかすぎて、償却前利益では吸収しきれないというのが現実。JPMはクレジットカードの劣化度がBACよりやや激しく(といっても、どちらもひでー数字だが)、またBACはカントリーワイドから引き継いだ住宅ローン(ホームエクイティローン含む)の劣化がひどくて大量の引き当て積み増しを余儀なくされている様子。BACの場合は、JPMと比べると投資銀行業務やFICCのトレーディング業務での米国内でのフランチャイズが弱く、そこからあがる収益バッファーが少ないがために、商業銀行部門の償却費用の重みが、もろに会社全体のボトムラインに乗っかった。

● ただし、個人向け融資に関していえば、引当率(=不良債権残高に対する引当金残高の割合)はかなり高くなっており(特にJPM)、住宅関連融資のポートがオプションARMのリセットなどで今後さらに不良化が進んでも、引き当てバッファーの厚みが寄与して、最終利益への負担は幾分軽減されそうと言えるところまで実際に近づいてきている、と感じた。(「処理が完了した」という意味ではない。)

● しかし、商業用不動産含むビジネスローンのポートフォリオについては、引当率が住宅融資と比較してずっと低いため、4Q以降は、各行とも、償却負担の中心は、住宅モルゲージローン向けから、商業用不動産向けに移行してくることが容易に予想され、償却前利益の多くが信用コストに消えてゆく状況はまだ続くと見込まれる。


III. 次に、商業銀行部門の(1)住宅、(2)コンスーマー、(3)ビジネス、各セグメントの融資状況について。

● すべてのセグメントにおいて、デレベレージング(Deleveraging=家計や企業がバランスシート上の負債残高を減少させること)が進行している。

● クレジットカード等コンスーマー向けは、金融機関が積極的に高リスクの借り手を外していっているのと、家計の貯蓄率が上昇していて家計みずからもデレベレージしようというモチベーションが高いため、その両方のダイナミクスから引き続き貸し出しボリュームは減少トレンドを続けることが予想される。(これはJPMのCEOダイモンも同じことを言っていた。JPMはクレジットカードで今期痛い目にあった。)

● 住宅融資に関しては、ファニー&フレディといった政府系と連銀のモルゲージ債購入プログラムが調達サイドをサポートしているという理由オンリーでなんとか利鞘確保ができているが、こうして政府支援があっても、償却前利益を超える額の償却コストが発生しているのが現実で、基本的に住宅融資のプライシングモデルは機能していない。貸せば貸すほど損失が膨らむリスクがあるあいだは、銀行側には、積極的に住宅融資を拡大しようというインセンティブは働かない。

● 企業融資に関しては、現在のようなマクロ環境では、借り手も積極的な事業投資を控えるため資金需要自体が乏しく、また、貸す側も、とりわけ中小企業のような中・高リスクの借り手に課したいリスクプレミアムは「政治的圧力」があるために実現しづらく、最も合理的な手段として貸し出しそのものを渋る傾向がある。(日本では亀井さんがモラトリアムだなんだとバカ騒ぎの果てに、政府による支援提供拡大という方向で落着するとか聞いたけど、米国もそれと同様で、政府支援付の融資であれば拡大してもよいが、そんなの低リスク低リターンの融資が増えるだけで、銀行側のリスク回避の姿勢は根本的に変わらない。)

● 商業用不動産の貸し出しは、CMBS市場がいまだ凍結状態にいることもあり、この分野でいま、新規貸し出しを積極的にしようなどという狂った金融機関はいない。(しかし、借り換え需要が来年以降まとまって押し寄せてくるそうなので、デフォルトか条件緩和かの選択に迫られることになるであろう貸し手側は、みな今から緊張してるはず。)

● 以上から、融資拡大というボリューム効果による収益貢献は近い将来は期待できず、今期以降ももっぱら、利鞘改善をめざすことになろうが、史上最大の財政赤字をつけてしまった政府が政治的な立場を優先させて「(救済措置からの)出口対策」の実行に移ると、金融機関の調達コストは上昇し利鞘圧迫につながる。


   ★   ★   ★


ということで、以上が、今回の決算をながめて得られた、ざっくばらんな【印象】である。印象ですから、あまり具体的な数値がなくて、すみません。数字あげての話は、また別の機会に。

3Q決算、ひとことで筆者の結論を言うと、米金融セクターの財務内容は「まだまだ、ダメ」である。安定化トレンドの「あ」の字もまだ見えてきてない。バランスシートの劣化が止まらないうちに収益だけがホイホイ改善してゆくなんてことが、ありえるわけないんである。とくに商業用不動産はヤバそうだ。

日本の銀行がバブル崩壊後に苦しんだときのことを思い出してみてほしい。邦銀の不良債権問題の中心は、個人向け融資よりも、商業用不動産にからむ企業向け融資がほとんどだったんである。商業用不動産の担保価値の下落が止まらなくて融資の質が劣化し続けたんだよな。当時の日本では、償却費用が償却前利益を上回る状況がしばらく続き自己資本が弱体化してボロボロになった。大手銀行だろうが小規模銀行だろうが、全員やられちまった。現在の米銀は、まさにその「償却費用 > 償却前利益」という状況が実際に起こっている最中なんだよ。

また、米国の場合は、まず、CDOなど複雑な証券化商品投資の含み損が大量に発生して時価会計による損失が自己資本を毀損し(2007~2008年)、ここでいったん政府救済措置による資本注入が必要になった。だが、ここからさらにB/Sの劣化が続き、住宅・カードなど個人向け融資の大量劣化が償却コストを押し上げて、自己資本を圧迫し続け(2008~2009年)、いま、なんとかそのフェーズを乗り越えられるかという段階に来ているものの、かつて邦銀を苦しめ続けた商業用不動産がらみの問題については、これから始まろうとしている。現時点で、償却前利益で償却コストをまかなえる自信がある米銀なんて、いるのか?

世の中には、米大手金融機関は修羅場を脱したという見方をして強気になってるアナリストもいるらしいが、甘いと思うね、わたしは。

   ★   ★   ★

ま、他にもゴチャゴチャ言いたいことは山程あるが、リーマンショックから丸一年、スペキュラティブな要素がだんだん影をひそめ、ようやくトラディショナルなファンダメンタルズ分析っぽい真似ができるぐらいに落ち着いてきた、という感触も同時に得た筆者である。

これまでは、大地震の後にしばらく余震が続くのと同様に、ショック後の不確定要素と各市場でのボラティリティが高すぎて、いったい次は丁と出るのか半と出るのか誰にもわからんという「ほとんど博打状態」に置かれて、お尻に火を感じながら、4Q08、1Q09、2Q09を突っ走ってきた米金融セクターですからね。前四半期までは突っ走るだけで精一杯だったわけよ。

ところで、3Q09では、GSとJPMがなんといっても勝者であるという、ちまたの理解どおりの図式が確認されたが、バンカメ(BAC)とシティ(C)の二者は、同じ赤字決算といえども、トーンがかなり異なる決算だったように感じる。

Cは、投資銀行部門、商業銀行部門ともにフランチャイズの衰退が激しく、財務指標も全体的に見劣りし、かつての強みだった海外部門からも損失発生がとまらず、現行のビジネスモデルのままでは、遅かれ早かれ、不良資産の増加に押しつぶされるんじゃなかろうかという印象を持った。Cは、資産のリスクに対し資本基盤が弱すぎる。この銀行は今後、海外オペレーションの切り売りと米国内の事業縮小が従来以上に加速して、いずれ Too Big To Fail のカテゴリーから外れるかもしれない、とすら感じた。

一方で、BACには底力がまだ残ってるという気がした。JPMがベアスターンズを二足三文で傘下に入れ、サブプライムでぶっ飛んだWashington Mutualの受け皿にもなり、メリルとカントリーワイドを買収したBACと同様、両者は死に体の証券会社と銀行をそれぞれ引き取ったわけではありますが、ベアスターンズとメリルとじゃ規模もフランチャイズも比較にならず、カントリーワイドとWaMuとじゃ、これまた比較にならず、である。 BACはデカくて高い買い物したな。でも、その分、合併で追加された事業基盤が将来の収益源に化ける可能性は、BACの方が、JPMより大きい。

そうした事業基盤を生かすも殺すもストラテジー次第。BACの運命は、経営陣次第といっても過言ではない。

今年一杯で引退するCEOケン・ルイスの後釜問題でしくじると、その望みも薄くなる。しくじらなければいいんだが・・・。



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6 comments:

LuciFer said...

まだまだウジウジできそうです(笑。まともなコメントは後日させてください。

LuciFer said...

楽しみにしていた記事、早々の掲載ありがとうございます。

確かにNOKの決算酷かったですね(笑。Q3シーズンの市場は悪いニュースにより敏感に反応、良くても評価が厳しいように思います。ようやく冷静になってファンダメンタルズを見るようになったのでしょうね。ネットブック市場への参入は、今からNOKやAT&Tがやるにふさわしい分野ではないと思います。やはり生産・技術基盤のある台湾勢のほうが強いでしょう。若くて成長力のある企業のほうが参入にふさわしい、あるいはそのような企業を買収して参入する方が賢明だと思います。

この夏同僚と仕事でベトナム・タイに行ったとき同僚はプレゼンのためにASUSネットブック持参でした。この時は用心のため、プロジェクターまで持参しましたから大荷物になりました。私もかつては海外に出かける際ノートPC持って出かけましたが、今はもうそんな気にはなれません(笑。

ゴールドマンのCMBS分野での動きって、これでしょうか?10月8日(ブルームバーグ)
ゴールドマンがREITに融資-CMBS市場復活に向けた第一歩か
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a2I92y.35M14

サマーズの発言はロイターが流しておりました。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11992020091016

他にもサマーズは、次の記事(当局の規制)や前の記事とも関連しそうな
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091017/fnc0910171045014-n1.htm
金融業界に対し政府と議会が進める規制改革を支持するよう訴え、「必要な規制を受け入れ、国や国民を守るために何ができるか考えるべきだ」と主張した。そうです。

現時点での印象では、次の震源地になり得るかもしれないシティグループ(C)の弱体化をより詳しく知りたいと強く思いました。かつてTrinityさんが株主になる時点でなされたファンダメンタルズ分析、そして現在の分析結果との違い、かなり変化があるようですね。

また、Cの海外部門からも損失発生がとまらない、っていうのを知って驚きました。少し前まで、Cはアメリカ国内では危なくても、海外市場では利益確保できるからそれが強みだとされていたのに、海外部門で何が起こっているのでしょうか? お教えいただければ幸いです。

Trinity @ NYC said...

>LuciFerさん

AT&Tは米国でアップルと組みiPHONEで成功したので、ネットブックではNOKIAと、という流れだったのでしょうが、ネットブックは機能よりも価格が命で、現在ASUSのEeeはバテリーライフが10時間超のものでも300ドル台まで価格が落ちてますんで、「Windows7+バテリー12時間」をうたい文句に登場したものの500ドル以上という価格設定は、あまり魅力的ではないと、この手の機器に詳しい人たちの間では不評だったようです。またAT&Tのサービスとセットだと299ドルなのですが、AT&Tの接続料も込みにすると2年間契約で1700ドルになってしまうとのこと。私は自他ともに認める超ローテクなのでこの手の話は詳しいことはよくわかりませんけど、そんな私でもネットブックに500ドル払う気はないですね。Windows7もわたしみたいのには宝の持ち腐れ。(笑)

CMBSの話は、このニュースもそうですが、今年の夏ぐらいから、RE-REMICという商品が出てきてます。REMICという仕組み債をさらにレバレッジかけて再証券化したものですが、コンセプトとしてはCDOの不動産版とでもいいましょうか、CDOであれだけやられても懲りないウォール街。(爆)この分野ではGSのみならずJPMもMSも積極的に動いているような報道ですよ。

サマーズのニュースのリンク、ありがとうございました。なるほど、「米政府が進めている金融改革の邪魔するんじゃねー」というのが意図の中心みたいですね。金融機関は、どうやらオバマの金融改革法案を警戒して反対の立場でずいぶん派手にロビィして動き回ってるそうですから、釘刺そうとしてるのかしら。

ご指摘どおりシティの強みは海外部門にあったわけですが、今回のシティのプレゼン資料(http://www.citibank.com/citi/fin/data/p091015a.pdf?ieNocache=953)19ページ目に海外のコンスーマークレジットの悪化を示すグラフがあり、海外コンスーマーへのエクスポージャが米銀中抜きん出ているシティにとってはネガティブにしかならない、と感じました。

ところで、ついさっき聞いたばかりの情報ですが、シティはBanamexを手放さなくてはならないかも、だそう。Banamexをどうするんだという話は今に始まったことじゃないですが、毎回、重要拠点ということで持ち続ける方向で動いてきてますよね。ところが今回は、メキシコ政府からなんらかのクレームがついているらし。Banamexはシティにとっては商業銀行業務のみならずラテン地域でのインベストメントバンキングの最重要拠点のひとつですから、メキシコ政府が登場したとなると、これはちと痛いですね。このニュースは注意する価値ありそうです。

LuciFer said...

ついこの間までテクニカルにみてショートかな~、って思ってAAPLショートしてたんですが、買い戻しておいて良かったです。爆死するところでした(笑。AT&TはAAPLとタイアップして接続料で収入を得たいのが見え見えな気がします。私も価格が命のニッチな分野ではなく、付加価値つけて少々高くても売れそうなモノに参入した方がよいと思います。

以前はバラバラに部品を集めてPCを組み立てるのが好きで良くやっていたのですが、最近は時間がないのもあって周りのPCは前世紀の遺物、骨董品になりつつあります(笑。本当はさらにローテクを極めて、紙と鉛筆だけで生活できるようになりたいのですが、それは引退してからでないと無理のようです。

RE-REMIC、レバレッジかけている点が怖いですが、金融界もAAPLのように常に新しい商品やサービスを提供し続けなければならないという世の習いに従っているだけなのでしょうね。このような金融の高度化は、その意味とか価値が私たち一般人には益々わかにくくなっていて、プロと素人とのリテラシーの格差を感じます。ただ思うことはまたズッコケたりしないでね(笑、です。

教えていただいたシティのプレゼン資料見たところ、90+DPDとNCL raitoの意味が全く解らないのですが(大爆、2Qと3Qのラテンアメリカよりアジアでの変化が大きいように見えます(なのでこれは単なる妄想 笑)。
Banamexの売却云々はメキシコとの法律のかねあいでにシティグループが米国政府の管理下におかれた頃からあったようですが、この時ペソが大幅に下落したように、今や「マルチ国有化」状態にあるCに何かあれば、アジアや中東にも影響がダイレクトに及びます。
仮にCが「Too Big To Fail のカテゴリーから外れるかもしれない」としたらどのようなシナリオでここに至るとお考えですか? 未来を語るのは難しいですが何かイメージがありましたら教えてください。

Trinity @ NYC said...

>LuciFerさん

アップル爆死回避、おめでとうございます。(笑)

シティのプレゼン資料で、「90+DPD」とは「90+Days Past Due(90日以上延滞)」、NCLとは「Net Credit Losses(ネット信用損失)」のことです。例えばラテンアメリカのケースで言うと、ラテン地区での消費者向け融資平均残高28.8ビリオン$に対し、2.85が90日以上延滞となっており、ネット信用損失は平均残高対比で9.04%発生した、という意味です。各地域でレシオ、金額に差がありますが、トレンドとしてみた場合、全世界的に消費者向け融資のクオリティは悪化していることが見て取れます。このグラフを見る限り、ここから先改善トレンドに入ってゆくという確信をもてる段階には、まだいない、と思います。来四半期にどんなトレンドになっているか、また見てみることにします。

シティが Too Big To Fail のカテゴリーから外れるときは、そう簡単には来ないとは思いますが、なにせ実質的に大株主は政府ですし、シティは予算緊縮モードにすでに入っており、今日のWSJのブラジル支社ビルのリフォーム延期の記事など、最も成長が見込まれるブラジル市場ですら、本国でのしくじりが尾を引いて競争力にケチがつくのでは、という気がします。Banamexは最高裁の判断が出たとかなんとか聞きましたが、この件での今後の展開次第では、シティのラテン業務を左右することになるんじゃないかと思うので注目してます。ブラジルの金融セクターは、新興国っぽいキャラをとうに抜け出ており、メキシコ以上に米国の金融セクターに非常に似通ったマーケット構造をしてますので、ここでブラジル市場でなんらかの足かせがつくと、あっという間に競争力を失う可能性高し、と感じます。Banamexおよびブラジルは、シティにとっては極めて重要な営業拠点で、日興コーディアルを失う程度とはまったく比較にならないネガティブ・インパクトにつながりますので、ラテン地区でなんらかのネガティブな動きが発生すれば、そこから海外拠点の縮小加速という動きに繋がってゆかざるを得ないというイメージを(勝手に)持っております。Citiの優良な海外オペレーションの受け皿になりたい金融機関なら、いつでも、いくらでもいますからね。ただし、この件は、大株主の政府の意向も強く作用すると思います。

LuciFer said...

訂正させてください。 みなさまへ
正 AT&Tと組もうとしてるのはNOKIA
誤 アップルAAPLではありません。
 (アップルに心奪われすぎ!)

プレゼン資料で重要なのは、私が思っていたのとは逆で、9.04%が最重要だということ、ラテンアメリカの地位、特にブラジルの位置づけが大きく向上しているのが良くわかりました。ありがとうございます。取り急ぎ