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Thursday, June 12, 2014

ホワイトカラー・エグゼンプションについて

6月11日付けの日経新聞に、日本政府が日本にも導入しようとしている「ホワイトカラー・エグゼンプション」についての記事が載っていた。

年収少なくとも1000万円以上 労働時間の規制緩和  (日経新聞)

(以下記事から引用)

政府は11日、働いた時間ではなく成果に応じて給与を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、対象者の年収基準を「少なくとも1000万円以上」とすることを決めた。月末にまとめる成長戦略に明記する。職種は金融のディーラーなど「職務の範囲が明確で、高い能力を持つ労働者」と記す。改革が進まなかった労働規制に風穴が開く。

菅義偉官房長官と甘利明経済財政・再生相、田村憲久厚生労働相、稲田朋美行政改革相の4閣僚が協議して合意した。労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で、具体的な金額など仕組みを詰める。2015年の通常国会に労働基準法の改正案を出し、16年春の施行を目指す。

政府が新たに導入するのは、1日8時間、週40時間という労働時間の規制を外す仕組み。長く働いても残業代や深夜・休日手当が出ないため、仕事を効率的にすませる効果が期待できる。日本では課長以上の管理職はもともと労働時間規制を外しているが、それ以外の社員を対象から外すのは初めてとなる。
(引用終わり)


この「ホワイトカラー・エグゼンプション」だが、日本の記事やブログを読むと、どうも議論が迷走しているような気がしてならない。

「最初は年収1000万円以上なんて言ってるが、その対象年収をそれよりもずっと低いレベルまでなし崩し的に下げてゆくつもりなのではないのか」という懸念、もっと直接的に言うと、「どんなに長時間働いても残業代を出さないつもりだなバッキャロー」という類の反応が目に付き、日本ではこれの導入に関して、かなり感情的に反応してるひとが多いな、という印象である。

しかし、そもそものところで、この「ホワイトカラー・エグゼンプション」というカタカナ語を、どれほど多くの日本人が理解しているのだろうか。

上述の日経新聞の記事中の用語解説では、次のように説明されている。

「ホワイトカラー労働者(主に事務などに従事する労働者)に対して、労働時間規制の適用を免除する措置。現行法では労働時間の長さで給与や報酬を決めること が原則になっている。一方で、管理職や専門職、企画立案などでは働く時間の長さと成果が比例しない職種も多い。自己管理型労働制によって、こうした労働者 が仕事の進ちょくや生活に応じた柔軟な働き方を行うことを可能にする方式として提唱された。経済界を中心に導入を求める声が高まったが、多くの労働組合か ら残業代ゼロをめざすものと反発を受けた。」

言うまでもなく、「ホワイトカラー・エグゼンプション」とは英語の『White Color Exemption』で、これは米国の労働法に関わる制度の一部だ。だが、日本の労働者の多くが、実は、この『White Color Exemption』という英語フレーズの意味をよく咀嚼しないまま、 「残業代を出さずに搾取する制度を作りやがる気だなバッキャロー」というイメージばかりを膨らませているのではなかろうか。

先日、この記事を読んだときに、筆者はツイッターでこんなことをつぶやいた。





これに対し、@aoyaman1 さんから以下のような反応を頂いた。





「欧米と日本の労働形態の違いは、労働法制ではなく、慣行にすぎない」――前々から感じていた、ホワイトカラー・エグゼンプションに関わる議論が日本で迷走する背景は、まさにこれだろうと思った。


前置きが長くなったが、今回のMHJでは、米国で言うところの、White Color Exemption とは何かを紹介しようと思う。

 ★    ★    ★    ★   ★

White Color Exemption―。

まずは、Exemption という英単語の意味からみてみたい。

exemption 【名】免除、免税、免除(品)、(課税)控除、適用除外

「He is exempt from △△△・・・」 と言うと、「彼は△△△の適用を免れる」という意味である。

White Color Exemption のExemption とは、【何か】の適用から除外されているために、exemptionというのである。それは具体的に何なのか。

これについて語るには、まずは、FLSA という法律について語らねばならない。

FLSAとは『Fair Labor Standard Act』の頭文字を取ったもので、要するに、米国版労働基準法である。

この法律の概要は以下の通り。

① 最低賃金について: 現在、1時間あたり$7.25 (ただし、米国の場合は最終的には州が自州内における最低賃金の決定権を持ち、連邦レベルで決められた最低基準を満たす限りこれを超えることが認められている。州ごとの最低賃金一覧はこちら。)

②  残業について: フルタイム従業員の場合は週40時間を基準とし、40時間を越える労働時間に対しては基本時給の1.5倍あるいはそれ以上のレートで残業代を支払わねばならない。

③  就業時間について: 通常業務とみなされる時間の定義としては、「Workplace(職場)」における就業時間を指す。

④ 記録管理について: 雇用主は従業員が仕事に従事した時間および給与を記録・管理しなければならない。

⑤ 児童の就業について: 児童が就業する場合(例えば、こどもの演奏家や芸能人など) に関する規定


米国企業で働く従業員はすべからく、この法律の下に守られており、例えばある企業が労働条件を自社ルールと称して勝手に決めて、「他所さんは知らんけど、うちは週50時間でみんなにやってもらってるんで、給料もうちのやり方で払うから、そこんとこ、文句言わんといてな!」なーんてことは勝手に言ってはいけないんである。

この米国の公正労働基準法で決められた条件のうち、とくに重要になってくるのが①と②で、Exemption と言っているのは、これらの法規定の適用から除外されている(exempt from the FLSA rules)という意味なんである。

要するにですね、FLSAというのは時間給で給料もらっている従業員に関わること細かい規定なわけだが、これらのルールが適用されない従業員、すなわち、「時給ベースではなくて、サラリーがあらかじめ決まった年俸契約で雇用され、何時間働いても残業代はつかないから就業した時間をタイムカード押して記録・管理する必要のない従業員」 のことを、アメリカでは、Exempt Employees と呼ぶのである。

一方、上記のFLSAの規定がいちいちがっつり適用される従業員、すなわち、しっかり毎日タイムカード押して就業時間が記録・管理され、就業時間が週40時間を越えるとベース時給の1.5倍のレートで残業代をもらえる人達は、「FLSA適用免除にならない」ということで、Non-Exempt Employees と呼ばれる。

(次回に続く)

Thursday, January 9, 2014

シリコン・シティ

わあああ、あっという間に2014年になってしまいました!!

なんと、2013年はついに、ひとつも記事をポストしなかった、という怠けぶり。


2014年は、少しこころを入れ替えてブログ書く時間もみつけようと、いま、決心しました。それで、ブログデザインのテンプレートも変えてみました。 

さて、2012年の夏に長年住んだマンハッタンのアパートを売却し、同年秋に、NY市のすぐ北に位置するウェストチェスター郡に一軒家を購入し引越してきたわけですが、勝手の違う郊外での生活に慣れるまで、実際、まる1年かかりました。

いまでも自分はニューヨーカーと思っていますが、遊びや仕事でシティに出かけると、街いっぱいに溢れる過剰なエネルギーと騒々しさに疲れてきて、静かな郊外の自宅にはやく戻りたいと感じるようになってきています。

以前はビルを出ると目の前にスーパーもレストランもドラッグストアもなんでもある生活をしていたのに、いまはどこに行くにも車です。でもそれにも完全に慣れ、いまや「車のない生活」など想像することすらできません。

犬達はもちろん広々とした庭付き郊外の生活はストレスもなく超ハッピー。シティを出てから、ただの一度も下痢したり吐いたりしません。(マンハッタン時代は、毎月のように、どこか具合悪くなって医者に連れていったりしてたのでした。)

ということで、新生活に慣れるのにかまけているうち、ブログを全く更新しなかったわけですが、いまこうしてこころを入れ替えましたので(笑)、引き続きよろしくお願いいたします。


   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆    ☆ 


先週は、郊外のご近所さん主催の新年パーティにお呼ばれして出かけ、そこでマンハッタンにオフィス構える大手金融機関で現在セルサイドで証券アナリストとして勤めてる方と知り合い、かつて自分も同業だったことから、初対面なのに話が弾んだ。

彼曰く、ニューヨークシティはたしかに景気盛り上がって調子よくなってきてるけど、ウォール街の大手ハウスにはかつての活気は戻っていないし、トレーディングフロアでも、株価こそ好調なれど基本的に取引ボリュームそのものが足りてないんで、They are not so happy campers. とも言ってました。

米国で業務展開する欧州系の金融機関も、金融危機の負の遺産処理継続と新自己資本規制の重みから、どこも台所事情はかなり苦しいらしい。米国の金融機関は、「まあ、最悪期去って、金利もじゅんぐり上がるだろうし、ボチボチなんとかなるでしょう」というざっくりしたイメージでわたしらは同意しあったけど、ヒャッホーーー!と盛り上がる局面じゃないよねぇ・・・と。

われらアナリスト業界も、危機時にコスト削減し過ぎて中堅・シニアのクビを切りまくったのが祟り、経験も知識も浅い(つまり雇う側からすると安いw)アナリストが割合として増え、また、アナリストひとりあたりの受け持ちがやたら多くて馬車馬のように働かされてる割りには分析は表層的になっているし、仕事は増えても給料増えず、といった暗い話も聞きましたよ。orz



   ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆    ☆ 


ということで、米金融業界の内情を聞いてみると、各社CEO達が決算発表のたびにバラ色ストーリーを振りまいてるほどにはバラ色でもない様子なのだが、ニューヨークシティ全体でみると、シティの経済状況は西のサンフランシスコなどとならび極めて良好で、米国の他の地域から頭ひとつ抜きん出て回復が顕著になっている。

NY市の不動産価格もけっこう好調である。マンハッタンのみならず、川を越えたブルックリンやクイーンズでも、エリアによってレンタル・セールスともに絶好調。New York Daily Newsに、今日付けで、こんな記事。
 

Brooklyn real estate keeps soaring as both sales and rental markets end 2013 on a high note 


1990年代から2000年代中盤までは、ニューヨークシティの経済のけん引役といえば金融セクターだったわけだが、 それがここ数年で相当様変わりしている。その様変わりについて、1月6日のNew York Timesに関連記事があったので、以下に紹介する。

2013年、ニューヨーク経済のけん引役はテクノロジー業界が完全に取って替わったのである。

New York, the Silicon City


以下、拙訳。

『先週、ビル・デブラジオが新市長となりニューヨークシティの地域経済の舵取りを任されることとなったが、金融危機崩壊後、ニューヨーク経済は米国の他地域を大きく引き離し景気拡大が進んでいる。それもマンハッタンの一角でと言う話ではなく、シティ全体で回復が見てとれる。テクノロジー・情報セクターの拡大により、今日のニューヨークは、2007年~2008年にかけての金融セクター主導のブーム時よりもさらに多くのプライベートセクター雇用数を誇っている。

 ここ10年余りをかけて、ニューヨークは、サンフランシスコ、ボストン、シアトルに対抗するテクノロジー・シティに成長した。そして、それは金融・法曹セクターとそれらに便乗するホテル業のようなサービス・接客業への依存からの脱却によって成し遂げられた。デブラジオ新市長に与えられた課題は、このトレンドを引き継ぎすべてのニューヨーカーがそこから利益を得られるようにすることだ。

デブラジオ氏の前任者であるマイケル・ブルームバーグには、ニューヨークが「デジタル・シティ」として勃興するのを可能にした人物として自らを誇るに足る理由がある。彼の指揮下で、テクノロジー・情報セクターは、金融セクターに次ぐ市の第二の最強経済エンジンとしての地位を固めた。「インターネット・パブリッシングおよびウェブサーチ・ポータル」産業に従事する人口は、2007年には6%をやや越える程度だったが、現在では市の10%を占めている。

驚くべきことに、このテク・ブームの恩恵に授かっているグループの中心はマイノリティだ。2010年以来、同市でコンピューターおよび数学関連の職種(国勢調査ではテクノロジー関連業務と呼ばれる仕事)に着く黒人の数は、ここ数年で19.7%増加している。(最新国勢調査データからの予備分析ベース。)

同様に、ヒスパニックの数も25.4%の伸びである。 これと対照的に、同種の職業におけるヒスパニックではない白人人口では2010年以来わずか6.4%の増加にとどまっている。

ニューヨークのテクノロジー関連産業で働くマイノリティの数が急激に増加している背景には、テクノロジー分野で学位を取得するマイノリティ学生が近年大幅に増えていることが理由のひとつにあげられるであろう。例えば、全米教育統計センターによれば、コンピューター・情報科学で学士号を取得したヒスパニックの学生は過去3年で40%増加している。これらの人材サプライがニューヨークの雇用市場に吸い上げられた背景には、同市のテクノロジー・情報産業の雇用市場が逼迫しており、企業側が従来のソースを越えて人材確保に走った事情があげられる。

テク・ブームの恩恵は同市の5つの地区*すべてに行き渡っている。2008年中盤から2013年中盤までの期間中、プライベート・セクターの雇用数の伸びは、マンハッタン区でわずか3%だったのに対し、他の4区では9%だった。これは、金融ブーム下でマンハッタン区の雇用数が他の地区をはるかに凌ぐペースで伸びたのとは逆である。(注*:NY市はマンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドの5つのborough=地区から構成されている。)

さらに、グーグル社やマイクロソフト社のような企業がNY市からはまだ産まれていないという懸念をよそに、デジタル・シティとしてのニューヨークは成長を続けている。 コンファレンス・ボードのデータを用いたプログレッシブ・ポリシー・インスティチュートの分析では、2013年の最初の11ヶ月間で、コンピューター・数学関連業務の求人広告数は全米で前年比4.0%増だったのに対し、ニューヨーク市では6.8%増を示した。

その代わり、40万人を雇用する娯楽・サービス産業がNY市の弱みだ。総雇用者数は伸びてはいるが、実質給与が下がっている。これはおそらくホテルやレストランの需要を生み出す金融・法曹セクターが引き続き弱いことに起因しているのだろう。この実質賃金の減少は、他の分野で伸びているNY市の地域経済の足を引っ張っている。

これから新市長は何を学ぶことができるだろうか。ニューヨークの経済拡大は、テクノロジー・情報セクター の成長を目指してブルームバーグ政権が積極的に施した刺激策が功を奏した点には疑問の余地はない。これらの施策には、テク・インキュベーターのための資金提供、小規模テク企業支援を目的とした「Made in NY」のマーケティング・キャンペーン、市全体を網羅するブロードバンド・アクセスの急激な拡大、広範囲に渡り市が着手したオープン・データ戦略(公共およびソフトウェア・デベロッパーに対し市のデータを使用可能にする)、コーネル大とイスラエル工科大学テクニオンを選抜しルーズベルト島に広大な新キャンパスを建設、などが含まれる。

デブラジオ氏は新市長就任式のスピーチで立派な公約、特に収入ギャップの縮小をめざすと述べたが、その目標達成のためにも、新市長は上記政策を継続すべきである。テクノロジー・情報産業ブームをこの先も促進し続けねばならない。なぜなら同産業はNY市の隅々まで新規雇用を創出し、金融と不動産に過剰に依存していたかつての状態を是正するのに役立っているからだ。そしてこの状態が続くことで、将来NY市の経済、ひいては税収が、より安定的なものになると考えられるからだ。

就任スピーチでデブラジオ氏はニューヨークのすべての子ども達がよりよい教育を受ける必要があると力説したが、それは正しい。そしてそれについても、テクノロジーを中心に据えた市のアジェンダ継続の一部として実行すべきだろう。学校を改良しテクノロジー分野で優位に立ち続けるために、新市長は市の学校教育でテクノロジーおよび関連分野の強化を図らねばならない。

不均衡の是正と市の繁栄拡大を実現させる主策とは、ニューヨーカーが未来の職に向けて準備を進めるためのより良い教育とトレーニングに他ならない。その実行に成功すれば、デブラジオ氏は偉大な市長としてのレガシーを遺すことができるだろう。』

(投稿者のマイケル・マンデル氏はProgressive Policy Instituteの経済ストラテジストで、South Mountain Economicsという経済分析会社社長。)

(おわり)


Monday, December 5, 2011

米国の郵便局、来年末までに2万8千人解雇

債務負担が重すぎて、このままでは債務不履行も免れないと心配されてきた米国の郵便局サービス(U.S. Postal Service、略してUSPS)が、月曜日、独自に大胆なコストカット策を発表した。

Post Office Aims to Save Billions With Reductions in Workforce, Delivery Time
(Fox News, 12/5/2011)

USPSはすでに議会に対し、①配達日数を現在の週6日から5日に切り下げる、②USPS従業員のヘルスケア向け支払い義務の軽減、などを議会に承認してくれるよう強く求めてきたが、なにせ政界のほうはオバマの政策を巡って共和側が徹底反抗し続けて硬直状態が続いており、1年も前から米会計検査院から「ヤバさ充満してるからモタモタしてないでUSPSの再建案を議会承認しろ」とせっつかれていたのに、進展らしい進展をみせなかった。

議会が内向きのポリティクスで頭一杯になってる間にも、USPSのキャッシュフローは高速で悪化していっており、今月末には退職者向けヘルスケア基金への支払い$5.5Billion もあって、もはや待ったなしの状態。上で「独自に」と言ったのは、議会の承認を待たずして以下の削減に着手するらしいからだ。

プランの詳細は、すでに発表されていた3300箇所の郵便局閉鎖に加え、
  • 郵便物仕分けなどのプロセッシング作業センターの稼働時間を現在の6~6.5時間から16~20時間に延ばし、プロセッシング機器の数そのものを削減。
  • これに伴い、全米に散らばるプロセッシング・センターの数を現在の461箇所から252箇所に削減。
  • センターの削減にともない、2012年までに2万8000人の従業員を削減。
  • ファーストクラスメールの配達日を、これまでの1~3日以内から2~3日以内とし、ファーストクラスメールの翌日配達サービスを止める。


1.配達サービスの劣化に踏み切る

米国の郵便配達のファーストクラスメールの配達日数内訳は現在、42%が翌日配達、27%が2日かかる、31%が3日かかる、4~5日かかるのは1%以下だそう。これを今後は、「2日かかる」が51%、残りを3日かそれ以降にするという変更。

Snail Mail (カタツムリのようにノロい配達)といまでも揶揄されてる郵便局のサービスが、さらに遅くなる。



(USPSの言い分としては、そもそも第一種郵便物=First Class Mailは翌日配達は「保証」はしてないし、もしどうしても、翌日配達希望ならそれが保証されてる高料金の速達=Express Mailを使え、ということらしい。)

ファーストクラスメールの切手代は、来年1月22日から、現行の44セントから45セントに値上げされることが決まっているが、配達量が減っているのに、この程度の値上げだけでは悪化する財務の建て直しは不可能で、大幅なコスト削減に加えサービスそのものの劣化(配達遅延)に踏み切る格好。配達日数を遅らせるのは、政府直轄だったPost OfficeからUS Postal Service と名称を変え米政府から独立した1971年以降、40年間で初めてのことらしい。

ファーストクラスメールはUSPSにとって最も収益性の高いプロダクトではあるが、近年の収益の減少度合いとしては最大の部分でもあり、この部分に大きくメスを入れねばならないほど収支はガタガタになっている。

2.重要!最大の問題点は退職者のヘルスケアコスト

この問題を語る上で重要ポイントとなるのは、USPSが財務危機に陥った最大の問題点は、退職者向けベネフィットの負担が重過ぎる、という点だ。

USPSというのは、政府から独立したエージェンシーというステータスではあるのだが、業務内容の変更等は議会の承認を得なければならないことになっている。かつて90万人という従業員を抱えた大組織だったが、現在はそこから25万人以上も従業員総数が減り、なのに、いまだに90万人の時代のベースで計算されたヘルスケアコストを75年前倒しで粛々と基金に積み立てる「義務」がある。その額が2010年度分で$5.5Billion。

この$5.5Billionはもともと今年9月半ばが支払い予定日だったが手元キャッシュが足りず、議会に泣きついて11月18日に延期してもらった。しかし11月にもまた払えそうもなくなって、12月まで支払い期限を延ばしてもらっていた。USPS側は、ホリデーシーズンにキャッシュはなんとか作れると言っていたが、綱渡り状態でこの3ヶ月を凌いできたことは確かなのだ。

非効率なオペレーションのせいで、本業の儲けの段階ですでに赤字になっているのに、そこに退職者向けベネフィットがドーンとのしかかり、赤字幅をどんどん広げてゆくという悪循環に陥っているのである。


3.配達個数は減少の一途

退職者ヘルスケアコストの基金への前倒し積み立て「義務化」は2006年に議会で決定されたが、皮肉なことに、同じ2006年にUSPSは配達郵便物数過去最高の2130億個を記録して、その後は配達数は減少の一途をたどり、2010年には2割減の1710億個まで減少した。

配達個数減少の理由は言わずもがな、景気後退。そして、電子メールやオンラインでの請求書支払いなどが普及して、クリスマスカードや母の日カードなどの特需は残っているとはいえ、一般郵便物の利用が激減したこと。さらに小包み配達の分野ではUPSやFEDEXなど民間に完全に水をあけられ、オンラインショッピングの新規需要をキャプチャーできなかった。別の例ではNetflixのようなDVD配達サービスもネットによる動画ストリーミングへと軸足を向けているなど、「時代の流れ」の一貫で、郵便物離れに歯止めをかけられない。


4.人件費8割、財務状況は去年既に崖っぷち

一年前の資料だが、昨年12月2日に米国会計検査院(GAO)がUSPSの財務建て直しについて議会証言した証言のトランスクリプトがネットで入手できる。

U.S. POSTAL SERVICE:Legislation Needed to Address Key Challenges

証言の出だしの文章から、いきなり真っ暗闇なのが、すごい。
USPS’s financial condition continued to decline in fiscal year 2010 and its financial outlook is poor for fiscal year 2011 and the foreseeable future. 

(USPSの財務状況は2010年度も引き続き悪化した。2011年度も脆弱のまま推移の予想、近い将来に財務が再建される目処が立っていない。)

この証言に出てくる前年度(2010年度)の具体的な財務数値を見てみよう。
  • 2010年度のUSPSの総収入$67.1Billionに対し、総支出$75.6Billionで、過去最大の$8.5Billionの赤字。前年度の赤字$4.7Billionから大幅増。
  • 財務省への借金総額$1.8Billion 増加で借入金総額$12Billion (最大借り入れ枠は$15Billion)。
  • 会計年度末時点の現金残高は$1.2Billion。
そして、1年前の段階で2011年度の予算として出されているのが以下の数字。
  • 最終赤字$6.4Billionにやや縮小の見込み
  • 財務省への借金総額は$3Billion増加で、法的借り入れ上限の$15Billionに到達予定
  • 年度末時点の手持ち現金残高は$2.7Billionの見込み

USPSの支出の実に80%が福利厚生も含めた人件費で占められ、従業員の削減や人的コストの見直しが議会承認などのステップを踏まない限り基本的に独自ではできないため、現実的なオペレーションに即した柔軟な対応が不可能になっている。本業からの収益が減少トレンドをたどるなか、コストの側は硬直的で非常に負担が重くなっている。

GAOは、この最悪の状況からUSPSが再建するためには議会は法的な変更に着手して、退職者へのベネフィットの見直しなどを早急に図るべきと進言していた。


5.収入減続き今年度の財務はさらなる悪化

そして、この証言から、丸一年が経過した・・・。

USPSの2011年度の実績がどうなったかと思って検索してみたら、次の記事を見つけた。

Postal Service will resume FERS retirement contributions next month
(Government Executive, 11/15/2011)

この記事によると、最終赤字$6.5Billionの予想に対し、実績は$5.1Billionの赤字であった。

予想よりもよかったのかと一瞬思うが、これは前述した「退職者向けヘルスケア基金への積立金」$5.5Billionの支払い期日が会計年度末日を超えて先延ばしされたおかげで、もし、この$5.5Billionが期日どおり支払われていたら、USPSの赤字額は$10.6Billionとなり、予想$6.5Billionを大幅に上回り悪化していた。

コストカットの采配がUSPSに与えられていないために人件費が硬直的で事業スリム化の妨げになっている一方で、収入の方は、配達郵便物数が前年比1.7%減少。特にファーストクラスメールの減少分が大きく、この商品だけで$2Billion失った。その他の商品の売り上げ増加分で幾分オフセットされたものの、トップライン全体の減少は抑えられず、最終赤字幅の拡大に至った。

手持ちのキャッシュ残高が$1~2Billion程度しかない会社が、毎年毎年$7~10Billionの赤字を垂れ流す、の図。



6.民営化の期待もあるが、政治・組合絡んで複雑

議会の方は、危機的な財政状態に置かれているUSPSに柔軟性を持たせるための法案『21 Century Postal Service Act』の通過に取り掛かっているが、これが、例の退職者向けヘルスケアも含めた高コスト体質の抜本解決を導くかは疑問視されている。

政府からの借り入れ枠の法的上限に達してしまっていることもあり、このままの状態が続くと、手元のキャッシュが完全に底を尽くのは来年中、2015年までに$20Billionのコスト削減を実行しなければ利益を出せる体質に戻るのは不可能、とUSPS自身は考えている。

USPSのトップPatrick Donahue は、政府から無尽蔵に支援を受けて延命するより、組織改革・財務改革を徹底させて一部民営化を進めたいようだ。ヘルスケア関連債務の大幅リストラと50万人以上いる配達人の数を20万人以上削減して経営改善を図るのが好ましい、と9月の議会証言でも主張している。

だが、そこは連邦レベルだけではなく地方レベルでのポリティクスも絡んでくる上、一部民営化となれば即クビ切り対象となる郵便局員組合も抗戦の構えでいるのは想像に難くなく、なかなか簡単には進みそうもないらしい。

The Politics of a USPS Default
(Politico, 9/11/2011)

退職者ベネフィットという重荷に耐えられず沈みかけている、USPSという巨艦。しかし、退職者の年金債務や福利厚生債務で破裂しそうになっている組織は、米国の自治体しかり、民間企業しかり、USPSだけではないのだ。

Friday, October 21, 2011

共和党大統領予備選ディベート

共和党候補同士のTVディベート。

すでに何度も開かれて、もう何度開かれたのか、実際それすら、筆者にはもうわからない。

何度聞こうが、トピックとしては目新しい話はさほどないし、有権者もみんな飽きてきている。飽きてくるとおちょくりたくなるのが人の常。下のビデオ、笑った。



(本命は、上のおちょくり動画でへべれけになってるロムニーと言われているけどね。)

hat tip: Jeff Harding @ The Daily Capitalist

Friday, August 5, 2011

米国債格下げは最も重要性の「低い」問題

金曜日の夜、S&Pが米国債をトリプルAからAA+(ダブルAプラス)に格下げした。

S&P Downgrades U.S. Debt for First Time
(WSJ, 8/5/11)

S&P Downgrades U.S. Debt Rating — Press Release
(WSJ, 8/5/11)

いろいろな人がいろいろなことを言っているが、WSJのLive Blogに出ていた、ある市場関係者のコメントが、筆者の考えに最も近かったので、書き留めておこうと思う。(赤字は筆者による)

10:46 pm Downgrade Was 'Expected
Adrian K. Miller of Miller Tabak Roberts Securities says:

"After much debate within the management of S&P, they actually downgraded the U.S. rating to AA+, the first time in the history of the ratings. In retrospect, given the anemic budget proposal passed by Congress and the Administration recently we are not surprised by the decision. After all, the budget, as it is currently constructed, does little to address the U.S.'s budget deficit and absolute debt levels.

As we have indicated in previous commentary, should S&P hold to its word of downgrading U.S.'s rating should they not pass a bill that meaningfully address the U.S.'s debt levels, a ratings cut was imminent. As such, Friday night's downgrade should have been expected.

In order to confirm our forecast, following an expected negative knee jerk reaction, over the mid- to long-term, we do not expect this downgrade to materially impact credit markets despite an obvious increase in funding costs tied to the downgrade. Instead, markets have a significant number of other issues, both domestically and internationally, to worry about. The least of which is the downgrade."
(抄訳)「S&Pの決定は歴史的な出来事だとはいえ、サプライズではない。議会が通した法案は米国の債務の状況を好転させる内容ではなかったのだから、S&Pは前々から言っていた意見を通すのは当たり前で、この格下げは予想されていたことだ。最初は大きなリアクションが起こることは予想されるものの、中長期的にみれば、この格下げが、調達コストを上昇させてもクレジット市場に重大なインパクトを及ぼすとは考えていない。むしろ、市場は国内外で実に多くの頭の痛い問題を抱えており、この格下げはそれらの中で最も重要度の低いものだ。」

筆者の今朝のツイートと、呼応する。



そう、マーケットには頭痛の種がまだ沢山転がっている。

悪材料出尽くしという意見もあるらしいが、筆者から言わせてもらうと、そもそものところで、格下げ懸念が米国の株価を押し下げていた主因ではないのに、何故これで「出尽くし」になるのだろうか?

上でMiller氏がいうように、この格下げの話は、マーケットの懸念の中で「最も重要度が低い」話だ。

株式がヘッドラインと為替の動きに反応してボラティリティを上げる間、資金はFlight to Safetyで米国債へと向うだろうし、米国債の代替になる国債が、事実、存在していない。

数日前に、中国の市場関係者が「中国は米国債を大量に保有する以外の選択肢はほとんどない」と述べている記事を見かけたが、まさに、これが債券市場の本音。

格付け会社の一角が米国債の格付けをAAAからAA+に変更しようがどうしようが、米国債は依然として、世界で最も流動性が高く、最もクオリティの高い債券のひとつとして位置することに変わりはないのだ。

この格下げは、経済的な側面よりもむしろ、政治的な側面に作用するのではないかと筆者は思う。債務上限問題でゴリ押しを重ねて民主側から妥協を勝ち取った共和にとっては、これは、さらに追い風。「歴史上始まって以来初めて米国債のトリプルAを失った大統領」というラベルをオバマに貼って、鬼の首を取ったかのように現政権批判と責任追及のネタとして使えるようになるからだ。

Wednesday, August 3, 2011

デフォルト回避と歳出削減の次のお題は「増税」か

昨日8月2日のデッドラインぎりぎりに、上限引き上げ問題はいちおう(暫定的に)一段落。

(AP, 8/2/11)

しかし、法案が可決されて大統領が正式にサインをしたとたんに、NY株市場は激しいセル・オフ。最終決議が出る前に、ワシントンDCのアホ騒ぎは「終わった話」になっていた。そして、格下げされるぞと脅され続けていた米国債には大きく買いが入り上昇。ドルは沈下、ゴールドは上昇。今日も引き続きゴールドは値を上げて、米株は大きく上下に振れ、10年米国債はさらに上昇。大荒れである。

ダウのトランスポーテーション株は昨日4%ダウン。どこかに明るい話は転がってないかと探してみると、The Big PictureのBarry Ritholtzによると、トランスポーテーションが下がると通常は原油価格低下の伏線になるとのこと。もし毎日往復で70マイル走るひとがいるとすると、ガソリンが$1低下すれば$1500の年間セービングになり、これは消費者にとっては税金の削減効果に等しい、と。

ヤタ!(←空しいけれど、いちおう、言ってみる。)

(The Big Picture, 8/3/11)

しかし、である。

今回法案が通り、米国債デフォルトの危機は回避されたものの、連邦政府はお茶会に突き上げられて歳出削減の証文にハンコ押さされたわけだから、【財政緊縮】の効果はいやおうなく迫ってくる。財務省は来週にも$72Bnの長期債を発行予定で、国家のキャッシュフローはなんとかなるとはいえ、経済がドツボに未だはまっている真っ最中に歳出を切り詰めてゆくとなると、誰もが頭に思い浮かべるのは、1937という呪いの数字。(呪いの数字については、拙ブログ『この道は(ルーズベルトが)いつか来た道?』参照。)

市場のセンチメントが悪化するのも、あたりまえ。

連邦政府の歳出削減のあおりは、当然、州自治体政府への補助金カットという形で跳ね返ってくる。失業率9%から下がらないでいるというのに、補助金も削られて、いったいどうなっちゃうんだろう・・・。我が家も今以上に生活切り詰めて、それこそ引き出しの中に10円玉転がってないか探すようになってしまうのだろうか・・・。

なんとなく気持ちがどよんと暗くなってたところに、ダメ押しの記事を見つけたので、紹介しておく。

(Calculated Risk, 8/3/11)

National Employment Law Project (NELP)が発行した分析レポートによると、失業保険のベネフィットを減少させている州が増えていて、州の失業保険支払い用基金が枯渇してしまった州は連邦政府から借金して失業保険払ってる、というのである。

米国の場合、失業保険の支払いや基金の管理は州にまかされているが、支払い期間は26週(半年)という一種の不文律があって、どの州も過去50年間にわたり、それでやってきた。ところが、州によってはいよいよ無い袖は触れなくなって、州独自の判断により2011年から支払い期間がそれより短くなってしまった州が複数ある、という。

Michigan, Missouri, and South Carolina cut their available weeks down to 20; Arkansas and Illinois cut down to 25; and Florida cut to between 12 and 23 weeks, depending on the state’s unemployment rate. Double-digit unemployment in Michigan, South Carolina, and Florida did not discourage lawmakers there from making the cuts.

... Indiana changed the formula it uses to calculate weekly benefit amounts so that the average unemployment check will drop from $283 to $220 a week.

ミシガン、ミズーリ、サウスカロライナは20週に。アーカンソー、イリノイは25週に。フロリダは州失業率に応じて12週から23週の間に。インディアナは計算フォーミュラを変更して週の失業保険の額を$283から$220に下げた。ミシガン、サウスカロライナ、フロリダは失業率が2桁になっており、やらざるを得なかった。

さらに、連邦政府から借金している分については、

Throughout the recession, states with inadequate unemployment insurance trust fund reserves have relied on loans from the federal government to pay state unemployment insurance benefits. This September, states will begin paying interest on these loans, and starting in 2012, the federal government will raise taxes on employers in borrowing states until loans are paid in full, as required by the law.

リセッションの期間、失業保険用に積み立ててあった基金の残高が不十分な州は、保険金支払いを連邦政府からの借り入れに頼ってきた。この9月から、この借り入れに対し利子が発生する。さらに、2012年からは、連邦政府は借り入れ残高がある州の雇用主に対し、満額返済されるまで、課税額を引き上げるということが法律により決まっている。

失業率は、下がるどころか上がっているわけでして。

えーーー・・・と思っていたら、さらに、こんな記事が。

(WSJ, 8/3/11)

(Market Watch, 8/2/11 - hat tip @masayang)

ホワイトハウスは、共和お茶会がゴリ押しし続けた「増税なき歳出削減」だけでは予算をバランスさせることはできない(財政赤字を減らすことはできない)と考えているわけだ。

上のWSJの記事によると、今回両党が合意したプランのベースになっているのは、3.5兆ドルに登る税収増を見込んでいるらしい。

(WSJより引用)There's a lot of chatter among conservative Republicans that they may have just signed on to a stealth $3.5 trillion tax hike. That's because the "baseline" that congressional scorers use assumes that after 2012, all of the Bush tax cuts will expire and the Alternative Minimum Tax will start to hit up to 25 million tax filers. It also assumes the full implementation of several hundred billion dollars of Obamacare taxes that kick in after 2013.

「増税の《ぞ》の字がひとつでも入っていたら、絶対に絶対に合意なんてしませんからーっ!」と叫んで3度に渡り両党会議をすっぽかした共和だったのに、最終合意案のベースになっていた3.5兆ドルの歳入増分については気がつかなかった、とでもいうのだろうか。

WSJの記事には、「合意」はしたものの、その合意案に書かれている税金の部分については、双方がそれぞれ違う「解釈」をしているようだ、とある。

Which is to say that the two parties are offering very different interpretations of what the debt deal says about taxes. Let's hope it doesn't take three months to get this straightened out.

WSJの結びの文章そのままに、この解釈の違いをハッキリさせるために、また何ヶ月もの時間を費やすなんてことにならないでもらいたい。再びあの猿芝居が始まるのかと想像しただけで、すでに食傷気味の筆者なのである。

Sunday, July 31, 2011

米国政府の手持ち現金残高(秒読み開始)

債務上限問題で最終の詰めに入っている米議会。本日東部時間午後1時に暫定案で採決の予定。

政府といえども一般家庭と同じ、入ってくるお金より出てゆくお金のほうが多ければ、手元のキャッシュは減り続ける。

WSJに掲載されてるこのグラフがすごい。黒線は実際の手持ち現金残高、赤の点線は5月2日に財務省が試算したもの、赤の実線はBipartisan Policy Center(両党派ポリシーセンター)が試算したもの。BPCの試算では若干余裕はあるものの、【断崖絶壁状態】であることには変わりなし。


図の下の注意書きに、

Treasury 'extraordinary measures' occur in one lump sum on May 16, and generate $232 billion cash.
(5月16日に財務省による「臨時措置」がとられ$232bnの現金が創出された。)

とあるが、「5月16日の臨時措置2320億ドル」で時間稼ぎしてなかったら、とっくに水面下に没していましたね、という図でもある。

この「臨時措置」であるが、5月2日付けのLAタイムズの記事で、米連邦政府はまず債券の発行額を抑えるために、州自治体向けに発行しているSLGS証券(State and Local Government Series securities、これも法定上限の対象としてカウントされている)の発行を止めると述べている。

Treasury to take 'extraordinary measures' to avoid hitting debt limit, Geithner warns
(LA Times, 5/2/11)

このSLGS証券なるものは、州自治体政府が地方債を発行したプロシードでより高利回り(=高リスク)の証券に投資してアービトラージによる収益を得るインセンティブを抑える目的で1972年に持ち込まれた制度で、もしプロシードが余った場合は、それをロー・イールドのSLGS債に入れておきましょうね、という、いわば「お父さんが、子供がお小遣いを無駄遣いしないように一時的に預かってあげる」みたいな証券である。だが、これも連邦政府にとっては立派な「借り入れ」であって、まずは、これを止めた。

そして、その代わり、上限にカウントされる対象にならない相手を見つけては方々からカネ借りまくって、手持ちの現金が底をついてしまうことになっていた5月16日に$2320億ドルのキャッシュを作り、とりあえず支払いに支障をきたさないよう血と涙が滲むような【遣り繰り】を、米財務省はこの数ヶ月強いられてきたのである。

この「いろんなところからちょっとづつお金集めて遣り繰りする」という話を、MSNBCのJohn Schoenが、

It was the Treasury's equivalent of looking under the couch cushions for stray nickels.
(「ソファのクッションの下に5セント玉が落ちてないか探す」の財務省版)

と形容していて、思わず声をあげて笑ったが、「上限問題にケリついたら、この仕事、辞めたい・・・」とガイトナーが漏らすのも無理はなかろうて。

目下3兆ドルの歳出削減を睨み、議会は話し合いを煮詰めている模様。

米国での状況は、Wall Street JournalのLive Blog: The U.S. Debt Battleが頻繁に更新されて、現在の状況を把握するのに、とてもよい。

Thursday, June 2, 2011

この道は(ルーズベルトが)いつか来た道?

前回、ギリシャの格付けCaa1という記事を書いてポストしたら、やはりM社が、(政争にケリつけられずウダウダがこれ以上続いたら)米国債の長期格付けを引き下げ方向で見直しにかける可能性があると「警告」したというニュースが出た。(「警告」です、あくまで、「警告」。)

(Reuters, 6/2/11)


米国債発行額上限をめぐって、米議会では相変わらず、民主と共和で対立し合ってて、完全に政治問題化している。共和側はオバマが提案した歳出カットでは納得できない、もっともっと歳出へらさなければ、上限引き上げの方だってウンと言わないぞ、と言い張って、上限リミットを「人質」にしてオバマ民主政権を追い詰めることに躍起になっているわけである。

この問題については、4月18日のMHJ記事『合衆国が取れないリスク』にも書いたので参照されたし。

しかし、昨日(6月1日)の午前に出されてきた雇用統計と製造業統計では、往復ビンタ張られた米経済である。

(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、6/2/11)

(以下WSJ日本版より引用)

米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した5月の米製造業活動は拡大幅が大幅に縮小。一方、別に発表された同月の民間部門の新規雇用数もほとんど増えず、米国の第2四半期(4-6月)経済に対する懸念が増幅されるのは必至だ。 
(引用終わり)

早朝からこのニュースで冷や水ぶっ掛けられた昨日の市場は、10年債は3%割れ、ダウは280ポイントも下落。今日2日も、明日金曜日の雇用統計を控えていて様子見モード、10年金利は冒頭のニュースで3%を戻していたものの、とてもじゃないが積極的にリスク・オン(Risk On)などというムードは、どこにもなし。

なのに、ワシントンDCの舞台に目を移すと、相変わらず「歳出カット歳出カット」と、ナントカの一つ覚えのように絶叫しているわけである。

いまここでディープな歳出カットをマジで実行したらどうなるのか、米国債発行できずに本当にデフォったらどうなっちゃうのか・・・そんな不安は下院議長のベーナーはじめ共和の側だって少なからず抱えているわけだし、「ここで限度超えてやりすぎたらブーメラン・・・」という自覚と計算も働いている。

なのに、それでもやっちゃう内向き政治パフォーマンス。

要するに、この問題はほとんど純粋に「政局化」してるわけだ。(別名:大統領予備選前のオバマいじめ)

こっちは毎日の食費やガソリン代の遣り繰りで忙しいっつーに、アホか。

ん?そういえば、極東のどこかでも、被災地のみなさんほったらかして、首相降ろしの内輪パフォーマンスを延々と繰り広げていた某国がありましたね。

(下の写真は、政局猿芝居を呆れて眺めている国民の目。場所は変われど、目つきは同じ。)



★   ★   ★   ★

ポール・クルーグマンはじめ、ケインズ派のマクロ経済界の重鎮達は、こういう政界アホ芝居が煮詰まるだけ煮詰まって、本当に引き締めモードに突入してしまうかも・・・と警戒しており、最近マクロ経済のフロントでは、あちこちで「1937」という数字が踊る。

1937、つまり、別名『Roosevelt Recession』と呼ばれる1937年~38年にかけての景気後退のことだが、当時のルーズベルト大統領と中央銀行は、大恐慌から回復したという判断のもとに歳出削減と金融引き締めを行い、その途端にまたまたリセッションに逆戻りしちゃった、という過去の失策を象徴する数字である。

クルーグマンは、経済成長が継続すると期待されだした2010年の初めにも、NYタイムズに『あの1937年の雰囲気』という題のコラムを書き、失業率はまだまだ高い、経済指標がちょっと良くなってきたからといって、ここで軽はずみなことはしないほうがよいと釘を刺した。

(NYTimes, 1/3/10)


そして、昨日もまた、自己のブログに『2011年は1937年?』という短い記事を掲載。

(NYTimes, 6/1/11)


この短いエントリーでクルーグマンはNY連銀のエコノミストGauti Eggertssonの記事を紹介し、1937年と現在とで米国のマクロ経済の状況は非常に似通っていると主張している。皮肉屋のクルーグマンらしく、「ただし、連銀は同じ間違いは犯さないと言うGautiの意見には反対だ、そりゃー、(Gautiは連銀の人間だから)連銀のリサーチは間違えないかもしれないけど、ECBはきっと間違いを犯すだろうし、連銀理事会だって政治的なプレッシャーをいまガンガン受けていて何やるかわからないもん」と辛らつな書き方をしている。

MHJ筆者が目を惹かれたのは、「1937年当時の失業率は2011年の現在よりも高かったが、現在と同じ測り方に引き直せば、10%以下になる」という一文。

ちなみに、NYタイムズの記事によると、大統領選の投票日に失業率が7.2%を超えていた政権で再選を果たした大統領は、ルーズベルト以来、ひとりもいないそうである。

Monday, April 18, 2011

合衆国が取れないリスク

S&P、米国債の格付け見通しをネガティブに変更。

(Standard & Poors, 4/18/11)

週明けの今日は、このニュースが、何と言っても目立つニュースでありました。

CNBC局では一日中、「アウトルックをダウングレード」、「アウトルックをダウングレード」と叫びまくってて、筆者はそのたびにイライラした。

というのも、見通し(Outlook)というのは変更(Revise)されることはあっても、格下げ(Downgrade)されることはないんである。「格下げ」とか「格上げ」という用語は、格付けとしてつけられている【記号】(AAAとか)が実際に変更になるときに用いる言葉。

だから、格付けアクションの3段階それぞれで使われる動詞の用法は、

1) 見通し(Outlook)が変更になるとき
S&P revised (あるいは changed) the outlook to negative.

2) 格付けの見直し(Review/Watch)に入るとき
S&P placed the AAA rating on negative watch.

3) 格付けが変わる(格下げ、格上げ、あるいはそのまま)とき
S&P downgraded the rating from AAA to AA.

と、こうなるわけである。

筆者の知る限り、主要メディアの多くはいつまでもこの違いが理解できない。今日のCNBCなどはその筆頭だが、まぁ、CNBCの場合は、そもそもが株式しか念頭にないような局なので債券オタクの用語など理解する気すらないのは仕方ないとしても、金融関係の記事では筆者もひごろ信頼を置いているロイターまでもが、いつまで経っても同じ間違いを繰り返すというのに、ジャーナリストの学習能力の限界を感じてしまう筆者である・・・

・・・と、いきなり重箱の隅ツツク的オタクな話題で失礼しました。

★    ★    ★

しかし、最上級のAAA格のクレジットの「見通しが悲観的」になっただけで、米国債がすわデフォルトなどという話に発展するわけが、そもそものところであるわけないんであって、マーケット的に見れば、今回のS&Pのアクションの背景に、いまさらびっくりする材料があるとも思えず。

だいたい、S&Pが米国債の格付けにプレッシャーかかってるぞとウダウダ言い出したのは、2008年の9月17日、リーマン崩壊直後のことである。

米国マクロ経済はその前年からリセッションに入っており、金融市場の下支えのために連銀は2007年から流動性供給で上へ下への大活躍中、それでも不安定さを抑えられずにグラグラしてるところにリーマンショックで、米経済はグシャッと潰れた。

その後回復に向っているとはいえ、米失業率は依然として高水準で、財政赤字は膨張の一途、住宅価格はまた下降中・・・と、現在の米経済のファンダメンタルズ言うなら、まさに『なにをいまさら―WHAT’S NEW?』の世界である。

ちょうど一年前ほど前にもS&Pは、米政府がすぐすぐ財政緊縮に取り掛かることなどできるはずないのを承知しながら、財政赤字削減策にマジメに取り組まないと米国債トリプルAは維持できんかもしれんからね~、と確信犯的に脅していたんである。(去年3月12日のFT記事)

さらに言えば、1週間ほど前の4月11日、米債券ファンド最大手のPIMCOが米国債ショートという報道があった。格付け機関が米政府にコンタクトを取ってるらしいみたいな話は、どこからともなく漏れてくるのは常なので、PIMCOのニュースで「何か」が動いてるんだなと直感した市場関係者だって皆無じゃない。(もうトレーディングフロアの傍にいない私ですら、何か来そう・・・と思ったぐらいなんだから。)

だから、いま、S&Pが出てきて、ネガティブだと言ったぐらいで、エッとおどろいてるような市場関係者がいたら、「あなた、いったい、これまで、どこ見てたんですか?(棒読み)」というような話なわけ。

それでもメディアが「(見通し)ダウングレードだ」とほうぼうで騒ぎ立てるもんだから、たかだかアウトルックがネガティブに変更された程度で心理的にゴーンとやられた米株市場は、前場で一時250ポイントも一気に下げ、【心理的】なオーバーリアクション全開。これで銘柄によっては絶好の買い場ともなり、午後には少し落ち着いてインデックスは140ポイントダウンまで戻した。(心理的にゴーンとやられるのは、株相場ではいつものことw。そういうところ、意外とヤワw)

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S&Pが確信犯でウジウジやってた一年前と比べて、何か決定的に変わったことがあるかといえば、去年の11月に中間選挙でティーパーティの力を借りた共和が下院でマジョリティを奪い、オバマと彼をとりまく民主側と共和側の政局での対立がいっそう深まり、米国債近辺の政治上の不協和音がリスク要因として以前に増して認識されはじめたこと、である。

つい先日も、大統領の予算案で民主と共和が歩み寄りを見せることができず、米国政府がシャットダウンに追い込まれるのではないかという騒ぎにまでエスカレートしたことを見れば、共和側のオバマ政権弱体化に向けた執念と締め付けのすさまじさは、傍目にも感じられるところであろう。

そして、今回のこのS&Pの米国債格付け見通し変更であるが、これはまさに、そこの部分(=政局)に影響を与える話であるわけ。


昨日(17日)のNBC報道番組『Meet The Press』にガイトナー財務長官が出演、米国債発行上限について言及した部分のビデオがここにある。
リンクはこちら:http://www.msnbc.msn.com/id/3032608/



このビデオの冒頭で、ガイトナーはこんなことを述べている。

Congress is going to have to raise the debt limit. They understand that. That's absolutely essential to preserve the creditworthiness of the United States of America. You know, we're a country that meets its obligations, and we have to meet our obligations, and they recognize that. 
議会は発行額上限を引き上げるだろう。彼らもそれは承知している。アメリカ合衆国の信用力(creditworthiness)を維持するためには、それが絶対必要不可欠なのです。支払い期限が来たら約定どおり支払う、必ず支払い義務を果たさなければならない、合衆国とはそういう国家である、彼らはそれを理解しています。

「しかし、議員の中には、上限引き上げ問題を政治的な駆け引きの材料に利用しようとしている者もいるのではないか」というキャスターの質問に対し、

...the leadership understand that you can't play around with this, you can't take it too long.  And those people up there who are telling people that you can take this to the brink because it gives them some leverage, they're going to own the responsibility for the risk that creates for the American economy.
国家の中枢部は、上限問題に遊び半分な気持ちで取り組むことはできないし、ダラダラと時間をかけることもできないというのを理解している。自分の立場をより有利に進めるのを目的にこの問題をギリギリまで先延ばししてやろうとふれ回るような末端の政治家がいるなら、それが米国経済にもたらすリスクについては、彼らが全面的に責任を負うことになるでしょう。

ガイトナーはさらに、こう続けた。

...if you allow people to start to doubt whether the United States of America will meet its obligations, that would be catastrophic, and we can't take that risk.
アメリカ合衆国の債務返済能力に人々が少しでも疑いを抱き始めるようになるのを放置すれば、それは破滅的な状態を導くことになるでしょう。私達はそんなリスクは決して取れないのです。

「私達はそんなリスクは取れない」――そう、アメリカ合衆国がトリプルAじゃなくなるなんて、そんなことは有り得ないし、何が何でも阻止してみせる、ガイトナーはそう言ってるわけですな。

この番組に出演したとき、ガイトナーは、S&Pが見通しをネガティブにするつもりであるというのを、既に知っていた。

ロイターによると、ホワイトハウスがS&Pからその旨を聞かされたのは金曜日だったそう。

格付け会社が、格付けされる側(この場合は米政府)とどんな折衝をして、どんなコミュニケーションとって・・・といったことは、そのプロセスを実際に当事者として体験したことがなければ、なかなか理解されずらいが、こうして公に発表される何週間も何ヶ月も前から、当事者の間では、あーでもねーこーでもねーと、延々と問答がウジウジ繰り返されるわけで、今回のアクションだって、米政府にとっては、寝耳に水でもなんでもない。

これは筆者のスペキュレーションだが、政治的足踏み状態がこれ以上長引き、上限引き上げに手間取ることになれば、アウトルック変更程度では済まないかも・・・と、S&Pの方からヤンワリと示唆されたのではあるまいか。ここで引き上げないとウォッチに載っちゃうかも・・・ドキドキ・・・

しかし、ここで上限上げたからとて、それがすなわち上限を青天井にするという意味にはならない。なぜなら、青天井にして現在のペースで米国債を発行し続けたら、むしろ、米国の信用力はさらに悪化し、本当に見直しのプロセスに突入してしまう恐れがあるわけだから。

「クレジットウォッチに載る」(このエントリーの最初にあげた2番目のアクションね)は、見通しネガティブどころじゃすまないインパクトを生みますからね。ウォッチに入ったら、実際にDOWNGRADEになるかもしれないんだから。

上限引き上げをいかに早急にやらんといけないかというと、実はもう、上限の$14.2trillion超えちゃって、$14.3trillionになってるという話が、今日のZerohedgeに出ていた。秒読み状態。

上限いっぱいになってしまい、必要なときにも発行できない状態が長く続くと、財務の柔軟性が失われて、それはそれで米国の信用力にはネガティブになる。

ということで、ハエのようにうるさい格付け機関を黙らせてアウトルック変更程度で留めておくためにはひとまず上限を引き上げるけれど、共和に対しては、それとの「交換条件」として、オバマ現政権は、財政支出カットの額を共和寄りの条件で飲む方向で議会で圧力かけられること覚悟、そういう話に進んでいってるわけである。

共和リーダーのベーナー下院議長の耳にも当然この話は入っているわけで、ベーナーとて、「米国の信用力が下がって米経済を揺るがすリスクが発生したら、その責任は取ってもらう」など言われてすごまれても、すぐメソメソしちゃって、そこまで責任とれるような器じゃないんで(笑)、引き上げについては、最終的にはうなづいてGOサインを出すだろうというシナリオが市場では走ってる。

ここから共和側に政治的な意味でさらに有利な展開に進むかどうかはまだわからないが、とりあえずは、S&Pの今回のアクションが持つ短期的なインプリケーションは、市場には大してなくとも、政治フロントにはある、と読めるのではないでしょうか。

★    ★    ★

最後に、格付け機関について。

見通しネガティブになったのに今日のイールドに影響出てないとか、格付け機関は地に堕ちてもはや影響力ない、とかいう意見も散見されるが、そもそものところでデフォ確率にも、マーケット的にも大して意味のない動き(あったとしても既に読まれていた話)なんだから、そういうどうでもいい話に落としどころを見つけようとしないほうが、いいよ。

格付け機関に対する世間の評価がどうであれ、債券市場における格付けの「存在」そのものは、過小評価しないほうがいい。なんだかんだいって、そこに「ある」。

格付け機関の言ってることなど、しょせん権威もなにもない一介の民間会社の意見、そんなものはどうでもよし、というのは、本質的には、事実その通りであります。

けれどね、そうは言っても、もしも、米国債が本当にAAAから堕ちるなんてことになってごらんなさい、そのときは、「フン、しょせん格付け機関だろ・・・」なんて皮肉な笑い浮かべてなんていられない事態に、きっとなるんだから。

その「しょせん格付け機関、などといってられない事態」こそが、上のビデオでガイトナーが言った「米国の返済能力に対し僅かなりとも人々が疑いの目を向ける」事態であり、それは、アメリカ合衆国が取ることのできないリスク、取るつもりもないリスク、なのである。

Wednesday, February 23, 2011

ジョン・スチュワート Cries in Dairyland: Revenge of the Curds

前回MHJに書いたウィスコンシン州の公務員デモを、人気政治コメディアンのジョン・スチュワートが斬る。(爆笑)

Cries in Dairyland:Revenge of the Curds



この騒ぎをエジプト革命と並べて論じたがるコメンテーターに対し、このジョークをお見舞い。(※聞き取りなので細かい間違いあるかも。)

They're not the same in any fXXXing way at all.  Not at all.  This is the same as the people in the Middle East overthrowing their dictatorship?  Or it's just the last story you saw on the news.  You know, the protestors in Wisconsin remind me of the struggle of the actor, Charlie Sheen.