住宅価格は下がっているが、賃貸のほうは上昇し続けているというNYタイムズの記事。
(NY Times, 2/24/2012)
ただし、どの街でもそうだというわけではなく、地域差はかなり明確。
下の図(NYタイムズから)によると、ワシントンDCはリセッションが始まって以来、リーマンショックもなんのその、一度もマイナスに陷ることなく上昇し続け。テキサス州経済が好調なオースティンも好調。ボストン、シアトルなども好調。サンフランシスコ、ニューヨークは一度激しく落ち込んだが急上昇で復活モード。
一方いまだに住宅市場の深傷が癒えていないLA、フェニックス(アリゾナ州)、ラスベガスはいまだディープにマイナス圏。フロリダ州オーランドも賃貸料の上昇鈍い。(図をクリックすると拡大します。薄い線が全米平均。)
ワシントンDCの場合は、民間がグシャッと潰れて虫の息だった間でも、やれ救済だ、新たな規制の作成だ、政府主導の景気刺激プログラムだ失業対策だ、なんだかんだ、と政府関係の仕事だけはワンサカあって、不況であればあるほど盛り上がるという、気味悪い地域キャラ(笑)が功を奏していると思われる。
サンフランシスコは、シリコンバレーのハイテク関係の職で盛り上がっているところは盛り上がっているそうで、レント急上昇なのもうなづけますね。
ニューヨークに関していうと、金融街はいまだ昔の元気は取り戻していないものの、「不動産はLocation! Location! Location!」の言われの通り近郊からマンハッタン内への移動も起こっていたりして、マンハッタン内の賃貸(レント)は実際目立って上昇していて、それに呼応するように、売買物件のほうも、賃貸が多いゾーン(60~70平米程度の居住面積の1ベッドルームから1.5ベッドルーム(Junior 4と呼ばれる)物件)の回転率が高まってきているのが、なんとなく感じられる。
筆者は去年から、Zillow.comやTrulia.comやStreeteasy.com などの不動産検索サイトを駆使して、かなり熱心にニューヨークとその近郊の物件価格を睨み続けてきているのだが、マンハッタンの中およびブルックリンの一部では、エリアによっては物件の価格下げ止まり感が顕著になってきているのがわかる。
賃料は上がり続けるうえに、モーゲージ金利も史上最低値のあたり(現在30年固定で4%以下)にあるということで、一部ではお買い得感が出たり潜在バイヤーの触手が動いていることは間違いない。
住宅を買った場合と賃貸をした場合とでどちらが有利かを考慮する際、住宅を買った場合のキャッシュ・アウトフロー(全額個人所得税の控除対象になっている住宅ローンの金利分を調整後の実質賃料換算値)と賃貸のキャッシュ・アウトフロー(毎月払う家賃)を対比させる【Rent Equivalence】で比較してみるのがアメリカでは一般的に行われているが、上記NYタイムズの記事で、どちらが有利かをビジュアル化してみせてくれる計算機のインターアクティブサイトがあったので、紹介しておく。
Is It Better to Buy or Rent?
このサイトで「例」になってるケースは、現在月額家賃1,100ドル払っているひとが、17万2千ドルの家を年率5.5%のローンを組み頭金20%でプロパティ税1.35%の地域に購入した場合、5年で賃貸するより購入したほうがよくなる、という計算結果である。
住宅資産や賃料の年率上昇率、モーゲージ・ローンの借入期間や売却時のキャピタルゲインの税控除対象額など、いろいろ試算の前提を変えて計算することができるすぐれもの。
遊び始めると面白くて止まらなくなるかも・・・。
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