Monday, August 23, 2010

アメリカの「ものづくり」の落ち込みよう

先々週の8月11日、The Manufacturing Enhancement Act of 2010 (2010年製造業促進法)にオバマ大統領が署名し、法案は正式に法制化された。

米国製造業者が必要とする輸入材料の一部にかかる関税を引き下げることにより、製造コストを下げて、製造業の落ち込みを抑え、米国から海外への米国製品の輸出促進につなげようというのが新法の狙いである。

以下はそのときの大統領演説より。

Now, some suggest this decline is inevitable, that the only way for America to get ahead is to leave manufacturing communities and their workers behind. I do not see it that way. The answer isn't to stop building things, to stop making things; the answer is to build things better, make things better, right here in the United States. We will rebuild this economy stronger than before and at its heart will be three powerful words: Made in America.

今起こっている米国の製造業の落ち込みは避けられないものだとか、米国はもう製造業とその労働者のことは忘れて前に進むしかないのだ、などと言う者もいる。だが私はそうは思わない。答えはものづくりをやめることではない。答えは、ここ合衆国で、よりよいものを建て、よりよいものをつくることにあるのだ。我々はこの経済を従来以上に強いものに立て直してみせよう。そして、それの核となるものは、次のパワフルな3つの単語になる。それは、メイド・イン・アメリカ。

演説全文はこちら

オバマはこの演説で、過去10年間で、米国の製造業の従事者は33%縮小したと述べた。

時間軸をもっと長くとり、1930年代からみると、米国の非農業部門ペイロールに占める製造業従事者の割合は、みごとな下降一直線を描く。



かつては40%近くあった割合が、現在は10%を切っている。(グラフはInfectious Greedより)

き、厳しい・・・

MADE IN AMERICA の道は、いばらの道。


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【追記】 上のグラフの統計に国際比較があることを教えてもらいました。(Thanks to fukumimi

データは米国労働省が出している、International Labor Comparisons

1970年から2009年までの時系列ですが、これをみると、1970年時点では、米国と日本はほぼ同じ、26~27%といったところ。これが2009年になると、米国は10%、日本も減ってはいますが17%。

ドイツは39%(1970)から21%(2009)へと約半減。イギリスも2009年時点では米国並みの10%という数値になっています。

現時点での割合には各国でばらつきはあるものの、1970年からの約40年間で、先進国の「ものづくり」人口は総じて減少傾向。

この点について、Twitterで、「製造業従事者の減少は生産工程の自動化によるところも大きいので、必ずしもものづくりの衰退と同一でないのではないか」というご意見も頂戴した。(Thanks to Usekm

たしかにそれももっともですよね。

製造コスト(人件費)に惹かれて、先進国企業が生産拠点を新興国に移し出してから久しいわけですが、その新興国でも従業員の賃金交渉ストなどが頻発しており、グローバルの「ものつくり」のフロントは、この先、まだまだ変わっていきそうだよな・・・。

なかなか興味深いですね。いろいろ考えるポイントがありそうだ。

今後の参考のために、この労働省のデータも、ここに貼っておくことにする。(クリックすると拡大します。)

3 comments:

Anonymous said...

はじめまして 興味深いエントリーでした
一方でこんな見方もあります


〉アメリカのGDPに占める製造業の割合は、大体13%前後でずっと安定している。
〉一方製造業が雇用する労働者の数は大幅に縮小している。生産効率は毎年2%上昇している。
〉つまり経済に占める割合は変わらずとも、効率は毎年改善されている。
アメリカの製造業
http://ameblo.jp/itsanyclife/entry-10302157214.html

3rdworldman said...

International Labor Comparisonsには1970年からの主要国雇用データがあり、先日からその時系列比較グラフを作っていたところです。雇用者「総数」の推移を比較すると、アメリカが基調的に増加を続けているのに対し、日本は1990年以降の20年間は横ばいないし減少の基調が続いています。UKやフランスは以前に減少もありましたが、過去15年くらいは増加基調に変わっています。GDPと雇用の伸び率の「鶏と卵」関係はどちらが解決のキーになりうるのでしょうか?

Trinity @ NYC said...

>3rdworldmanさん

こんにちわ。少なくとも米国については、雇用者総数の伸びは「移民」と深くかかわっているようです。ただ、以前、ここのブログでも書いたのですが、雇用者数自体は伸びても、プロダクテイビティやクオリティもともに向上するか・・・そこらへんは、わたしには確信持てないところであります。ここらへんはエコノミストたちが、どうみてるのかな・・・と、わたしも興味ありです。http://wholekernel.blogspot.com/2010/03/4.html