前回のエントリーはなんと2月。10ヶ月もエントリーをサボってしまいました。
今年は、昨年の延長のようなニュースが続いたせいもあって、積極的に経済関係のニュースを追いかけてブログにしたためようという気持ちがなぜか失せてしまいました。そうこうしてるうちに年末を迎えてしまった、というわけです。
アメリカでは11月に大統領選挙があり、オバマ大統領が再選を果たしました。オバマ一期目は、彼が政権を引き継いだばかりの4年前と比べると、あの最悪期は脱したものの、4年間途切れることなく民主と共和の二党間が対立する状況が続いて、これといってパッとしないうちに選挙本番を迎えたという感じ。
オバマ政権下での経済復興にちから強さが見られなかったことで、オバマに対する失望の声は少なからずあったものの、それでも、米国は極端な保守へのシフトを歓迎はせず、ミット・ロムニーを推す共和側は十分な票を取れず、オバマ民主政権の続投を許した。
今年の大統領選のテーマは後にも先にも、Jobs! Jobs! Jobs! ということだったわけだが、2007年のリセッション以降、米国の雇用状況がどう回復してきているかは、このおなじみのチャートをどうぞ。(Calculated Riskから)
縦軸は就業数がピークの時を0.0%としており、リセッション後のジョブマーケットの回復振りを見ることができる。ピーク時から数えてすでに58ヶ月が経っているが、落ち込み方が激しかった分、いまだに米国の雇用は水面下にいる。戦後の景気後退に起こった雇用悪化の中では最悪、回復に要する時間も最長で、回復がこのペースで続くとすると、ゆうにあと数年は現在のダラダラ状態が続きそうだと示唆する図である。
ただしポジティブな点も強調しておくと、ダラダラと長期間かかってはいるが、着実に戻してきている、ということでしょうかね・・・。
筆者としては、2013年の米国経済も、2012年のようにこれといって印象的なイベントが起こらないまま、ダラダラ&ノッタリと回復を続けてゆくのではないかと思っているのだが、米国内外どこからともなくショックが襲ってきて、このチンタラ回復曲線が途中で腰折れて下降線に変わらないよう祈るばかりである。
★ ★ ★ ★ ★
さて、筆者の私生活のほうである。
米国経済は2012年はいまいちパッとしない状態だったが、筆者個人にとっての2012年は、大きな変化が訪れた年だった。
その大きな変化というのは、1993年から20年近くも住み続けたマンハッタンのMurray Hill地区のアパートを売却してしまった、ということだ。
2012年は、その前年や前々年と比べるとNYCの住宅不動産市場に結構底堅い雰囲気が出てきたという手ごたえを強く感じた年だった。
このアパートは、2011年にも売り物件として出したのだったが、2011年の間は、まだBottom Feeders(底値を漁り買い叩くバイヤーのこと)が多いという印象で、こちらの言い値に近いビッドで食いついてくるバイヤーがなかなか現れてこなかった。そこで、いったんリストから外した。
ところが2012年に入り、不動産市場が活発になりだす春先に再び売り物件としてリストしてみると、こちらの希望売却価格から極端に乖離していないレベルをスタートにビッドを入れてくる買い手が実際に何組も現れた。
最終的には、リスティングプライスから3%のディスカウントがかかった売却価格で交渉がまとまった。ディスカウントがかかったとはいえ、破格の安値だったわけでもない。マンハッタン内の同様のエリアの同様のユニットの価格と対比させても、だいたい期待値に収まったのではと思う。
いわば、「そこそこのお値段」で、それなりのキャピタルゲインも伴って売れたわけだ。2008年からインベントリーが着実に減少しており、マンハッタンにはもう、超お買い得物件は残っていない。
私たち夫婦が93年から賃貸(サブレット)していたこのユニットを元のオーナーから買ったのは、前回マンハッタンの不動産がボトムをつけた1995年。さらに1997年には隣接していたもうひとつのユニットを当時の破格値で買い増して、1999年に二つのユニットを繋げ、かなり広めのアパートに改装・改築して住んでいた。
住み始めた1993年から売却した2012年までの19年間に、バスルームやキッチン、ユニット接続など、4度にわたる大規模な改装工事を行ったのだが、2軒のユニットのオリジナルコストに改装コストを加えたコストベースよりも高い値段で売れた。
この不動産市況下でもそれなりのプロフィットを出せたのは、ひとつには当該物件を17年間という長期に渡って所有したこともあるが、もうひとつは、ニューヨークシティという地の利、である。「不動産はLocation, Location, Location」という言葉があるが、マンハッタンという場所に不動産を抱えたのは正解だったとつくづく思った次第である。
NYのコンド・Co-op市場のブローカーとしてで大きなシェアを持つ「Corcoran Group」が、つい先日発表したばかりの『マンハッタン住宅不動産:3Q2012の四半期レポート』に、私が住んでいたMurray Hill地区を含むMidtown EastのエリアのCo-op 売買状況について、こう書いている。
The Midtown East co-op market experienced significant median price gains this quarter. Median price increased 10% from last year and 14% from last quarter. Average price per square foot reached $732 this quarter, representing a 4% increase from last year and 3% increase from last quarter.
「ミッドタウン東側(マンハッタン島の北限57丁目、南限34丁目、西限5番街、東限イーストリバーに囲まれたエリアを指す)のCo-Op市場で売却された物件のメディアン価格は2012年第3四半期にめざましい上昇がみられた。メディアン価格は前年同期比で10%、前四半期対比で14%の上昇率だった。スクエアフットあたりの平均価格は$732に上昇、これは前年同期比で4%、前四半期対比で3%の伸びだった。」(注:スクエアフット=Square Foot=0.092平方メートル)
「前年同期比で10%以上の上昇」というのは、上述したとおり、2011年と2012年のマーケットにおいて私自身がセラーとして売買に参加してみて、実際に手ごたえとして得た感触そのもの、である。
あの物件をあと数年持ち続けていれば、おそらくもう少し高い価格で売却できたのかもしれない。しかし、投資というのは、欲の皮をつっぱらかしてばかりいても始まらない。
売るタイミングが来たと思ったら売る、そして、次のフェーズに移るのだ。
マンハッタンの住処を7月に売却した後は、数ヶ月間メイン州の田舎小屋に引きこもって夏を過ごした。そして、今年10月にマンハッタンの北側に位置する郊外ウェストチェスター郡に一軒家を購入し、ふたたびニューヨーク近辺に戻ってきた。
NYから北に電車で一時間の場所に新拠点を構え、わたしの人生そのものも新たなフェーズに入ったのだ。
★ ★ ★ ★ ★
ということで、このブログ名の元になったマンハッタンの『Murray Hill』というエリアの住民ではなくなってしまいました。
でも、ブログ名称をいまさら変更するのも面倒だし、20年以上も住んだからいまだに愛着もあるので、このまま書き続けることにします。
今年も、いろいろな方との出会いがあり、TwitterやFacebookなどSNSでのおしゃべりも楽しませていただきました。
あと5時間もすれば、ニューヨークも2013年を迎えます。
みなさま、今年もお世話になりました。2013年も引き続きよろしくお願いいたします。
No comments:
Post a Comment