なんと、2013年はついに、ひとつも記事をポストしなかった、という怠けぶり。
2014年は、少しこころを入れ替えてブログ書く時間もみつけようと、いま、決心しました。それで、ブログデザインのテンプレートも変えてみました。
さて、2012年の夏に長年住んだマンハッタンのアパートを売却し、同年秋に、NY市のすぐ北に位置するウェストチェスター郡に一軒家を購入し引越してきたわけですが、勝手の違う郊外での生活に慣れるまで、実際、まる1年かかりました。
いまでも自分はニューヨーカーと思っていますが、遊びや仕事でシティに出かけると、街いっぱいに溢れる過剰なエネルギーと騒々しさに疲れてきて、静かな郊外の自宅にはやく戻りたいと感じるようになってきています。
以前はビルを出ると目の前にスーパーもレストランもドラッグストアもなんでもある生活をしていたのに、いまはどこに行くにも車です。でもそれにも完全に慣れ、いまや「車のない生活」など想像することすらできません。
犬達はもちろん広々とした庭付き郊外の生活はストレスもなく超ハッピー。シティを出てから、ただの一度も下痢したり吐いたりしません。(マンハッタン時代は、毎月のように、どこか具合悪くなって医者に連れていったりしてたのでした。)
ということで、新生活に慣れるのにかまけているうち、ブログを全く更新しなかったわけですが、いまこうしてこころを入れ替えましたので(笑)、引き続きよろしくお願いいたします。
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先週は、郊外のご近所さん主催の新年パーティにお呼ばれして出かけ、そこでマンハッタンにオフィス構える大手金融機関で現在セルサイドで証券アナリストとして勤めてる方と知り合い、かつて自分も同業だったことから、初対面なのに話が弾んだ。
彼曰く、ニューヨークシティはたしかに景気盛り上がって調子よくなってきてるけど、ウォール街の大手ハウスにはかつての活気は戻っていないし、トレーディングフロアでも、株価こそ好調なれど基本的に取引ボリュームそのものが足りてないんで、They are not so happy campers. とも言ってました。
米国で業務展開する欧州系の金融機関も、金融危機の負の遺産処理継続と新自己資本規制の重みから、どこも台所事情はかなり苦しいらしい。米国の金融機関は、「まあ、最悪期去って、金利もじゅんぐり上がるだろうし、ボチボチなんとかなるでしょう」というざっくりしたイメージでわたしらは同意しあったけど、ヒャッホーーー!と盛り上がる局面じゃないよねぇ・・・と。
われらアナリスト業界も、危機時にコスト削減し過ぎて中堅・シニアのクビを切りまくったのが祟り、経験も知識も浅い(つまり雇う側からすると安いw)アナリストが割合として増え、また、アナリストひとりあたりの受け持ちがやたら多くて馬車馬のように働かされてる割りには分析は表層的になっているし、仕事は増えても給料増えず、といった暗い話も聞きましたよ。orz
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ということで、米金融業界の内情を聞いてみると、各社CEO達が決算発表のたびにバラ色ストーリーを振りまいてるほどにはバラ色でもない様子なのだが、ニューヨークシティ全体でみると、シティの経済状況は西のサンフランシスコなどとならび極めて良好で、米国の他の地域から頭ひとつ抜きん出て回復が顕著になっている。
NY市の不動産価格もけっこう好調である。マンハッタンのみならず、川を越えたブルックリンやクイーンズでも、エリアによってレンタル・セールスともに絶好調。New York Daily Newsに、今日付けで、こんな記事。
Brooklyn real estate keeps soaring as both sales and rental markets end 2013 on a high note
1990年代から2000年代中盤までは、ニューヨークシティの経済のけん引役といえば金融セクターだったわけだが、 それがここ数年で相当様変わりしている。その様変わりについて、1月6日のNew York Timesに関連記事があったので、以下に紹介する。
2013年、ニューヨーク経済のけん引役はテクノロジー業界が完全に取って替わったのである。
New York, the Silicon City
以下、拙訳。
『先週、ビル・デブラジオが新市長となりニューヨークシティの地域経済の舵取りを任されることとなったが、金融危機崩壊後、ニューヨーク経済は米国の他地域を大きく引き離し景気拡大が進んでいる。それもマンハッタンの一角でと言う話ではなく、シティ全体で回復が見てとれる。テクノロジー・情報セクターの拡大により、今日のニューヨークは、2007年~2008年にかけての金融セクター主導のブーム時よりもさらに多くのプライベートセクター雇用数を誇っている。
ここ10年余りをかけて、ニューヨークは、サンフランシスコ、ボストン、シアトルに対抗するテクノロジー・シティに成長した。そして、それは金融・法曹セクターとそれらに便乗するホテル業のようなサービス・接客業への依存からの脱却によって成し遂げられた。デブラジオ新市長に与えられた課題は、このトレンドを引き継ぎすべてのニューヨーカーがそこから利益を得られるようにすることだ。
デブラジオ氏の前任者であるマイケル・ブルームバーグには、ニューヨークが「デジタル・シティ」として勃興するのを可能にした人物として自らを誇るに足る理由がある。彼の指揮下で、テクノロジー・情報セクターは、金融セクターに次ぐ市の第二の最強経済エンジンとしての地位を固めた。「インターネット・パブリッシングおよびウェブサーチ・ポータル」産業に従事する人口は、2007年には6%をやや越える程度だったが、現在では市の10%を占めている。
驚くべきことに、このテク・ブームの恩恵に授かっているグループの中心はマイノリティだ。2010年以来、同市でコンピューターおよび数学関連の職種(国勢調査ではテクノロジー関連業務と呼ばれる仕事)に着く黒人の数は、ここ数年で19.7%増加している。(最新国勢調査データからの予備分析ベース。)
同様に、ヒスパニックの数も25.4%の伸びである。 これと対照的に、同種の職業におけるヒスパニックではない白人人口では2010年以来わずか6.4%の増加にとどまっている。
ニューヨークのテクノロジー関連産業で働くマイノリティの数が急激に増加している背景には、テクノロジー分野で学位を取得するマイノリティ学生が近年大幅に増えていることが理由のひとつにあげられるであろう。例えば、全米教育統計センターによれば、コンピューター・情報科学で学士号を取得したヒスパニックの学生は過去3年で40%増加している。これらの人材サプライがニューヨークの雇用市場に吸い上げられた背景には、同市のテクノロジー・情報産業の雇用市場が逼迫しており、企業側が従来のソースを越えて人材確保に走った事情があげられる。
テク・ブームの恩恵は同市の5つの地区*すべてに行き渡っている。2008年中盤から2013年中盤までの期間中、プライベート・セクターの雇用数の伸びは、マンハッタン区でわずか3%だったのに対し、他の4区では9%だった。これは、金融ブーム下でマンハッタン区の雇用数が他の地区をはるかに凌ぐペースで伸びたのとは逆である。(注*:NY市はマンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドの5つのborough=地区から構成されている。)
さらに、グーグル社やマイクロソフト社のような企業がNY市からはまだ産まれていないという懸念をよそに、デジタル・シティとしてのニューヨークは成長を続けている。 コンファレンス・ボードのデータを用いたプログレッシブ・ポリシー・インスティチュートの分析では、2013年の最初の11ヶ月間で、コンピューター・数学関連業務の求人広告数は全米で前年比4.0%増だったのに対し、ニューヨーク市では6.8%増を示した。
その代わり、40万人を雇用する娯楽・サービス産業がNY市の弱みだ。総雇用者数は伸びてはいるが、実質給与が下がっている。これはおそらくホテルやレストランの需要を生み出す金融・法曹セクターが引き続き弱いことに起因しているのだろう。この実質賃金の減少は、他の分野で伸びているNY市の地域経済の足を引っ張っている。
これから新市長は何を学ぶことができるだろうか。ニューヨークの経済拡大は、テクノロジー・情報セクター の成長を目指してブルームバーグ政権が積極的に施した刺激策が功を奏した点には疑問の余地はない。これらの施策には、テク・インキュベーターのための資金提供、小規模テク企業支援を目的とした「Made in NY」のマーケティング・キャンペーン、市全体を網羅するブロードバンド・アクセスの急激な拡大、広範囲に渡り市が着手したオープン・データ戦略(公共およびソフトウェア・デベロッパーに対し市のデータを使用可能にする)、コーネル大とイスラエル工科大学テクニオンを選抜しルーズベルト島に広大な新キャンパスを建設、などが含まれる。
デブラジオ氏は新市長就任式のスピーチで立派な公約、特に収入ギャップの縮小をめざすと述べたが、その目標達成のためにも、新市長は上記政策を継続すべきである。テクノロジー・情報産業ブームをこの先も促進し続けねばならない。なぜなら同産業はNY市の隅々まで新規雇用を創出し、金融と不動産に過剰に依存していたかつての状態を是正するのに役立っているからだ。そしてこの状態が続くことで、将来NY市の経済、ひいては税収が、より安定的なものになると考えられるからだ。
就任スピーチでデブラジオ氏はニューヨークのすべての子ども達がよりよい教育を受ける必要があると力説したが、それは正しい。そしてそれについても、テクノロジーを中心に据えた市のアジェンダ継続の一部として実行すべきだろう。学校を改良しテクノロジー分野で優位に立ち続けるために、新市長は市の学校教育でテクノロジーおよび関連分野の強化を図らねばならない。
不均衡の是正と市の繁栄拡大を実現させる主策とは、ニューヨーカーが未来の職に向けて準備を進めるためのより良い教育とトレーニングに他ならない。その実行に成功すれば、デブラジオ氏は偉大な市長としてのレガシーを遺すことができるだろう。』
(投稿者のマイケル・マンデル氏はProgressive Policy Instituteの経済ストラテジストで、South Mountain Economicsという経済分析会社社長。)
(おわり)
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