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Sunday, March 16, 2014

トランスアトランティック市場は依然として最重要

明日、3月17日は、セント・パトリックス・デー。

司馬遼太郎氏が(たしか、氏の著書「愛蘭土紀行」の中だったとぼんやり記憶するが)、芋飢饉で本国を後にしてアメリカ合衆国を目指したアイルランド移民たちを、「テーブルから転げ落ちる豆のように大西洋に浮かんだ」と表現していたが、その末裔達はアイリッシュ・アメリカンとなり、現在では約3千450万人、合衆国全体の人口の10%以上に増えた。本国の人口460万人の7倍という繁栄ぶりである。

米国では、そうやって移民してきたアイルランド人を差別し(下の古い新聞求人広告を参照)、安価な労働力として劣悪な住環境・労働環境でこき使った暗黒歴史もあるとはいえ、風とともに去りぬのスカーレット・オハラのような南部の大地主たちがいたり、またビジネスで財を成したケネディ一家からはケネディ大統領が生まれ、その後も、レーガン大統領、クリントン大統領・・・と続き、アイリッシュの血はアメリカのメインストリームの隅々で活躍し、現在に至っている。



No Irish Need Apply (アイルランド人お断り)と書かれた昔の新聞求人広告。こういう差別が実際に行われた。



シカゴと並び、アイルランド系移民とその子孫が多いニューヨークシティでは、大規模なパレードが毎年開かれ、マンハッタン5番街を行進する。年中パレードやってるニューヨークでも、セント・パトリック・デーのパレードは別格、群を抜いて見物の人出も多く、パレードの規模としてNYは世界最大だ。ニューヨークは市警官・消防士などの「制服組」にアイリッシュが多いこともあって、バグパイプのおじさんたちや可愛い子どものアイリッシュダンサー達とともに、制服組の行進も延々と続く。






世界中で開かれるセント・パトリックス・デー・パレード。お近くのパレード情報なら、こちらへ。
2014 Parade Worldwide


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さて、ここからが本題。

合衆国と欧州の間に横たわる市場を、「Trans-Atlantic Market」と呼ぶ。

かつてアイルランド人が「テーブルからこぼれ落ちる豆のように浮かんだ」大西洋(Atlantic Ocean)を挟んだ貿易圏・経済圏のことである。

ジョンズ・ホプキンズ大学による欧米間経済の研究チームが発表したレポートによると、トランスアトランティック市場はいまだ世界最大市場、ここ数年の欧州経済の不安定さやアジアとの関係(ちなみに、こちらは日本でもTPP(=Trans-Pacific Partnership)でおなじみ、「Trans-Pacific Market」と呼びますね)の成長にも関わらず、米国にとっては最重要のリレーションシップ。



(以下、同大学のリリースから抜粋および拙訳)

U.S. companies are the largest source of onshored jobs in Europe and European companies are the largest source of onshored jobs in America,(中略)・・・Up to 15 million workers are employed in the $5 trillion transatlantic economy, which despite recent turbulence remains the largest and wealthiest market in the world.

米国企業は欧州にとって、また、欧州企業は米国にとって、互いに最大のオンショア雇用ソース。近年の不安定な状況にも関わらず、5兆ドル規模の市場で1500万人の労働者が雇用され、依然として世界最大かつ潤沢な市場である。


The US and Europe are each other's primary source and destination for foreign direct investment. Since 2000 Europe has attracted 56% of US global foreign direct investment and China only 1.2%.

米国と欧州は、相互に、海外直接投資でソースあるいは投資先として最大。2000年以降、欧州は米国のグローバル海外直接投資の56%を引き付けたが、中国は1.2%のみ。


Ireland is the number one export platform in the world for Corporate America. US companies based in Ireland export 3.5 times more to the world than from Mexico and 5 times more than from China. US investment in Ireland is more than 6 times larger than US investment in China.

コーポレート・アメリカにとってアイルランドが世界最大の輸出プラットフォーム。在アイルランドの米国企業の世界への輸出額は、メキシコからのそれより3.5倍、中国からの5倍。米国からアイルランドへの投資は、米国から中国への投資の6倍以上。


US investment in the Netherlands alone is about 4 times greater, and US investment in the UK 3 times greater, than US investment in all the BRIC countries -- Brazil, Russia, India and China.

米国からBRIC4カ国への投資総額と比べても、米国からオランダへの投資のみで4倍、英国へも対BRICの3倍。 (*BRIC=ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国)



Since 2000, Europe has accounted for over 57% of the earnings generated abroad by U.S. companies. US companies earned 7 times more in the Netherlands alone than they did in China.

2000年以降、米国企業が海外で創出した利益の57%が欧州地域で占められている。オランダのみでも、米企業の利益は、中国で得た利益の7倍。


Europe’s sovereign debt crisis has forced European firms scale back their U.S. presence. Even so, Europe’s investment flows to the US were 4 times larger than to China. There is more European investment in a single US state like Georgia, Indiana or Minnesota than all U.S. investment in China, Japan and India.

欧州ソブリン危機の影響で、欧州企業は米国内でのプレゼンスを縮小せざるを得なかったが、それでも、欧州からの米国への投資フローは、中国向けフローの4倍。 ジョージア州、インディアナ州、ミネソタ州への欧州からの投資額は、それぞれの一州向けでも、中国、日本、インドへの米国の投資額を上回る。


45 of 50 US states export more to Europe than to China, and by a wide margin in many cases.

米国50州のうち45州が、対中国よりも対欧州の輸出額が多く、その他の地域向けでははるかに多額になっている。

(抜粋+拙訳、おわり)


さらに詳しく知りたいひとは、こちらがその研究レポートへのリンクです。
Transatlantic Economy 2014


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米国や欧州各国のそれぞれの国の個性の強さを無視し、「欧米は」 とひとつの言葉でくくってしまうと違和感が出る場面は実際多々あるけれど、こうして、「ひとつの経済圏」としてくくって数字をみると、そのリレーションシップの強さはハンパ無いというのも、よくわかる。

よく「欧州のひとはアメリカの田舎者が大嫌いで云々・・・」という話を耳にするが、米国と欧州は古典的LOVE&HATEの間柄、数字はウソつかない。



昨年の記事だが、米国と欧州連合の間のフリートレードを目指す T.T.I.P. (Trans-Atlantic Trade and Investment Partnership)の話し合いのためオバマが欧州に向けて出発するのに先駆けて、イタリアの外務省高官からNYタイムズに投稿されたラブレターである。

Pivot to a Trans-Atlantic Market


この記事の筆者は、両者は「腰で繋がっている間柄」と表現し、欧米間の経済的共同発展構想であるTTIPの重要性を語り、その実現を主張している。

(引用) It may well prove to be a Pacific century, buoyed by Asia’s economic dynamism. But at least for now, the United States and Europe remain bound at the hip — an enduring, perhaps reassuring, reality amid a world in flux.



では、みなさま、

Happy St. Patrick's Day!

Thursday, January 19, 2012

欧州ソブリンは小康状態

先週13日の金曜日にS&Pがフランスの欧州ソブリンをトリプルAからダブルAに格下げし、イタリアその他の欧州国8カ国も格下げになった。

Europe Hit by Downgrades
(Wall Street Journal, 1/14/2012)

実際の格下げが公表される前に、あちこちの「当局関係者」だの「政府高官」だのが予告編よろしく次々リークしまくるものだから、13日の株式相場は、リークでヘッドラインが出てくるたびにいちいち反応。メディアも一緒になって興奮してた。

今日になると、怒り心頭に達したイタリア当局が米格付け会社を【市場操作の疑いで家宅捜査した】というニュースまで出てきた。担当アナリストの家を家宅捜査して、「何」を探そうとしてるんでしょうね・・・。記事によると、罪状は「昨年5~7月にイタリアの財政や銀行システムに関する偏った情報を流し市場を捜査した疑い」だそうです。

まぁ、イタリア政府の気持ちもわからなくはないですよ。90年代後半から2000年度前半にかけて、邦銀や日本ソブリンの格下げが続いていた頃、危機の渦中で目の周りにクマ作っていた日本の関係者らも、家宅捜査とまではいかなくても、格付け会社に対して似たりよったりの反応して騒いでましたからね。

「日の出ずる国ニッポンが、何ゆえ、アフリカのボツワナなんぞより、格付け低いんだ!!」

と、ほうぼうで関係者が喚き散らし、在日ボツワナ大使館が傍らで「何故ワシら?」と当惑してるのもお構いなし、ツバ飛ばしてボツワナをdisりまくり格付け会社を呪い倒し、その品のなさ、みっともなさたるや、海外から失笑・苦笑を買ってたのも、今となっては懐かしき思ひ出・・・。

いずれにせよ、市場が不安定なさなかにどんどん格下げのニュースが出てくるというのは、何を今更な感があるとはいえ、間違いなく「ヘッドライン・リスク」となっていろんな相場で咀嚼されるから、まるきり無視もできないよね。

格付けと債券クレジット市場の動きの関係については、過去にいくつかエントリー書きましたので、ご参考まで。

- 米国債格下げは最も重要性の「低い」問題 (MHJ, 8/5/2011)
- CDSのImplied Ratingと市場パーセプション (MHJ, 11/27/2010)

★   ★   ★   ★

で、その格付つけられてる肝心の債券はどうよ、というのが今日書き留めておきたい本題なんだが、実際のダウングレードにはほとんど反応せず、概して関連発行体のスプレッドは落ち着いている。

フランスが格下げされたらトリプルAを失うと懸念されてた欧州救済ファンド(EFSF)も、予定どおり格下げされてAAAからAA+に落とされてしまったわけだが、この格下げを受けた後にEFSF発行の債券の対独スプレッドがどうなったかと思っていたところ、このチャートを頂戴しました。(Thanks to @BourseBXL)


これを見ると、欧州に対する悲観度が一気に高まった11月ごろに、対独スプレッドが150bpsを突破、11月21日には205bpsまで駆け上がっていた。

この段階で、フランスの格下げはある程度シナリオとして織り込まれていて、その後、ECBがドカーンと流動性供給の動きに出たりして、市場での極端な緊迫感は抑制されている。実際の格下げニュースが来たところで、さほど動かない。

買い手側からは、このロイターの記事によると、「日本はこれまでもEFSF債を買い入れてきたし、格下げで(投資家としての)日本のスタンスが変わることはない」("Japan has bought them by certain amounts and our stance will not immediately change just because of the downgrade," Azumi told reporters after a cabinet meeting.)との、安住氏の力強いサポートのお言葉も。

ただ、格下げ公式リリース発表前でギクシャクしていた13日のWall Street Journalの記事には、こういう記述もあったんですよね。

Yields are surging across the EFSF curve on news that two EFSF guarantors, France and Austria, might suffer a downgrade. "I am seeing only sellers in France and Austria and EFSF is feeling the impact," said a trader.

EFSFのギャランター(保証を出す側)の一角でああるフランスとオーストリアが格下げされるかもしれないというニュースを受けてEFSFのイールドカーブは全体に持ち上がっている。「フランスとオーストリアの国債には売りしかいない状態で、EFSFもインパクトを受けている」とトレーダーの言葉。

19日の今朝は、スペインとフランス国債のオークションがあって、どちらも需要は底堅くあった模様。

Strong French bond auctions show investors ignoring downgrade; easily raises $12 billion
(Washington Post, 1/19/2012)

しかしですね、国債オークションがこうしてうまくいってるのは、ECBがバカスカ買い上げて新発債の需給の調節やってる、というのが背景にあるんじゃなかろうかな。上のトレーダーの言葉にもあるように、懸念が出てくるとドイツ国債以外の欧州債は売り一色になってしまう、そういう地合いにいるには違いないんである。

上述した、拙ブログ記事『米国債格下げは最も重要性の低い問題』で筆者は、米国債が格下げされようがされまいがどうでもいい、米国債ほど信用力が高くかつ流動性が高い債券は他にない、市場への影響は限定的だろうし、格下げはむしろ政治的な側面から問題になる程度と述べ、実際そのとおりになった。格下げ後は、ヘッドラインに翻弄されてボラが上がった株市場などから資金が米国債へと流れ込み、米国債のイールドは逆に下がった。

だが、スペイン国債やフランス国債は、米国債とは、違う。

中央銀行のバカスカ需給調節におんぶに抱っこでなんとか消化されている。

言ってみれば、現在の欧州の一種の小康状態は、またいつ熱がぶり返すか判らない、そういう危うい状態にまだいるのだ、と筆者は感じるのである。

Thursday, January 12, 2012

欧州の資金市場は相変わらずナーバス

数日前、ツイッターで、日本の90年代後半の金融危機と07年のグローバル金融危機について、ブツブツとひとりごとをつぶやいていたのだが、それを@Speculatorbidさんがまとめてくださってたので、ありがたく頂戴いたします。





年の暮に市場の大方が予想していたとおり、2012年にはいってからも、欧州問題は一進一退を続けているな。ナーバスな動き。

いろいろな憶測や観測が飛び交って、そのヘッドラインのいちいちにマーケットは浮かれたり落ち込んだりして反応しているけれど、やはり、いちばん根本的なところで、「資金市場の警戒ぶりがハンパない」というのは、重たい事実ですね。

上のツイートまとめのいちばん最後のほうに出てくる「銀行が資金を抱え込んでる」という話、重要ですね。年末を無事越せたものの、政府当局が期待してるようには銀行はスッスッと動いてくれず、抱え込みは解消せず。

市場全体を包み込んでいるFEAR(怖れ)は、そう簡単には消えない。リクイディティを流しこんでも流し込んでも、サラサラ血液のようにお金が循環してくれない・・・。

上のまとめでブツクサ言ってたツイートのうち、どこから情報得たのか裏付けつけていないツイートがいくつかあるので、それの出典(?)のニュース記事リンクを、以下に控えておく。


(1) 「米金融機関が欧州エクスポージャをガクンと落としたというおエラいさんの発言」というのは、テレグラフのこの記事。

Debt Crisis As It Happens: January 9, 2012
(Telegraph, 1/9/2012)

この記事の19:28のところに、アトランタ連銀のロックハートが「欧州ソブリンへのエクスポージャ、特に弱小国へのエクスポージャを相当減らした」と述べたという記述あり。

19.28  Mr Lockhart added that the Fed would not rule out more money printing even if steady growth and "acceptable" inflation made it harder to justify:
Steady even if unspectacular growth accompanied by inflation in the neighborhood of 2pc justifies some reluctance to change, in either direction, the (central bank's) accommodative policy [...] At the same time, I think slow progress toward full employment justifies continuing consideration of whether more can and should be done.   

On European sovereign debt exposure, he said:
American financial institutions have reduced their exposures fairly substantially, particularly to peripheral countries.

 (2) 「欧州銀行のシニア債発行が年明けになって好調」というのは、こちらの記事。

European Banks Learn to Love the Bond Market
(Wall Street Journal, 1/10/2012)

記事の抄訳は以下のとおり。

欧州の銀行債市場は死んだ・・・などと言われていたがそれは誇張だったのではないかという見方が出てきた。1月に入って最初の10日間で、欧州銀行はユーロ建ての無担保シニア債を€14.9 billion ($19.02 billion)発行、ソシエテ・ジェネラルによると、これは2011年後半の半年間に発行された額の26%増し、とか。欧州銀行は、シニア債に加えて、€13.75 billionのカバード・ボンドも発行した。銀行債市場はまだ脆弱ではあるものの、年初は好調なスタート。2012年は欧州銀行債のロールオーバーが€800 billion来る予定。
 発行体はスカンジナビア、オランダ、U.K.など比較的信用力の強い地域に限られているものの、フランスの銀行も市場資金にタップできた。
 背景としては、①ECBの期限3年ローン(※1)が12月に実行され、2月にも2回目の3年ローンが控えており、銀行の突然死シナリオの可能性が後退したこと、②投資するサイドはキャッシュバランスを積み上げていたこと、③銀行側もユーロ圏の危機はすぐには消えることなく当面継続するという見解を受け入れたこと、④銀行自身のデレバレッジングと預金の増加が調達の必要性を和らげたこと、など。モルガン・スタンレーの試算では、銀行によるシニア債新規発行はネットで4年連続マイナス、減少額は€225 billion。
 とはいえ、センチメントが逆転することは多いにありえる。イタリアとスペインの国債スプレッドが拡大基調なのと、ギリシャの債務リストラの進捗が懸念。預金保護を目的とした規制当局の意向、および、カバード・ボンドやECBローンといった有担保調達の増加の両面から、無担保シニア債の劣後化の可能性が潜在的に残っている不安もある。資金市場がどこまでリスクを取るつもりかもはっきりしていない。スペインやイタリアの銀行が発行体の場合、シニア債の新規発行はこれより困難になるだろう。
市場のボラティリティは高いままになろうし、政治リスクが浮上して改善の目を摘んでしまうかもしれない。だがレギュレーターが欧州銀行のバランスシート強化促進に成功すれば、無担保シニア債、特に各国の最良銀行が発行したシニア債は、高いリターンをもたらす可能性はある。

※1 ECBの期限3年ローンと銀行のバランスシート上のブタ積みについては、2011年12月28日付のMHJ記事を参照。


(3) 「日本のCDSが中国のCDSよりワイド」というのは、次のチャートを参照。


オレンジが中国のCDS、緑が日本のCDSで、過去1ヶ月の相対推移。(1ヶ月前を基準値=0とした時に【相対的に】各々がどれぐらい%でワイドニングしたか、というグラフです。絶対値のチャートじゃないことに注意ね。)

スプレッドの「絶対値」でみると、今日1月12日現在では、中国のレベルが146bpsに対し、日本が154bpsで、ややワイド。

まぁ、ソブリンのCDSについては以前も書いたことありますけど、日本のCDS水準が中国のそれに近づいてたのはもうずいぶん前からの話でして(※2)、さらにいうと、絶対値がどこにいるからどうしたといった話でもないんで、ここのところ中国よりワイドになってるからといってギャーギャー騒ぐほどのこともないとは思いますけどね。(今日の日経新聞が書いてたような、「財政再建への取り組みが遅れれば、欧州にかかる市場の圧力が日本にも及びかねません」(ドキドキ)みたいなこじつけっぽい理屈でばかり動いているわけでもないんで。)

ただし、CDSの推移というのは、対象となる債券の発行体に対する市場評価を示唆する数値の一角であることは確かなんで、いちおう目にはいったからには、書き留めておきまする。

(※2)日本のCDSが中国のそれに近づいてるぞという話は、2009年11月30日付MHJ記事『ソブリンCDSについて』に書いてます。2年以上前からだよ。自慢しちゃうけど、先見の明があったので、読んでね~(笑)。

Wednesday, December 28, 2011

外貨逃避への特効薬、わんこポリス

クリスマスは終わり、今年もあと3日を残すだけとなったが、欧州懸念は相変わらずくすぶっている。今年は一年中、欧州に振り回された年であったな。

今朝もユーロはスッコーンと下がって、あっさり1.30割れ。


対円だと10年振りの安値ですと。

(Bloomberg, 12/28/2011)

(記事から引用)“We’re still so far from being out of the woods that even on a day of being positive, people decided that the euro should continue to fall,”
 「状況はまだまだ闇から抜け出れそうもなく、たとえポジティブなニュースのある日でも、ひとびとはユーロは下げ続けるべきと決めている。」

Financial Timesも昨日、ECBのファシリティが貸し方も借り方も増えて【ブタ積み】になってる様を紹介していた。

Record use made of ECB deposit facility
(Financial Times, 12/28/2011)

FTの記事によると、クリスマス前の21日、ECBは空前のリクイディティ需要に答えるため新たにターム3年の融資 €489bn 近くを500超の銀行に貸し付けた。しかしその数日後、ECBのオーバーナイトの預金ファシリティには、これまた空前の€ 452bn が積まれました、という話。

11日のエントリーでも触れたように、年末にかけては市場の流動性が極端に下がるときで、こういう時にあえてアブナイ真似は手控えたほうが無難、というのは万人の知恵。キャッシュを手にしたらキャッシュのままジー・・・とこうべを垂れて年明けを待つという銀行側の考えも当然といえば当然である。

欧州リーダー達の間には「ECBから低利で借りた資金で高利回りのイタリア債を買ってくれるよね♥♥」という思惑(←通称 “サルコジ・トレード”と呼ばれてるww )があるみたいだが、銀行の担当者達は「正気だったら、年明け早々どうなるかわからないイタリア国債なんかに、いま手を出せますかい」とシランプリ決め込んでる風。アナリストの間には、このブタ積み状態が年明け後も継続してしまうのではなかろうか、と懸念持ってるひともけっこういるみたい。

結局こうやって、2011年は欧州問題にこれといった進展もみられずに一年が過ぎていったわけだが、2012年になったら、この膠着状態から抜け出ることは、果たしてできるのだろうか・・・。抜け出るとしたら、それへの触媒はなに・・・?

★    ★    ★    ★

この状況に痺れを切らした市場関係者の中には「アルゼンチンだってやったんだ、しのごの言ってないでサッサとデフォルトさせやがれ」とか言ってる方も散見されますが、アルゼンチンといえば、ロイターのニュースで、こんなの、あった。

自国通貨デバリュエーションのスペキュレーションが止まないアルゼンチンで、ドルの国外への闇持ち出しを阻止するため特別に訓練された犬が国境付近で大活躍中とのこと。苦しい時の犬頼み。



以下、トランスクリプト全文:
The tax man's new best friend In Argentina, sniffer dogs are being trained to detect cash being taken out of the country. The government has been cracking down on the smuggling, at a time when there's much speculation over the devaluation of the peso. Customs director, Maria Siomara Ayaran, has been demonstrating the work her dogs can do on routes into countries like Paraguay and Bolivia. 
 (SOUNDBITE) (Spanish) MARIA SIOMARA AYARAN, CUSTOMS DIRECTOR SAYING: "After many years, we now have around 300 dogs, 50 of which are trained especially to detect foreign currencies, specifically dollars and euros. What we are seeing here is part of customs controls carried at different border points."  
The dogs, seen at this ferry terminal, where boats head to Uruguay, can pick out specific currencies, like dollars and euros, by learning to sniff out the different inks on the notes. The dogs will only react if the amount is over $1000.  
From January to September this year, money leaving Argentina added up to $18.25 billion - almost $7 billion dollars more than in the whole of 2010. The government has limited sales of Dollars in a bid to curb the flight of money from the country. The move came after new foreign exchange controls, which mean the tax agency must pre-approve all currency purchases, sparked an increase in withdrawals of dollar deposits. Having perfected the training with their own dogs, Argentine customs now plan to export their expertise to other countries. Joanne Nicholson, Reuters.

(拙訳)
アルゼンチンの税務署役人に新しい親友ができた。国外に持ち出されようとする現金を嗅ぎ分けるよう訓練された犬たちだ。ペソのデバリュエーションの噂がはびこる中、アルゼンチン政府は現金の違法持ち出しを取り締まるのに躍起になっている。関税職員マリア・シオマラ・アヤランさんは、パラグアイやボリビアといった国々に向かう途中のルートで、訓練された犬達の仕事ぶりを見せてくれた。 
(マリアさんのスペイン語)「長年この仕事に取り組んでいますが、今私達には300頭の犬がいて、うち50頭が特にドルとユーロの外国紙幣のにおいを嗅ぎ分けられるよう訓練されています。いま皆さんにお見せしてるのは、国境付近各所で警備の一環として行われている業務の一部です。」
私たちがいるこのウルグアイ行きボートのフェリー乗り場では、印刷インクのにおいの違いを嗅ぎ分けられる犬達が、ドルやユーロといった特定の紙幣を見つけだす。ただし1000ドル以上のまとまった紙幣にしか反応しない。 
今年1月から9月の間に、アルゼンチンから持ち出された現金は182.5億ドルに上り、前年一年間の総額よりもすでに70億ドルも増えている。アルゼンチン政府はマネーの国外逃避に歯止めをかける目的でドル売買に限度額を設けることにした。新しい外国為替取締法のもと、あらゆる通貨購入に税務署による事前認可が必要となったため、ドル預金の引き出しが急増という結果に。特別訓練犬の成果に自信をつけたアルゼンチンの税関は、他国にこの犬の特技を輸出することを考え始めているという。



Monday, August 8, 2011

本命は欧州フロント(ではなかろうか・・・?)

S&Pによる米国ソブリン格下げのニュースが出てから、この週末は、米国のテレビは(予想通り)このトピックで持ちきり。

ウンザリ。

前回のエントリーの最後に「この格下げは政治的に影響をおよぼすだろう」と書いたが、(やはり予想通り)こんなことになってしまったのはお前のせいだ、いやお前が悪い、と民主と共和とで指の指し合い、米政界はフィンガーポインティングの嵐である。

民主党のケリー代議士などは、日曜朝の報道番組Meet The Pressに出演して、「This is a Tea-Party downgrade!」と、これはお茶会がもたらした格下げだと言い放った。一方の共和は共和で、(これでますますオバマを苛めるネタができたとばかりのドヤ顔で)「オバマのリーダーシップのなさが格下げの直接原因」と言い返す、というありさまである。

Finger-Pointing in Washington Follows Debt Downgrade
(WSJ, 8/7/11)

そして、直接の窓口となって格付け機関と丁々発止とやりあった財務省関係者は、トリプルA攻防戦で疲労困憊、それでも「AAA」の3文字を守りきれなかった悔しさで恨みタラタラ。S&Pのアナリストが用いた計量モデルに2兆ドルの間違いがあったとか言って彼らの分析には蓋然性がないと、そればっか繰り返し、金曜日の夜から文句言い出して今日になってもまーだ同じ文句を言っていて、これもウンザリ。

Treasury Spells Out S&P's "$2 Trillion Mistake"
(Business Insider, 8/6/11)

たしかに、世界中が注目している格付けアクションだというのに、その正念場で、相手から2兆ドルの間違いを指摘されるなんていうのは、アナリストとして最もこっぱずかしい話である。まぁ別にS&Pの肩持つわけじゃないけれどさ、それにしたって、政府関係者が、2兆ドル間違った、間違った、と喚き続ける姿も、実にガキじみていて見苦しい。

その間違いが2兆ドルだろうが3兆ドルだろうが、議論の最も本質的な部分、すなわち、「米国の財政は悪化している」という【事実】そのものは変えようがないんだからな。

これについて、元大統領候補マケインがやはり今朝のMeet The Pressで、「メッセンジャーを撃っても始まらない。(米国の財政への評価として)S&Pの見方が間違っていると本気で信じてる者がいるとでもいうのか。」とたしなめた。(撃つ相手ならオバマだ、と共和の彼は言いたいわけだが。)

“Don’t shoot the messenger,” Mr. McCain said, adding of the credit-rating firm’s assessment of the U.S. fiscal situation: “Is there anybody who believes that S&P is wrong?”

同番組に出演したグリーンスパンは、この格下げは米国の一番触れてほしくない部分に触れ("hit a nerve")、米国の自尊心を傷つけた("hit the self esteem")と言っていた。その通り。

Alan Greenspan On The Downgrade: "It Hit A Nerve"
(eWallstreeter, 8/7/11)

いわば、「これまでずっとオール5の成績表をもらい続けた子供が、ある日理科で4をもらい、逆上している」― それによく似た図が、この土曜も日曜も、延々とテレビ画面で繰り広げられたのであった。

そこに持ってきて、中国は中国で、米国の傷に塩をすり込むような態度で、「さっさと予算をバランスさせろ」だの「軍事費減らせ」だの、「米国のせいで世界経済はまっさかさま」だのと批判しまくり、あげくに中国の格付け機関まで登場して「米ドルは基軸通貨としては不適切」だのと言い放って、喧嘩売ってるわけである。

China State Paper Says US Failings Threaten Global Recovery
(CNBC, 8/7/11)

Dollar to Be 'Discarded' by World: China Rating Agency
(CNBC, 8/7/11)

China media say U.S. debt woes show military overreach
(Reuters, 8/8/11)

しかし、米国債とエージェンシー債の世界最大保有者である中国が、こういう風に米国に政治的圧力かけてくること自体はサプライズではないとしても、米国に向って軍事費減らせ、って、あんた・・・。お前が言うなでしょーが、やれやれ・・・。

★     ★     ★     ★

こうして世界経済がもろく混乱に陥りそうな時に出されてきた、米国債の格下げ。ガイトナーが「そんなことはあり得ないし、絶対にさせないし、米国はそんなリスクは取れない」と言ってた事態が起きてしまった。

これを受けて、G-7が今夜、急きょ電話会議を開き、金融市場の混乱を招かないように万全の協調体制で臨むという声明を出したりしてたわけであるが、それにしても、なんとなく不穏なのが、欧州フロントの動き。

Zerohedgeが、以下のようなグラフを掲載して、ECBがイタリアとスペインの国債を買ったって、ワークしないよ、と言っている。

Why The ECB's Monetization Is Doomed In One Simple Chart
(Zerohedge、8/7/11)



昨年の5月から、PIIGSの弱小国(ギリシャ、アイルランド、ポルトガル)の国債をECBが買ってきたものの、10年債のイールド平均は倍近くになっている。基本的に、欧州当局は、昨年の年初から続いている欧州のソブリン危機のContagion(伝播)を収束させることができないまま、今日に至っている。

そして、先週出されてきた、こんどはイタリアとスペインの国債買いますよ~、というトリシェの発表。先週はそれを受けてマーケットのセンチメントが一気に悪化、欧州の金融株は暴落した。米銀が欧州銀行との取引を控えてカウンターパーティのリスクを極力落としているようだといったウワサまでNY取引時間中に流れていた。

しかし、ユーロ圏弱小国の信用力をこれまで支えてきてたのはドイツとフランスという、AAAの国たち。裏を返せば、独と仏の信用力が弱まればユーロ圏全体の信用力は崩壊する。

この一年半を振り返れば、独仏による他国への信用補完の形態は、時を追うごとにより明示的な方向に進んでいっていて、ギリシャのみならず伊やスペインまでふくめPIIGS丸抱えで保証という格好でリスクトランスファーが起こったら、当然心配されるのは、独と仏の信用力だ。

ドイツ政府内では、たとえ救済基金を3倍に増やしてもイタリアの救済措置を実行するのは困難という味方が強まっており、€1.8Tにおよぶイタリア国債の保証に動けば、市場は今度はドイツの信用力に疑問符をつけるのではないかという懸念が出てきている、という内容の記事を、独誌Die Spiegelが伝えた、という報道が今朝あった。(筆者は元記事は読んでいない。)

そのような懸念が浮上するのも当たり前である。欧州版Brady Bondというフレーズをいろんなところで耳にするが、Brady Bondが出された当時の米国の鋼鉄のような信用力と、現在の欧州の“グループとしての”信用力を比べた場合、それこそ文字通り「格」が違う話をしてるわけであって、欧州の場合は、独と仏の信用力が揺らいだ瞬間に救済スキーム全体の基盤が崩れるわけだし。

上のZerohedgeのグラフと合わせて、フランスのCDSの過去1年の動きも見てほしい。


ここ1~2週間で145bpsあたりまで急激に上昇している。リーマンショック後の最悪期でも100bpsを越えなかったフランスのCDSが、いま、ソブリン危機勃発する直前頃のギリシャCDSのレベル近くに迫っている。非常にセンシティブなものを感じる。

クライシスが再び起こるとしたら、その引き金になる本命は、政治の混乱で揺れる米国よりも、むしろ欧州フロントなのではなかろうか・・・という気がしてくるのも無理はない。

欧州市場は数時間後に開く。

Thursday, June 2, 2011

ギリシャ、Caa1に格下げで「HALL OF SHAME」入りを果たす

昨日、Moody's社がギリシャの格付けをCaa1に格下げ。

(Bloomberg, 6/2/11)


それにしても、Hall of Fameならぬ、Hall of Shame(恥の殿堂)とは、すごい記事タイトルであるな(苦笑)。

ギリシャ・ソブリンのCDSプレミアムは1500bpsあたり、いまやベネズエラを300bpも抜いて、絶対数値なら堂々の1位である!格付け的にも、M社の場合は、Caa1より低い格付けを誇る国家はエクアドルのCaa2のみ。(ちなみにエクアドルは1999年にデフォり、2008年にまたデフォったという成績。)

欧州関係者は、ギリシャ債のデフォルトをなんとか回避しようと、「期限延長だけするので、リスケ(Reschedule)じゃないもん。リプロファイル(Reprofiling)と呼んでネ!」とかいうガキ騙しのような案で走ろうとしていたが、やはり格付け会社から「リプロファイルかなんか知らんが、どういう名称つけようが、デフォはデフォ!」と冷たく突き放され、ガックリ膝をついた。

(Market Watch, 5/20/11)


さらに、「トロイカ体制」敷いてるはずの欧州関係者の内部でも、どうやってできるだけ市場にショックを与えないような形でこの国の債務再編を果たそうかについて意見は分裂してたりして、ECBは「リプロファイルかなんか知らんが、それやったら、中央銀行としては、担保としてのギリシャ債はもう受け入れることできませんから!」と冷たく突き放すようなことを言い、それにもガックリと膝をついた。

(Daily Markets, 5/19/11)


このままでは、近々償還迫ってる分のロールオーバーできねーよ(その結果、古典的なデフォへと突入)という危機感ばかりが湧いてくるわけで、先日のBloombergは、なんとか資金を引き寄せようと、新たに発行する分には【飴】を用意している、と伝えていた。その【飴】だが、記事によると、現在発行されてるギリシャ国債よりも優先順位が高く、クーポンも高いというような話らしい。

(Bloomberg, 6/1/11)


ということは、なんですか、既存のギリシャ国債は新発国債よりも「劣後」するわけですか?ギリシャ債のCDSのクオートは今後はシニアと劣後でダブルクオート?Subordinated Government Bond とでも呼ぶのですかね?(笑) それに優先するといったって、エーゲ海の島でもなんでも売れる資産は売っていこうか、とか言ってる国で、数年後の資産の清算価値はどうなっておるんでしょうか・・・。

とか、疑問は次々湧いてくるわけですが、まぁいずれにせよ、あと一歩後ずさりしたら崖から堕ちる、ぐらいの瀬戸際に立ってるわけでありまして、ここでB1からCaa1に落とされたといったって、げげーー!と驚くほどでもないよな。

昨日出されたムーディーズ社のプレスリリースには、こんなことが書いてある。(抄訳はMHJ筆者)

Greece’s Caa1 rating incorporates Moody’s assumption that current negotiations between the Greek government and the Troika will result in further official support for the Greek government and (以下略)

ギリシャのCaa1格付けには、ギリシャ政府とトロイカ(注:IMF+ECB+EU)との交渉で、ギリシャ政府への更なる正式支援が施されるだろうという前提が織り込まれている。

「支援 by トロイカ」を続けてもらっても、それでも果てしなくデフォに近い状態になりそうなんで、Caa1とな。通常、「B」の文字を離れて「C」の文字が格付けについてくると、その債券はデフォルのは時間の問題。ここまできたら、デフォるかデフォらないかよりも、実際にデフォったら、その後に元本をどれぐらい取り返せるか(リカバリー)というのを債券投資家は考え出す。

M社によると、彼らの格付けシンボルと、期待されるリカバリーの度合いは以下のような関係だそうである。


つまり、Caa1の今はデフォっても90~95%ぐらいは取り戻せるかもよ、といった見解のままM社は様子見してますよ、ということである。見通しはネガティブなので、もしかすると、Caa1からもっと下がる可能性もありますよ、と言っている。

トロイカは見捨てない?でもデフォに果てしなく近い??サポートの内容がはっきりしたら、もっと格下げくらうかもしれない??

禅問答を聞いているような感覚に陥るが、そこで重要になってくるのが、FTAlphavilleで紹介されてた、M社のリリースから引用された次の一文だ。(抄訳、太字はMHJ筆者)

Our recent study of sovereign defaults shows that post-default recoveries for investors have averaged just over 50%, based on the 30-day post-default price or pre-distressed exchange trading price. There is a wide range around this average, with recoveries ranging from 18% to 95%, and no rated precedent for a developed-world sovereign default in modern times. However, a sizeable discount would be needed to have a meaningful effect on Greece’s debt trajectory, and our expectation is that any restructuring would involve a loss of at least the historical average for private sector lenders.

ムーディーズ社による最近の調査では、デフォルト後30日のプライスかディストレス交換前のトレーディングのプライスをベースにすると、デフォルト後のリカバリーの平均は50%をやや上回る程度。この平均値の周囲には18%から95%までという広範囲で数値が散らばっており、さらに近年には、格付けされた先進国のソブリンデフォルトの前例が存在しない。しかしながら、ギリシャの債務のトラジェクトリーに意味ある影響を与えるには、かなりのディスカウントが必要であり、この先いかなる再編を行うにしろ民間セクターの貸し手にとっては少なくとも過去平均程度の損失が発生するであろうと考えている。

つまり、どうがんばっても、最終的にはギリシャの債権者には、現在のCaa1という記号が示唆する程度(=90~95%は回復する)よりははるかにシビアな損失出そうだから覚悟したほうがいいよ、損失の程度によってはもっと格下げ来るよ、とM社は考えてるらしいんである。

今週中にもトロイカ軍団の最終支援案は固まると見られているが、仮に目先のデフォルトが回避できたにしても、ギリシャ国のマクロ経済や財政状況から判断するに、長期的には投資適格と呼べる信用力には戻りそうもないよね、ということだ。

そりゃーそうであろうな。現在のドロドロな状況が一朝一夕で生まれたわけでもなし、元に戻るのだって、一朝一夕じゃ戻りませんて。

それに、んなこと、いまさら格付け機関からわざわざ言われなくても、みんな、そうじゃないかなーと考えてるから、CDSのスプレッドが1500とかになっちゃうわけでありまして。

Tuesday, April 19, 2011

欧州ソブリン危機悪化中

日本の震災・原発関連のニュース、そして、米国で日々繰り広げられる政治茶番劇にばかり気を取られていたが、その合間にも、欧州ソブリン問題はさらに温度を上げているのであった。

前回のブログで、S&Pの米国債格付けについて述べたが、その肝心の米国債市場も、この日注目していたのは、そっちじゃなくて、欧州問題のほうであった。(S&Pの見通し変更は、マーケット的には大きな意味がない故。)

欧州についても、いろいろ目に付く記事があるので、それについて書きたいことはあるんだが、なにせ眠いので(笑)、17日のソブリン債CDSの拡大具合の表だけでも、ここに貼り付けておく。



ギリシャのCDS、キテますなぁ・・・レベルが1278とかいって、先日1000超えたとかいうニュース聞いたばかりなのに、べらぼう4桁で落ち着いちゃってるし。

こうなると、トレーダー達はもう「デフォる」というのにベットして取引してるようなもんですが、IMFやドイツが「2012年までに、さっさとリストラ体制に入らんかい」と促しているのに、当のギリシャ政府は「債務リストラ?んなもん、やる気は一切ありません。今年中には、通常の市場調達に戻れると思いますし」と、あっち向いてるようである。

(Wall Street Journal, 4/16/11)


悪夢の銀行危機をかいくぐるアイルランドは、同国の大銀行の預金についてる格付けがジャンクに堕ちた。ムーディーズが、アライド・アイリッシュ(Ba2)など5行格下げ。サクッとジャンクとかいいますが、これ、劣後債とかシニア債とかじゃなくて、「預金」ですから。

「先進国の一角の大銀行」が「劣後債でジャンク」はともかく、「預金」のレベルでジャンクになるって、これはやはり、ゲーッと思う話でありまして。


(BBC News, 4/18/11)


そして、もうひとつ、スペインでは期間12ヵ月の国債オークションで、『不吉な』結果に終わった、というニュース。

実行利率が一月前だと2.13%で発行できたものが、今回2.77%まで上昇し、中央銀行の出口政策による上昇幅では説明できませんね、という話。

(Seeking Alpha, 4/18/11)

ウォールストリートジャーナルなどは、「スペインはドミノになるか、ダムになるか」という意地の悪い見出し。

(Wall Street Journal、4/18/11)


欧州がドミノ式に崩れてダム決壊となりませんように・・・

そう祈りながら、今日はこれで寝る。