Friday, August 21, 2009

(いまさら)個人消費

おかげさまで夏風邪からは全快しましたが、両親が8月いっぱい日本からアメリカに遊びに来ており、なかなか腰が落ち着かず、ブログ更新がとどこおっております。海外旅行を楽しみにしている親のため、数年に一度のささやかな親孝行ですので、ブログをサボリ気味なのは、どうかお許しを。

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さて、7月24日に始まった、Cash for Clunkers Program が、ちょうど1ヵ月後の8月24日で終了の運びになったという。

Clunkers とはポンコツの意味、つまり、あなたがポンコツ車を燃費の良い新車に買い換えたら最高4500ドルまで政府が現金あげますよ、というオバマ政権の【消費刺激策】である。

家の敷地のせまい日本では想像するのが難しいかもしれないが、アメリカではちょっと田舎にいけば、自宅の庭裏に使われなくなったボロボロのポンコツ車の2台や3台が停まってるのはごく普通。

「ゴミなら処分しろよ」とも思うが、敷地が広いからそのまま停めておいて、ポンコツ車の周りに雑草が生えるままにしてあるような家も、しょっちゅう見かける。


裏庭に停めてるだけなら構わないが、本当に、こういう車が高速走ってるのにも出くわすこと、あり。

こういうポンコツ車をディーラーに持っていって新車に買い換えると政府が最高45万円相当のリベートくれるというのですから、プログラム開始当初は大人気、開始直後5日間で政府の当初予算の10億ドル(1000億円)を使い果たした。

あっという間に予算がなくなってしまったため、ポピュリスト(阿呆)民主党政治家どもが中心になって、「んじゃ、もっと現金用意しましょか」と、さらに20億ドル予算追加を即決承認した。

枯れ木に花を咲かせましょうとばかりの、【花咲じじい状態】である。

ま、GMはいまや「国営企業」ですんで政府も大盤振る舞いしたくなるってのもわかりますが、このプログラムを利用して売れた人気小型車トップ10リストを見ると、トヨタカローラをトップに海外勢が圧倒的に多くランクインし、肝心のGMら米国勢が地味なのが、泣けるっちゃー泣ける。

しかし、それでも、GMの7月の売り上げは跳ね上り、削減するにいいだけ削減した在庫がこのペースじゃ間に合わないってんで、一時解雇していた従業員を1300人呼び戻して再雇用、現雇用者にもオーバータイムをガンガン付けてあげて、今年度予定より6万台多く生産すると久しぶりに息巻いていた。

それが、一昨日(19日)のニュース

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ところが、昨日20日には、政府のほうから、プログラムは今月24日で終了というアナウンスメントがあり、自動車関連株は即座に下落。

政府によると、このプログラムによる新車購入はこれまで45万7千台、ディーラー経由のリベート請求は総額19億ドルに達したそう。政府側は30億ドルの予算を完全に使い果たす前に締め切ることにしたそうだが、政府が大成功だったと宣伝しているその陰で、開始直後のフィーバーは長続きせず、8月に入ってからは申し込み数が30%ダウンで日を追うごとに下降一直線、さらには、ディーラー達が「やってられっかよ」とプログラムから離れて行ったという裏事情がある。

さすが【お役所仕事】とでもいいましょうか、鳴り物入りのプログラムのくせに、現場のディーラー達には待てど暮らせどリベートチェックが政府から届かず、自動車メーカーとディーラーとの間で大騒ぎになってるんである。プログラム開始から一月近くたつというのに、政府側がトロトロやってるせいで、まだ請求分の4%しか処理されていないそうで、これまで積み上がったリベート総額19億ドルの96%はディーラーが自腹切って立て替えてる、という格好である。

そのために、ディーラーの中には政府プログラムに参加したばっかりに運転資金不足の危機にみまわれるところも出てきて、こんなアホらしいプログラムに参加するの、もうやだッ!と辞退するディーラーが続出。筆者の住むニューヨークだけでもディーラーの半分以上がそっぽ向いたらしい。

ディーラーが車売ってくれなくちゃどうしようもないため、困惑した自動車メーカー各社は、政府から支払いが届くまでのあいだ、自分たちの金融会社につなぎ融資させることにして、トヨタなども、金融子会社トヨタファイナンスが最高60日までディーラー達におカネ貸してあげることにして、「すねたりしないで新車売ってね、ねっ!ねっ!」とご機嫌取りに大わらわだそうである。

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しかし、聞けば聞くほど、まぬけなプログラムであるな。

交通省では書類処理のためにスタッフを3倍に急遽増やして対処しようとしてるそうで、リベート遅延の問題は時間が解決するだろうけど、もっと根本的なクエスチョンは、

この景気刺激策が、本当に政府が目論んだとおり、【刺激】になるのか

というところじゃないでしょうか。

そもそものところで、政府によるこの手の『花咲じじいプロジェクト』が、これまで、長期的な経済効果をもたらして花咲かせたことが、過去にあるのか?

日本の定額給付金、あれなんかも、「カネやるから、使え」というコンセプトとしては似たようなもんですよね。あれって、日本では効果ありと考えられてるのでしょうか?

アメリカの「花咲じじいプロジェクト」で記憶に新しいところでは、2008年春、当時のブッシュ政権が、各家庭にタックスリベートと称してカネをばらまき、消費しろー!と大号令かけたことがあった。

あのブッシュ策が、米国民の可処分所得に与えた影響をグラフで見てみると・・・

(青=個人所得、赤=可処分所得:グラフはEconomPicDataより)




グラフ中、2008年にびょ~~~んと跳ね上ってる部分が、昨年のブッシュ花咲じじいプログラムの結果である。

一時的に跳ね上って、おしまい。

どんなに「使えー!消費しろー!」と号令かけられても、失業して給料でなけりゃどうしようもなし。しかも、昨今、金融機関はクレジットカードなどの消費者向けローンの貸し出し基準の厳格化を進めており、頼みの綱だったホームエクイティローンは死に体、これでどうやって消費者にカネ使い続けろ、といえるのか。

ブッシュ政権の短命バラマキ策の末路をみてたはずだが、それでも懲りずにポンコツ車一台あたり45万円バラマキで「消費しろー!」と叫ぶ現政権。

現状の消費不振が「カネはあるけど心理的に萎縮していて、貯めるばかりで使えない」というならともかくも、使いたくてもカネはなしが現実で、【(消費を)刺激】もへったくれもないということぐらい、幼稚園児でもわかると思うんですけどね。

筆者もお金使うのは大好きなので、政府がカネくれるというなら断りはしないよ。どんどんお金ください。

でも、そんな場当たり的バラマキをどんなにやったって、マクロ経済として、マルティプライアーがどれだけかかるというのか。

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「いまさら」であるが、先々週出された7月の米個人消費の統計内訳をみると、7月最終週のCash for Clunkersのかいあって、自動車関連の消費は大幅増。

しかし、消費全体では、0.7%増の市場予想に対し、0.1%マイナスだった。



米国民、車を買った分、他の物はいつも以上に我慢して、キューッと財布の紐を引き締めました、の図。

政府が起爆剤として目論んでたみたいに、新車買ったら、自分の中でなにかが吹っ切れ、「そうだ、もっとお金使おう!」という気持ちに・・・なるわけないだろ、っつの。

なのに、現政権のバラマキモードは、引き続き全開である。

なかなかエンジンがかかってくれない住宅販売に業を煮やしたのか知らんが、なんと今度は、

「家は無理して買わなくてもええ、政府が賃貸住宅を用意してあげますから、そこに住んでね」

と、40億ドル超の補助金を政府から出して、低所得者向けの賃貸用住宅の建設にとりかかるんだそうである。(関連記事はこちら。)

あのぉ・・・住宅在庫、だぶついてるんですけど・・・。

フォークロージャ物件を買い上げて低所得住宅にリフォーム、ってのも視野にはいちおう入ってるみたいだが、基本は、「新築の賃貸住宅に住めるように政府がカネだしてあげましょう」という話のようである。

「新車」の次は、「家賃」に補助金ですかい?オバマ、口を開けば、補助金の嵐。

家を追われたホームレス家族が増えてるから、社会的な側面からは意味あるかもしれないけれど、それやって経済効果はどれだけ期待できるというのか。

自分が米政府にせっせと払ってる税金が自分には直接恩恵のないことにばかりバラ撒かれてるようで、現政権と民主党議会に対し、不愉快度が増している。



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6 comments:

haustin said...

風邪治ったみたいでよかったですね。ご家族孝行もなんだかんだと楽しそうですね。

オバマさん、賃貸物件提供なんて!知りませんでした。。。花坂爺さん・・・うちもぜんぜん恩恵受けてないなぁ。こんなに働いて税金納めてるのに。ヘルスケア何とかしてくれないでしょうかねぇ。旦那の手術代高いです~

それにしても今日はHome saleがJumpしてましたね。値段の安い家は売れてるみたいですね。1ミリオン以上の家は40ヶ月の在庫らしいですが(笑)。一方でDelinquentも過去最高だとこの間いってたのに、そういうニュースはあまり流れない。私は、今の操作されたモーメンタムはエンジョイすべく401Kはエクイティ50%ちょい持ってますが、ばら撒き政策が一息ついて、みんながふと現状を見回したときに、下がりださないかなーとひそかに期待しています。10月以降・・・9月が怖い、という人は多くいますね。どうでしょうか?

Chee said...

アメリカで、ただで家と車もらえるようになったら、帰ります。

ttori said...

ポンコツ補助金(ただ、確か”あまりにも古いのはダメよ”って条項があったきがしますけど)の打ち切りの理由が「業務処理の遅延」ってのがとってもアメリカンで笑えますが(とはいえそれで潰れるディーラーがでそうだそうで、笑い事ではないんでしょうけど)。住宅価格の下落は株の下落の2倍の逆資産効果があるといわれてますので、個人消費当分ダメでしょうね、、。
景気が悪くなる>自分の支持率が下落>とりあえずばら撒き、というのは古今東西政治家の基本行動みたいなもんですから。ただ、オバマはそんな人気取りしなくてもいいほど支持率が高いと思うんですが、国民の期待値が高すぎるんですかね。

Trinity @ NYC said...

>haustinさん

ほんと、ヘルスケア、なんとかしてくれ、ですね。医療費高すぎて、健康保険のプレミアムも高すぎ。病気になったら死ね、といわれてるようなもんですよね、これでは・・・。

Home Sales、価格がかなり下がりましたからねぇ、そろそろ食指が動いてもいいころですね。わたし自身も、実は、ニューヨークあたりで物件ないか先週ちょっとリサーチしました。物件にもよりますが、ニューヨークでもかなり下がってる印象です。でも次買うならユニットじゃなくて、ちゃんとした家を買いたい。ニューヨークでは、一軒家というのはマンハッタンには私の手に届く物件は、まずないですけれど、ブルックリンとかにいくと、一軒家でも一時の半分ぐらいまで下がっていてびっくり。あぁ、3億円ぐらい、だれかポーンとくれないかなぁ。(笑)

株式市場、ちょっと怖くなってきましたよね。PEなんて無視してあがり続け。ご指摘どおり、メジャーメディアは「いいニュース」しか言わないですもんね。いったん下がってくれることを、わたしも祈ってるんですが・・・

Trinity @ NYC said...

>Cheeさん

4500ドル出して新車売り上げの数字を(一時的であろうが)伸ばすだけでいいのだから、もう、この際、なんでもかんでも補助金出してくれたらいいのに。車だけといわず、他の「買い替え必要なポンコツ」には、ぜんぶ政府が補助金だしてくれないかな。うち、いま、ディッシュウォッシャーとガスレンジがポンコツになってきてて買い替えようかと思ってるところなので、政府からそれぞれ500ドルぐらい補助金だしてもらえれば、即座に買いにいきます。(爆)

Trinity @ NYC said...

>ttoriさん

一ヶ月経って4%しか処理されてないって、いったい、なにやってんだ、と思いませんか?この「とほほ」な感じがいかにもアメリカン。(笑) そういえば以前、パスポートの書き換えで、法律が変わったとたんにパスポート申請数が急増して、役所側が対応できず処理が遅れるにいいだけ遅れて何ヶ月も待たされて大騒ぎということがありましたわ。とほほ。

オバマ自身の支持率は驚異的な高さを保ってきていますが、ここにきて、ヘルスケアの問題が政治問題化して、保守層から連日ギャンギャン攻撃受けており、ちまたのオバマへのイメージや期待が、ちょっとゆらいできているような印象を受けています。

バラマキの中心にいるのは、民主党の大御所連中です。日本も民主党がマジョリティになったら、この手の「社会的弱者に愛の手を」のスローガンかかげたバラマキが増えて、財政難の解消はさらに遠くなるかもしれないですね・・・。