MHJの読者の皆様はご承知のように、筆者は5月からずーっとベア派的思考から抜け切れず、ウジウジし続けてきたのだが、そのウジウジがあだとなり、市場の上昇に乗り遅れたという思いが、最近は常に頭の中にある。
ファンダメンタルズを多少でも分析の基礎に置く者の多くは、この夏のラリーで、「やられた」という感を強くしているのではなかろうか。
株市場は、現状のファンダメンタルズを追い越して、常にその向こうを見通して(looking ahead)動いている、というのはよく言われること。
失業率などの経済指標や、銀行の不良資産の重みとか、商業不動産の問題とか、消費動向とか、在庫調整とか、そういった【現状を示すさまざまな数値】にリアルタイムで注目する限りは、【現状】のファンダメンタルズは、ぼろぼろ。
それでも、株価回復は続く。【現状】に反応してるんじゃなくて、【現状のさらに向こう】を見てるから、とみなが言う。
向こうを見越すのはいいが、「向こう」はいいことづくめでもないわけで、行き過ぎになった場合は、どこかの時点で必ずや、その修正が入る。ハイテクバブルが崩壊したように。住宅バブルが崩壊したように。
筆者は古い型のアナリストの一員だったのかもしれないけれども、証券というものは、株であれ債券であれ、一時的に必要以上に悲観的になったり、逆に必要以上に楽観的になったりするものの、必ずや、
「ファンダメンタルズで説明できるプライスレンジに回帰する」
と諸先輩たちから教えられ、それを信じてきたし、今も信じている。
で、ここ数ヶ月の米株式なんですけどさ。
現時点で、S&P500に含まれる会社の97%が、すでにQ2の決算発表が済んだそうである。その会社群の多くが第2四半期は【減益】という結果であった。少々の減益じゃなくて、急減、と言われるやつ。
せっせと人件費削減(←首切り=失業率アップ)に励み、在庫も調整しまくり、それでも減益。
Price (株価)が上昇し、Earnings (利益)が下落したら、当然のことながら、P/Eレシオは上昇しますよね。
Q2の企業の大幅減益がP/Eレシオにどれぐらいのインパクトを与えたのかというチャートがあった。(Chartoftheday.comより)
これを見ると、30年代から80年代までの50年間超、米株のP/Eレシオは20倍をピークに修正を繰り返してきた。90年代には後半のハイテクバブルがP/Eレシオのレンジをトレンドとして押し上げ、2000年代にはハイテクバブル崩壊でふたたび20以下には落ちたものの、80年代までのレンジの底まで落ちる前に、今度は低金利(クレジットバブル)を背景にした住宅バブルの到来でトレンドラインとしては上昇した。
このチャートを提供したサイトによると、S&P500の株は、ここ数ヶ月でPER最高144倍まで上り過去最高。97%の企業収益が出揃った段階でPERは129、という。
このチャートをみてしまった今、来週もブイブイ強気に買い進める勇気は、筆者には、ないね。
「株価は現状の先を見越している」というのは、もういい。
だが、それは80年代だって90年代だって、そうだったわけ、ですよね?
現在の異常ともいえるPERは、市場が『何』を見越している結果なの?誰か、教えてください。
PER129倍ということは、これが過去の正常レンジ20倍以内に戻るためには、収益はいまの6倍以上増やさんと駄目だよ。
でも、企業収益を取り巻く【現状】のファンダメンタルズから言うと、米企業の収益が近い将来6倍に跳ね上がるシナリオって、少なくとも企業の財務分析を長年メシの種にしてきた筆者の感触としては(あくまで“感触”ですが)、あまりリアリティないんだが。
現状の向こうにある「何か」を見越してEarnings の129倍払う株式投資家は、収益実績がともなわないというのが見えてきたら、当然、売りに動くんですよね?そのとき、その投資家は、どのレベルのPERが「適正」と考えるのだろうか。
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東京UBS証券のシニアエコノミスト会田卓司氏が、最近の投資家向けメモに、こう書いていた。
信用バブル崩壊の後遺症としての構造的下降局面はまだ続いている。「持ち直している循環トレンドvs.下降している構造トレンド」の図式である。しかし、金融システムと米国経済は安定化へ順調に進んでおり、構造的トレンドが下げ止まる安定成長への道筋が見えてきている。
たしかに氏の言うとおり、金融システムに安定感は出てきている、と言える。(収益回復はすぐには無理だが、危機的状況にはもういない、という意味で。)
金融機関の調達コストに影響を与える債券発行時のスプレッドも過去の極端にワイドなレベルから、かなりタイトニングして実際の調達が可能になったのは事実。スプレッドが700だの800だのついてたころは、調達そのものが不可能でしたからね。
だから、多くのひとが「安定してきた」と感じるのは至極当然だと思う。
だが、安定感は出てきたばかりで、安定したと断言するのは難しい。「安定」といっても、それは、まだまだ「感覚的」なものだと筆者は思う。
金融機関というのは「調達」が命。金融機関が資金を調達する市場が不安定な状態のまま、金融システム全体の安定は絶対にもたらされない。わたしは、これだけは、自信持って言えるね。
銀行の株価が高くなったなんぞは、いわゆる「金融システムの安定」とは、ハッキリ言って無関係である。どんなに株価が高くなったって、調達できなかったら、その金融機関は早かれ遅かれふたたび危機に瀕する。
ちまたで言われる「金融システムの安定」がいかに「不安定」かを示す一例が、先週、アメリカン・エクスプレス社が発行すると発表した新発シニア債(期間5年、20億ドル)につけられたスプレッド。プライシングトーク※の段階だったが、ワケわからんプライシングになっていた。
※プライシングトーク(Pricing Talk)とは、市場参加者(主として機関投資家と金融機関のトレーダー)の間でおおまかなプライシングのレンジが語られ合うこと。証券のプライス形成の過程として不可欠であり、それが最終的な発行価格へとつながってゆく。トレーダーはプライシングトークで語られるレンジをひとつの目安にして、発行直後の15分程度で激しく行われるトレードのストラテジーを考えたりもする。
筆者が読んだ情報では、アメリカン・エクスプレスの5年債はトレジャリーをベンチマークとして、T+425、5月に発行された同条件の5年シニア債のプライス(T+580前後)と比較すると、かなりタイトで好条件に思えるが、その5月発行5年債の前週のプライスクォートはT+325だったそうなんで、今回のオファーでは100bpsワイド。
企業債市場に土地勘のないひとにはちとわかりずらい話で恐縮だが、要は、Amexみたいな巨大な金融機関の主力調達手段である長期シニア債券が、あっちに100bpsだの、こっちに150bpsだの、と、アチャコチャ大幅なブレをともなうプライシングレンジで取引されている、ということ自体、金融機関の調達市場はまだまだ安定感を欠いていると筆者の目には映る、ということを言いたいのである。
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こちら米国の金融ブログ『Zero Hedge』が22日付けの記事のひとつに、先週のS&P500のラリーについて、興味深いことを書いていた。
米株市場のトレーディング・ボリューム(出来高)はここ2ヶ月ほど、全体では横ばいで推移しているが、その内訳を「金融株」と「非金融株」のふたつのグループに分けてみると、金融株だけがボリューム増になっている、という話。
金融株の中でも、シティ、AIG、CIT、ファニー、フレディ、の5社の取引が異常に活発になっており、金曜日(21日)の取引では、この5銘柄だけで、取引全体の3分の一を占めた、というんである。
(以下のグラフはZero Hedgeより)
*SPYのトレーディング・ボリュームは、じわじわと下降ぎみ(↓)。
*しかし、C、AIG、CIT、FNM、FREの5銘柄の取引は、ここ数ヶ月で異様な活発さ(↓)。
*AIGなどは、発行株式数全部が、きわめて狭いプライスレンジ内で、金曜日の一日で、グルリと一巡取引されたらしい。
この記事の書き手は、金曜日に取引されたこの5銘柄の合計は20億株だったが、NYSEの一日のボリューム平均が約60億株、米株市場全体の一日の平均出来高は100億株であることを踏まえると、たった5銘柄でNYSEの平均出来高の3分の1に相当した、というのである。
この5銘柄のうち4社は「実質国有化」された会社ばかり。それが、こうして、膨大な取引の対象になっている。
見方次第では、「国有化 = 普通株主厚遇への期待」を意味するというスペキュレーションが働いている、ともいえる。こういうの、モラルハザード、って言うんですけどね。
ファンダメンタルズを伴わないスペキュレーション取引がドミナントって、市場としては不健康だと、わたしには思えるのですが。
でも、そんなことばっか言ってたら、また上昇のタイミング逃すかもしれんし・・・悩ましい。
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12 comments:
会田氏の言う「構造的トレンド」が何を指しているのかはわかりませんが、私の思う「構造的トレンド」は消費の弱さだと思うのです。
アメリカ経済の最大のドライバーだった消費が維持不可能な無茶な借金の上に築かれたものであったわけで、当面は借金を返済しなきゃいけないし、銀行や消費者金融も無茶な貸出は無理。で、どうやって彼の言う安定成長トレンドに入るんですかね?(もしかして、以前より低い潜在成長率でも、成長が安定していれば安定成長なんだ、ということなのかもしれませんが)
今の株価の上昇は、在庫削減後に生産水準が最終需要程度までは戻る、循環的トレンドを反映したモノでしょうが、その次のテーマはやはり、最終需要=消費の弱さに注目せざるを得ない相場になると思うんですけどね。
予想よりよかった!、の予想は誰がしてるんだろう、、、ってずっと思ってたんですが(笑)、どういうからくりなのでしょうか?減益減収だけど、思ったほど悪くないじゃん!と上がってきた市場。あと、最近やたらと、どっかのCEOが、「来期はいいぞーとか、10年はいいぞー」って言うのにまた買いがはいったり・・・
さらに最近、8000ドルの駆け込み需要で安い家は、まだ価格は下がってるけど売れてきてる(でも11月末までのクロージングなら9月にはプロセス開始してないと間に合わない)、車も政府の政策で売れたように見えてるし。結果がでるのが1ヵ月後として、息切れするころは10月ー??と勝手に妄想・・
でも、そのころにはまた決算発表・・・
スティミュレーションの結果、予想よりいいじゃんといってまたあがったりするんでしょうか。。?そうすると、息切れは1月以降の決算のとき?でもそのころには個人消費が少し回復してるかも??うーん、悩ましい、、、
いまだ職を失ってもクレジットカード使いまくってる人たちのDelinquentの結果はいつごろから出てくるんでしょうかねえ?Forclosureもとまってないし。銀行系は怖いなぁ・・
そういえば、Meredith姉さんがまたテレビに出てましたね。久々に暗かった。
http://247wallst.com/2009/08/21/meredith-whitneys-good-news-only-300-bank-failures-bac-c/
Rubiniさんもファンダメンタル的に正しいことを言い続けてますね。http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=aXbZZWXPR5mw
何が背後で起きているかを、このブログで勉強させていただきながら、用心深く行きます!
>linateさん、コメントありがとうございます。linateさんのご意見に同意です。肝心の雇用が弱いうちに消費だけ強含むとはちょっと考えづらいですし。
消費は、アネクドータルに見ると、不思議なことに、いちおう店に客は入ってたりするんですよね。週末にモールとか行くと、結構にぎわっていたりして。でも、統計が出てくると、やっぱり弱いし、消費と業績が直結してるような会社の業績発表コンファレンスなどを聞くと、どうも、いまいち、力強さがないコメントが経営陣から多い、ってんでしょうか・・・。どうもいまいち、Mixedな印象ですね。
マクロ経済学者は在庫調整のあとは再び生産増に入るという話をするひとがやたら多いですけど、在庫調整、終わったのか?先日出されたフィラデルフィア連銀の企業サーヴェイでは、在庫回復については圧倒的に「弱気」の結果だったんですよね。(メディアはどこも、この点は紹介してなかったけど。)
>haustinさん
いわゆる「業績の市場予想」ってのは、その会社を正式にカバーしている業界アナリストがはじき出してくる予想数値の平均値です。(マクロ指標の場合は、エコノミストの予想値の平均です。)だから、「アナリストのコンセンサス」とかとも呼ばれますよね。
でも、強気アナリストが最近増えてきてるから、市場予想よりも業績悪くて株価叩き落ち、という会社も、そのうちワラワラ出てくるかもしれないですね。(笑)
メレディス姉さんは、わたしはあまり信用してません(ってか、アナリストを信じていない←自分もそうだったくせに。爆)。彼女も最近一時強気なこと言ってましたけど、また弱気に戻ってますね。でも一部メディアでは、300の銀行がつぶれるという彼女の予想をさして、「メレディスにしては、強気」と書いてるところもあって、なんだそれ、と笑っちゃいました。もう、何が強気で何が弱気なんだか、わかりゃしません。
書き込み失礼致します。
私はPERについては、
http://www.capital.co.jp/
内にある
http://www.capital.co.jp/world_index.pdf
が毎日更新されているので、参考にしていたのですが、
(上記のサイトにはNYダウとナスダックしか無いのですが)
アメリカのPERは、15~25の間だと思っていて、あまり気にしていませんでした。
S&P500が100倍を超えていると聞くと、さすがに弱気になりますね。
> Trinity @ NYCさん
>その会社を正式にカバーしている業界アナリストがはじき出してくる予想数値の平均値です。
なるほど!ありがとうございます。
ちなみに、その平均値はどこかで公開されているものなのでしょうか?いつも朝Bloombergをみたら、予想よりよかったー!といって暴騰・・・(またはその逆)というわけで、ずっと気になってました。各企業レベルの予想は入手できますが、全体的なもの(家の販売予測やIMSなど)はポータルがあったりするのでしょうか?それともそれぞれ専門ページを探さなければならないのでしょうか?ひとつにまとまってれば便利なのに、とふと・・・
>強気アナリストが最近増えてきてるから、市場予想よりも業績悪くて株価叩き落ち、という会社も、そのうちワラワラ出てくるかもしれないですね。(笑)
そうですよね!私、このバランスというか綱引きがいつ変わるのかな、とずっと思ってて、本当は8月くらいには、、、と思っていたのですが、まだの模様ですね。予測を低くしていればいくらでも予想よりいい!といい続けられますものね。
今日も鼻息の荒いアナリストが、V shape recoveryだー!と盛り上がってましたが・・・
>AEさん、コメントありがとうございます。
AEさんがご紹介くださったサイト、わたしは初めて見たサイトなのでよくわかりませんけれど、このサイトのPERは「予想PER」となっていますね。わたしの記事で紹介したPERのグラフは、97%の会社のQ2の「実績」を元にした「実績PER」なんだと思います。ご紹介いただいたサイトの注意書きも読んでみましたが、どこのどんな「予想」をベースにしてるのかが書いてないので詳細はわかりかねますが、大きな違いが出ているのは、おそらく分母にあたるEarningsを、異なる数値を用いているから、じゃないかなぁと思います。
>haustinさん
プロの証券アナリストが出してくる予想値をロイターが集計している I/B/E/S(Institutional Brokers Estimate System)と呼ばれるサービスがあり、これが一種の業界スタンダードになっていて、広く使われています。(詳細は、I/B/E/Sで検索すると、ウィキ他、いろいろ説明が出てきます。)
ブルームバーグの端末を使うと、アナリスト・コンセンサスは一発で出せるのですが、ブルームバーグ端末、一般人には年間費高すぎ。(笑) わたしも、そういうデータがきれいにまとまってあるサイトとかあったら、知りたいな。誰かご存知ないかしら。
Trinity@NYC様
はじめまして。
最近、訪問しました。
とても興味深く、過去の記事を読み進んでいるところです。
私もボルカーさんの時代から金融市場に携わっていますが(といってもずっと在日本ですが)、
Trinityさんの記事、解りやすくかつ面白く、すばらしいと思います。
今の市場、本当に違和感、蟻走感がありますよネ。
とっても無理して一生懸命、盛り上げている感じです。
記事で取り上げられている国有化会社などを対象としたHFTで、
ずっと気になっているのですが、誰のブックなのでしょうかネ?
日本の場合、預金保険機構などが国有株をブックしてますが、市場に出ることは限定的だと思います。
米国の場合はどうなんでしょうか?
当局の政策目標に資産価値の維持上昇なんてオオッピラには出来ませんが、
住宅価格の下落防止はかなり露骨にやっているように思えますし、
株価の上昇はクレジットにも大きな好影響を与えますので、いろいろな経路で盛り上げても不思議ではないと思うのですが....
個人的に今回の株価上昇は、インフレが原因なのではないかと考えています。それも現在まださほど広くは認識されていないが将来的にハイパー化するかもしれないインフレであると。
そう考えると、初動段階では値段のつくもの全てにおいて、危険なキャッシュポジションからの逃避が将来起こってくると見込んでの先回り買いが入っているものと見ることが出来ます。株もそうですが商品も。外貨も。
こまかく見るとそれぞれの値動きは違うものの、根底にはそういう懸念が長期トレンドを形成しているのではないかと。
>vespaさん、コメントありがとうございます。
過去記事も読んでくださっているとのことで、とてもうれしいです!
AIGは今日(金曜日)も引き続き派手にトレードされたみたいですね。わたしも誰のブックなのかはわかりません。わたしが思うに、フロート分の一部が、スペキュレーターとプログラムトレーディングによって、繰り返し繰り返しトレードされているせいではないでしょうかねぇ・・・また情報を聞いたら書きますね。
株市場の動向がクレジット市場に好影響を与えるのはご指摘のとおりですが、株価がスペキュレーション色(AIGのように)を濃くしてくると、クレジットスプレッドのタイトニングのペースは落ちてきますし、クレジットサイドの投資家は株式サイドのこの手の動きは、たいがい、冷めて見てる人のほうが多数ですよね。クレジット投資家が政府支援をスプレッドに織り込むのは至極当然ですが、普通株主が同様に織り込むのはモラルハザード。いまの米株の動きをみていると、りそな銀行救済直後から日本でも金融株が急上昇し、一部の株は底値の10倍以上になりましたよね。完全にモラルハザード相場だった、あのときの様子を彷彿とさせます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
>現物くんさん
インフレ懸念ですか・・・なるほど・・・。でも、ハイパーインフレの懸念を市場が価格に織り込み始めるとしたら、最初に反応するのは、株・為替・コモディティよりも、インフレ懸念が債券価値を直接決める【国債市場】じゃないかと思うのですが、米国長期債のイールドは4%ちょっとをウロウロしていて、ハイパーインフレへの懸念が顔を出している、というレベルではない、と感じます。
コモディティも、金・銅・原油・砂糖などはワケわからんことになってますが、とうもろこし・大豆など食料品価格に強い影響を与えるものは昨年度対比で大幅安、エネルギー関連でも天然ガスも安値後進、ということで、デフレ懸念は相変わらず根強くある。おととしから去年見られたようなコモディティ相場の動きとは、いまはちと性格が異なるような気もします。(わたしはコモディティは専門でやったことが全くないので、"感覚的”なコメントですけど。)
わたしは、やはり、現在の株高のドライバーはスペキュレーション・ドミナントじゃないのか、と感じます。出来高は相変わらず全般に薄いし。
もしも、株価がファンダメンタルズの実態に即したレベルだと考えるひとが多ければ、債券市場から株市場へとフローが変化することを見越して国債イールドは急上昇し米国債暴落になる、とわたしは思うんですよね。しかし、国債市場はそんなそぶりは見せていないし、ここ数ヶ月の膨大なトレジャリー発行にもかかわらず、かなり調子よく消化されて、国債市場のデマンドはそこそこあるような雰囲気もある。
株式市場のトレーディングボリュームが全般に薄く、国債市場のデマンドがフローの移動(債券から株へというフロー)を伴っているわけでもないことをみると、インフレ懸念が主因だとは、わたしには思えないのですが・・・どうでしょうね。
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