Monday, December 28, 2009

GSEsへの政府支援拡大について

クリスマスホリデー突入前の22日、ガイトナー財務長官は公共ラジオ放送National Public Radio(NPR)の番組に出演し、2009年を振り返った。

今年は「米国が第2の恐慌に陥るリスクに直面して始まり、回復への道を歩み出して終える年」(“This is a year that began with America facing the risk of a second Great Depression, but is ending with America on the road to recovery.”)だったとガイトナーは言い、米政府の様々な施策が功を奏し2010年に入っても経済回復は継続される見通しだと述べた。

「第2の金融危機はもう来ない」と言い切るガイトナーに、ラジオの司会者は「どうして、そこまで言い切れるのか」と食い下がった。それへの長官の答えは、スポ根的精神論。

When you have the will to act, we have substantial ability to prevent that, and we'll do what's necessary.

対処しようという意志さえあれば、それを阻止する多大な能力を我々は持っており、必要な手段に打って出る。

一心、岩をも通す。(財務長官が『史記』の愛読者だったとは・・・。笑)

ま、この場合の「will(意志)」というのは「Political Will」を指すのであろうけれど。

(Political Willの欠如については3月16日付MHJ記事『Political Willの欠如が最大のリスク』を参照。)

筆者からみると、今年は政界もジャーナリズムも(それに煽られる世間も)「ウォール街=邪悪」という図式に終始した年だとも思うし、その怒りの矛先として、ウォール街インサイダー出身であるガイトナーに非難が集中した、そういう年にも思う。

このNPRのインタビューでも、せっかく財務長官をゲストに迎えながら、金融システムの健全性やグローバル経済の現状などの重要な話題にはあまり触れず、どうでもいい下世話なトピックにやたら時間を割いていた。たとえば、こんなくだり。

What do you say to people who feel that you're too close to too many of these bankers. You often lunch with them. You socialize with them. There are - reporters have looked at your phone records and seen that they're the first calls you make in the morning and the last call you make in the evening and sometimes calls are made directly before important meetings or important decisions are made regarding their future. What do you say to that - is that appropriate?

あなたがウォール街のバンカー達と親しすぎると感じている人たちには何と言いますか?あなたは彼らとしょっちゅう昼食を一緒にとったりしているし、レポーターはあなたの通話記録を調べて、あなたが朝一番にかける電話も一日の終わりにかける電話もウォール街のバンカー達で、重要な会議の直前や、彼らの将来に関わる重要な決定がなされる前にも彼らに電話を入れていると言っている。それは(財務長官として)適切であると?

ランチ・・・通話記録・・・

NPRの一般視聴者の興味のあるところとはいえ、戦後最悪の金融危機をくぐり抜けた2009年という重要な一年の終わりにですよ、米国の財務長官が答えなくちゃならない質問が、これかよ?

いつからNational Public Radioは「徹子の部屋」になったのか。

経済であれ、外交であれ、軍事であれ、米政府が直面しているありとあらゆる問題には必ず「中国」が顔を出した2009年。来年はその脅威はさらに強まと予想される、そんな瀬戸際に来ているときに。米国債大量発行で金利上昇したらどうなるんだとみんなドキドキ始めてる、そういうときに、「電話かけてたでしょ」って、あんた・・・。

トランスクリプトのこの部分を読んだとき、筆者の脳裏に、あの名曲がBGMで流れたことは言うまでもない。




   ★   ★   ★

ガイトナーは、Newsweek誌の年末インタビューにも登場した。こちらのインタビューは、NPRよりマシな内容で、多分、日本版のニューズウィーク誌に掲載されてるんじゃないかと思うので本文はそちらで読んでもらうとして、ガイトナーはその中で、こんなことを言っている。

GROSS: There are other costs associated with these efforts, like the weak dollar and the Fed's large balance sheet. Shouldn't we be worried about them?

GEITHNER: I don't see that with the dollar. When fear was most acute, people wanted to be in Treasuries and hold dollars. Even today, when you have moments of darkness, people want dollars. The Fed's balance sheet is larger because it understandably decided to run a monetary policy to break the recession. But there are other costs not captured by what we've discussed. The government will bear losses in AIG, the automobile companies, and in Fannie and Freddie. But the losses there will probably be lower than what people think, too.

(インタビュアー)金融市場を下支えする施策には他のコストも伴いましたね。例えばドル安が進行したとか、連銀のバランスシートが膨れ上がったとか、これらについては不安はないのですか?

(ガイトナー)私はドルについては心配していない。不安が急激に高まったとき人々は米国債に投資して米ドルを持ちたがった。連銀のバランスシートが膨張した件についても、リセッションを阻止するために必要な金融政策を決断したのだから、そうなるのも無理はない。だが、ここでまだ話題に出てきていない別のコストがありますね。政府は、AIG、自動車会社、ファニーとフレディから出てくる損失は取らざるを得ないでしょう。でも、その損失額はまわりで考えられている金額よりはおそらく低い額で済むと思います。

   ★   ★   ★

「損失額はまわりが考えてるより低い額になる。」

このインタビューがNewsweekのサイトにポストされたのが21日。この発言の舌の根も乾いていない数日後(正確には、クリスマスイブの24日午後3時)、財務省は、ファニーとフレディに対し、政府による救済措置の上限それぞれ2000億ドルを向こう3年撤廃し、2010年から開始されるはずだった両社のバランスシート縮小プランも当初予定より先延ばしすることにする、と発表した。

財務省発表のプレスリリースはこちら

ファニーとフレディを監督している政府関係者が「今の救済措置じゃ足らないと財務省に泣きついて交渉しているらしい」という話は、今月半ばにブルームバーグなどですでに報道されてたので、今回の財務省の発表自体は、トータルサプライズというわけでもなかった。2社の抱える住宅融資のポートフォリオから損失発生が止まらないというのも、よく知られた話であったしね。

とはいえ、筆者にとってサプライズだったのは、「上限まるごと撤廃しちゃった」という部分ね。向こう3年リミットなしでサポートします、ってんだから、ギョッとするでしょ。「救済資金=No Limit」みたいなことって、財務省の一存で決められるもんなんですね、知らなかったけど。

本題に入る前にまずは、ファニー(FNM)とフレディ(FRE)救済資金についてのFACTSをいくつか整理しておきたい。

*2008年9月、両社に対する救済措置が取られた。措置の見返りに政府は8割株主となるワラントを受理。

*当初救済措置は3本立て:(a)「自己資本強化」が目的の、Preferred Stock Purchase Agreements (PSPAs)=資本注入する、(b)「MBS市場円滑化」が目的の、MBS Purchase Program=財務省が新発MBSを買う、(c)「短期流動性サポート」が目的の、GSE Credit Facility。

*このうち、(b)と(c)は今年12月末日で予定通り終了。(b)については財務省のエージェンシー債買取実績は総額2200億ドル。(c)は未使用のままクローズされる。

*今回変更対象となった(a)については、アグリーメント締結当初はそれぞれ1000億ドルを上限にしていたが、2009年5月に枠は倍の2000億ドルに増額され、2社合わせて救済資金枠は4000億ドルになっていた。

*今回出された変更箇所は、(1)4000億ドルの上限がかかっていたのを、「向こう3年間累積される損失により資本減少が起こった際は対処するに必要ないかなる額も提供する(to increase as necessary to accommodate any cumulative reduction in net worth over the next three years)」という文言に変更し上限撤廃。

*(2)さらに、両社が保有するモルゲージ資産額の段階的減少プランについても柔軟性を持たせ、2009年末時点の残高から一定率(毎年10%)で減少させてゆくという予定だったのを、保留額上限(それぞれ9000億ドル)を超えないようにするという文言に変更。←これは、削減目標値達成のためだけに「両社が資産売却に走らなくてもよいようにする」のが狙いである。

以下に、具体的な数字をいくつか。

*発生した信用コスト:2Q07から3Q09までの9四半期累損で、2社合算で$188.4bn。(←資本基盤が毀損しPSPAsから注入仰いだ。)

*PSPAsに基く資本注入額:FNM=$60bn、FRE=$51bn、合計$111bn。

*保留モルゲージ資産額:FNM=$771.5bn(10月現在)、FRE=$761.8bn(11月現在)。(ともに上限は$900bn以下。つまり、新ルール下では資産拡大余地あり。)

*政府と連銀のエージェンシー債買取額:2社合算で、財務省=$220bn、連銀=$1.1tn。

*資金調達に関わる政府援助:調達として新規発行された債券の連銀による買取=$124.1bn。(これは連銀のMBS買取プログラムとは異なります。)

昨日のBusiness Weekの記事によると、米国の個人向け住宅モルゲージ債務は$11.8tn規模、うち$5.5tnがFNM/FREのいずれかに保有されているか保証を受けている、という。また、今年オリジネートされた新規モルゲージの75%はFNM/FREのファイナンスを受けたという。

GSEとその問題については、Murray Hill Journal 9月30日付の記事『自作自演の市場回復の果てはブラックホールの恐怖』で取り上げたので、Primerとして参照してください。

覚えておられる方もいると思うが、FNMとFREのほかにFHAってのもいるんだよね。FHAが新規にオリジネートされたモルゲージローンの20%に保険かけてやってたわけだから、FNM+FREで75%、これにFHA=20%加わって、今年は新規住宅融資の95%が「政府の息がかかってた」というわけ。

このMHJ記事で紹介したフレディの会長の言葉を借りると「政府系のGSEがなければ米国のモルゲージ市場は存在してない」。

   ★   ★   ★

それほど重要な役割を果たすGSEゆえ、この局面で「バランスシートに債務超過(Negative Net Worth)が表面化し、事業継続不可のため清算への道・・・」なーんてことになったら大事(おおごと)なんである。

ってか、そんなシナリオは、最初から存在“すら”していない、とでもいおうか。

ということで、必要とあらば支援拡大はなされる、と大筋が期待していたわけだが、上限完全撤廃するとはなぁ・・・。

財務省によるこの動きのインプリケーション(示唆するところ)としては、

1) FREやFNMの財務状況が、いよいよ大幅な債務超過が表面化しそうなところまで迫ってる。

2) 政府が、FREとFNMをビークルとして利用して、モルゲージ市場テコ入れの一段の政策拡大(しかも大規模)を目論んでいる。

3) 財務省は米国債イールドの上昇に伴う住宅ローン金利の急上昇を予想している。

まずは、1.の財務の現状としてFREの3Q09決算数値を実際に見てみた。

          (続く)



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Monday, December 21, 2009

米国債発行上限問題は来年も蒸し返し確実

米国債発行法的上限を今年中に上限引き上げておかないとヤバイという話が秋ごろから出てきていたというのは、9月12日付けMurray Hill Journalでお伝えしていましたが、いよいよ年の瀬も迫り、ギリギリまで伸ばされていたこの問題も、先週(12月17日)下院が上限引き上げにOK出して、ひとまず乗り切りそうである。

ただし、当初は2兆ドル引き上げの予定だったわけだが、先週下院を通過した額は(たったの)2900億ドル

House approves $290 billion increase of debt ceiling
(AP, 12-17-2009)

記事中にもあるように、民主党側は来年の中間選挙前に上限引き上げの採決を議会に再び持ち込むのは得策ではないと考え、できれば、今年中に一気に2兆ドル引き上げて余裕を持たせておきたいところだった。

しかし、これも前述のMHJ記事に書いたとおり、夏の終わりから共和サイドは保守勢力を中心に反オバマ色を強めていて、共和サイドの反発は必至だったし、さらには、民主党内でも財政赤字膨張に対する警戒モードが点滅し始めており、民主リベラル組も、当初の2兆ドルという目標は現実問題として無理、と悟ったようだ。

2兆ドルどころか、2900億ドルの引き上げ額ですら、今回の下院での投票数は、賛成218/反対214 という、ギリギリの綱渡り状態。

とはいえ、議会がダメって言うから米国債はもう発行できせませーん、などとは、口が裂けてもいえないのは、共和党とて事情は同じ。

ということで、共和側も、ひとまず、12月末まで足りない分だけでもなんとか、ってやつである。民主リベラルを政治的に料理するのは、中間選挙のあたりでジックリやりまひょか、ってね。

しかしね・・・

こうやって、米議会の連中が民主だ共和だと分かれてポリティカルゲームにいそしむばかりで、「国家財政、マジ大丈夫っすか?」という本質論の方は、わかったようなわからんような話ばっかやってて、期限が来るたびに、大昔の加藤茶みたいに「ちょっとだけよ・・・」とやってるうちに、あっという間に2兆ドルなんて行ってしまうんである。

国の税収増えなきゃ借金するっきゃないんだからな。失業率10%なんて言ってる国で、目先、どうやって税収増やすのさ?あるいは政府プログラム、削減しますか?

あれっ、目下最大の焦点「ヘルスケア改革法案」が最終的に通ったら、向こう10年間で8900億ドルの財政支出が追加で必要になるって先日言ってませんでしたっけ?

このヘルスケア改革だって、通ったからとて、筆者個人には、ほとんど何もアップサイドないよ。

新システムで保険会社対象に増税するそうだけど、保険会社たちは今から、増税されたらその分は個人のプレミアムに転嫁して徴収するって言ってるんだもん。それでなくても毎月高いプレミアム払わされてるのに月々の保険料はいま以上に高くなり、しかも個人の課税所得から税控除してくれるという話は聞こえてきてないんだから、保険会社の税金もプレミアムの形で肩代わりしてあげて、自分で払うプレミアムにも税金かけられ、【健康であるがゆえ】にダブル課税されるようなもんである。(←わたしの理解が間違っていたら、教えてください。)あれだけ鳴り物入りだった法案審議が、結局はこれだもんな。アホらしいを通り越して、脱力感すら漂っている。

アメリカ合衆国、【増税】へ向かって、まっしぐら。

一納税者としては、暗くもなるじゃーありませんか・・・。

(下画像はTime より)



   ★   ★   ★

政府の債務といえば、今年の3月に、モルガンスタンレーが、米国の債務全体のGDP対比のグラフ(Debt-to-GDP)を出して話題になってたのを思い出し、探してきた。

このグラフね。



このグラフを見ると、1933年当時は企業部門が抱える債務が全体の51%と圧倒的に大きかったが、2008年では個人部門の債務が全体の27%を占めて、ハッキリした違いが見て取れる。1934以降1944年ぐらいまでは、企業のデレバレッジ(deleveraging=債務を減少させること)が急速に進み、一方で政府の債務が割合として増加して調整が進んだ。

現在は、銀行による企業向け貸しが減少し続けているのと、個人向けもモルゲージ・消費者信用ともに縮小していて、コーポレートと個人の2部門はともに縮小している最中だが、その縮小をはるかに上回るペースで政府による借り入れが膨張しており(民間債務が公的債務に振り変わる格好)、国全体でみたときの債務の額は、依然として増加傾向にある。

(Debt-to-GDP Ratioの推移はここにもあり。)

政府と議会は銀行に圧力かけて、「もっと貸せ、もっと貸せ」とハッパかけているけれど、家計と企業の両部門では実際にデレバレッジが進行していて、資金需要自体が弱い。また上のグラフで長期トレンドの流れをみても、今、この局面で、プライベート部門が再び信用拡大に逆転するとは、ちと考えにくい、とMHJ筆者は感じるんである。

一方で、政府の債務は増え続ける。国債発行上限の引き上げも、今回で終わりにはならないと誰もが思っている。

この問題は来年も再び議会で蒸し返されるでしょう。だが、そのときには、オバマ政権はさらに強い逆風にさらされて、いま以上の足かせがかかるのでは、という予感がする。

   ★   ★   ★

ゴールドに強気なことで知られるMarc Faber(←このひとの長期の市場見解もかなり悲観的)の最近のインタビュー(by The Economic Times, 12-19-2009)を読んでたら、彼がこんなことを言っていた。

  • 米国の民間の債務は銀行貸出や消費者信用の縮小により減少している。
  • しかし国家の債務は民間減少分を上回るレベルで増加しており、財務全体は増えている。
  • 米国の(民間分も含めた)債務全体のGDPに対する比率(Debt-to-GDP)は375%。同比率は、1929年には186%だった。
  • ここに社会保障、公的保険などの隠れ債務、国有化されたファニーやフレディ関連債務も合わせると、米国全体が抱える債務はGDPの600%。

600%というのも、すごいね・・・。日本の場合は、同じ基準で測ったら、現時点でどれぐらいあるのだろうか。(日本も相当ひどい数字になりそうですよね。)

Faber氏の考えでは、この水準の債務は維持不可能(unsustainable)であり、向こう1年から3年の間に米国では国家財政悪化による長期金利上昇が顕在化して、米国債の金利払い負担はいずれ税収の35%から50%を占めるようになる。この状況から抜け出すためには、インフレに繋がるような景気刺激策が次々と出され、国民の生活は圧迫されるが、そこから国民の注意を逸らせるために米国は戦争により力を入れるようになり、どこかの時点で米国経済は崩壊し。。。

ウジウジ組のMHJ筆者ではあるが、その筆者ですらも、Faber氏の悲観論にはタジタジとなりましたわ。

それ故に、同氏はゴールドに対して非常に強気で、ゴールドの価格を支える要因として「世界の外貨準備は7兆ドル、うち70%がアジアの中央銀行に占められており、ゴールドの形で保有されているのは2%以下。そのため多くの中央銀行が、(ゴールド買いを進める)インドの準備銀行のモデルに従うと考えられるから。」

また氏は、2010年の投資アイディアとして、コモディティでは小麦と天然ガス、株式については、日本株への投資(!)を薦めている。

"I think as a contrarian, you really want the contrarian play. You should buy Japanese stocks and Japanese banks. This is the absolute contrarian play. Nobody is interested in Japan. All the funds have withdrawn money from Japan. They have given up on Japan and I guarantee you the economy would not do," Faber said "You can have an economy that does not do well but the companies do well. That is a big difference and I think the Japanese banks are very depressed".


「私はコントラリアンだから、コントラリアン・プレイを薦めたい。日本株、特に日本の銀行株を買うべきだ。これは究極のコントラリアン・プレイだ。今は誰も日本に興味を抱いていない。海外ファンドの多くが日本市場から資金を引き揚げた。日本は多くのファンドに見捨てられたし、経済も良くはならないこと請け合いだ。だが、経済そのものがダメでも、会社(の株価)は伸びることがある。そこが大きな違いだ。わたしは日本の銀行株は下がりすぎだと思う。」


・・・だそうです。

たしかにコントラリアンだよな。たとえば、UBSのストラテジストの2010年市場アウトルックは、思いっきり日本をアンダーウェイトにしてたし。

【究極のコントラリアン・プレイ】・・・実践するには、ちょっと怖い?(笑)

米国が抱える債務の重圧に極端なほどに悲観的になっている氏が、国債発行残高のみでGDP対比200%超える日本国の株市場(しかも日本国債の最大の買い手である日本の銀行群)に強気になれるという、そのロジックが、私にはいまひとつよくわからんのだけれど(苦笑)、ま、こういう意見もある、ってことで紹介してみました。



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Thursday, December 17, 2009

近頃ちまたで流行るもの「戦略的デフォルト」

支払おうとすれば支払えないことないけど、支払わないほうが経済的にお得と判断されるので、敢えて支払わないことを選択する。

これを【戦略的デフォルト(Strategic Default)】と呼ぶ。

11月24日にポストしたMHJ記事で、モルガンスタンレーが不動産投資部門でしこっていた「クレセント」という商業不動産デベロッパーの会社の担保物件の鍵を、融資したバークレイズにお渡しして借金から【Walk Away】した、という話を紹介しましたけど、覚えておいでか。

今日(17日)のブルームバーグ記事で、モルスタは、サンフランシスコにもつ10本のオフィスビルのうち5本のビルからも同様にWalk Awayする、と伝えられた。

Morgan Stanley to Give Up 5 San Francisco Towers Bought at Peak
(Bloomberg, 12/17/09)

同記事によると、モルスタ(MS)は2007年に、80億ドルの不動産投資を行った。今回Walk Awayする予定になっているプロパティというのは、MSが2007年5月にブラックストーングループから25億ドルで買収したオフィスビル10本のうち5本。

MSにそれらを売ったブラックストーンは、2007年初頭にシカゴの不動産王サム・ゼル(※)の会社Equity Office Propertiesを390億ドルで買収していた。不動産を買って数ヶ月後には売り払う・・・つまり、当時流行りの【フリップ(Flip)】やってたわけですね。

(※不動産王サム・ゼルについては、1月8日付MHJ記事にも登場。)

この大掛かりなトランスアクションでモルスタがどれほどプレミアム払ったのかは知らないが、同社はサンフランシスコのオフィス街の中心に390万スクエアフィート(36万平米)のオフィススペースを持つに至り、SF最大級のオフィスビル所有者となった。

しかし、MSの見込みとは裏腹に、商業不動産の価値は2007年10月にピークをつけて以来、現在まで43%の下落。

こうした大型不動産投資プロジェクトに必要な多額の資金を調達するには、CMBS(Commercial Mortgage Backed Securities=商業不動産の証券化)市場の存在が不可欠であるが、そのCMBS市場での発行額は2007年の2370億ドルから95%減という。

最近、GSやJPMなどが政府支援(TALF)を受けない形で独自にCMBS発行に漕ぎ着けたといって、CMBSへのリスクアペタイトが戻ってきたと言う者もいたが、発行したといったって、せいぜい5億ドルとかのサイズ。2007年の2370億ドルという発行額と比べたら、比較にならない。CMBS市場は実質的に閉鎖されたままなのだ。

また米国の商業不動産へ積極的に融資をしていた中小の金融機関の破綻が続いており、今後も破綻数は増えると見込まれているうえ、銀行自身の貸し出し姿勢の硬直化で、一般融資という形でも、資金調達は困難になっている。

記事によると、サンフランシスコ地区でのプライム・オフィス賃料は3Q09に前年同期比で37%下落し、これは2001年以来最大の下げ幅だという。空室率も14%に上昇し、こちらは2005年以来最高。2009年に入ってからの9ヶ月だけで、サンフランシスコでは、140万スクエアフィートのオフィス面積がアヴェイラブルとして戻ってきたのだそうだ。

そもそもの部分で、失業率が増加してるんだから、全米のオフィス賃貸が活発になるわけないよね。

ということで、商業用不動産市場は、需要減、供給増、調達難の3点セットで急激に悪化が続いている。

そこに持ってきて、モルスタみたいに、担保価値がまだ下がっている最中に、担保物件にリボンつけて融資元の玄関に置いてゆくようなマネする借り手も出てきたりして、貸し手の銀行からしてみたら、これじゃ、どれだけ最終損失見込めばいいんだよ、って話である。

ブルームバーグの上記記事に、モルスタのスポークスウーマンの言が載っているんだが、これが

“This isn’t a default or foreclosure situation. We are going to give them the properties to get out of the loan obligation.”


「これはデフォルトでもなければ、フォークロージャでもありません。我が社は融資返済義務から抜け出すために、物件そのものを差し上げる、そういうことです。」


たしかに、法的な定義上は、デフォルトもしてなければ、フォークロージャにも至っていない。物件そのものも、おそらく、まだネットのキャッシュフローがかろうじて回っている状態なのだろうし(←そうじゃなきゃ、返せないでしょ)、すでに初期投資のエクイティ分は累積償却でぶっ飛んでしまったであろうモルスタからしたら、「実質」じゃなくて「実際」にバランスシート上債務超過が表面化する前に、ここらへんで足洗っておいたほうが得策、ってわけである。

それ故に「戦略的」。

しかしね、“戦略的”なんて言うとカッコいいが、要するに形を変えた【借金の踏み倒し】以外の何者でもないわけでして。

将来の価値下落のリスクを抱えるのは、他の誰でもない、物件をボーンと突っ返された銀行側である。

こういう動きが今後広がってくると、考えられることは、資金を提供する側は従来以上に慎重になる、すなわち、貸し出し金利に更なるリスクプレミアムが乗っかる、って意味だ。リスクプレミアムが厚くなると、それでディスカウントして現在価値が決まるんだから、プロパティの価値はさらに下落する。

モルスタのような【戦略的デフォルト】のプラクティスが一般化してくると、それは、一種の「構造変化」と見られるわけで、そうなると、たとえ需給の部分(シクリカル要因)が回復してきても、リスクプレミアムは厚いまま、という状況も想定しうる。

でも、それは、長期的には商業不動産市場にはプラスには働かない。

   ★   ★   ★

【戦略的デフォルト】の動きは、商業不動産に限ったことじゃない。あえて『Walk Away』のオプションを選択するという動きは、一般個人の住宅融資にも広がってきていることを、ウォールストリートジャーナルが伝えている。

Debtor's Dilemma: Pay the Mortgage or Walk Away
(Wall Street Journal, 12/17/09)

この記事によると、530万件のアメリカ家庭が家の市場価値より2割以上高いモルゲージ残高を抱えており、うち220万件が5割以上の債務超過。

また、同紙前日の別の記事では、賃料が大幅に下がってきていて、今住んでいるのと同じ地区で賃貸を探せば、月々のモルゲージの支払いよりもずっと安く家を借りることが可能になっているため、あえてローンを払わずに追い出されるまで住んで、追い出されたら借りればよいと考える者が増えている、という話。

American Dream 2: Default, then Rent
(Wall Street Journal, 12/16/09)

こうした動きは、いまはともかく住宅市場を活性化させたいという政治的欲求が多分に働いている最中だから、あまり問題視されずに済んでいるが、これも長期的に見た場合、住宅ローン市場の市場規律を歪め、融資の最終的なプライシングに悪影響を及ぼすと筆者は思う。

   ★   ★   ★

今週の月曜日、オバマはホワイトハウスに主要銀行のCEO達を呼び出して「もっと貸し出せ」と圧力をかけるつもりでいたが、呼ばれたCEOのうち3名(GS、MS、Citi)が「民間機で向かおうとしているが、DC空港の上空の天候が悪く着陸できない」と言い訳して、大統領からの呼び出しをドタキャンした。

JPMのCEOはニューヨーク本社から問題なく出席したが、彼は民間機は使わずにコーポレートジェットでワシントンDCに乗り付けた。公的資金も返したことだし、納税者のカネでプライベートジェット使っただのなんだのと、くっだらないことでチクチクやられることもなくなり、【敢えて】専用機を使うあたりが鼻っ柱の強いことで知られるJPMのジェイミー・ダイモンらしい、といいましょうか。(笑)

しかし、大統領直々の呼び出しに、そんな理由で不参加決め込むなんて聞いたことない。NYからDCなんて、東京ー大阪みたいなもの、行こうと思えば、電車だって車だって朝のうちに行けない距離じゃないよ。

今の政府と議会がやっていることは、モラルハザードの拡散は援護して、デフォルトリスク上昇は見てみないフリをする。ことあるごとに「納税者のカネで救済してやった」と皮肉くることは忘れずに、公的資金早期返済のインセンティブだけを強めるマネをしておきながら、一方では「貸し出せ、貸し出せ」と政治的圧力をかけ続ける。

これでは、銀行経営側だって、「やってられっかよ」となるでしょうよ。




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☆☆☆ 過去の関連ポスト ☆☆☆

Wednesday, December 9, 2009

ソブリンCDSについて(2)

前回(11月30日)のMHJ記事で、ドバイの一件が本当に「たいしたことない話」かどうかはまだ誰にもわからない、個人的にはソブリンCDSのレベルはすぐには元に戻らないような気がする、と書きましたけどね。あの予感は的中したな。

ドバイワールドが、一般企業のリスクではなく、“擬似ソブリンリスク”とみなされていたために、ドバイショックは「たいしたことない」どころか、懸念は中東からスピルアウト(spilled out)して、ソブリンリスク全体に対する懸念へと広がって行ってしまった。

ソブリンリスクは為替にも影響与えますからね。ここしばらく、米株市場はドルの動きに引きずられて連動していたということもあり、今週に入ってからの米市場は、「ソブリンリスク」+「ドル」に翻弄されて、個別企業の業績なんて知ったことかという雰囲気。(Fedexの業績上方修正など明るいニュースもあったのにさ。)

8日(火)は、ドバイから、さらにドーンと暗くなるニュース、3連発。

1.ドバイの政府関係者が「ドバイワールドの子会社で不動産デベロッパーNakheelの債務リストラは当初想定していた6ヶ月よりもさらに時間がかかりそうだ」と述べた。

2.Nakheelの財務諸表が出てきて、今年度の上半期中に負債総額は7.2%増えて200億USドル相当まで増えており、期中損益も、37億USドル相当の当期損失。

3.Nakheelの兄弟会社Istithmar World (ドバイワールドの子会社でプライベートエクイティ担当)が所有するニューヨークのホテルチェーン『W』のユニオンスクエアのロケーションがフォークロージャとなり、火曜日にオークションで$2 million で落札された。ユニオンスクエアの『W』はIstithmarが2006年に購入したが、当時の投資総額は$282 millionだった。

Nakheelも債務の支払い原資を捻出するために資産整理を急ぐ予定であるが、資産オークションの現実はキビシイ・・・。

これらで、やや落ち着きかけていたドバイのソブリンCDSは再び急上昇。(下のグラフのオレンジ色がドバイソブリンCDS。過去半年の動き。グラフはFTより。)



筆者のNYの自宅からさほど離れていない場所にも、『W』ホテルチェーンのひとつがあるんですけど、すっごくステキで立派なホテルですよ。ユニオンスクエアのも、なかなか立派。あのオシャレなホテルが、たったの $2 million って・・・絶句。

   ★   ★   ★


サブプライム問題で叩かれてしばらくグッタリしていた格付け機関も、ドバイ問題勃発で水を得た魚のように元気になり、(っつーか、従来のソブリン格付け分析モデルの確認を再度せざるを得なくなったのか)、いきなり、あれもこれもと、ギャンギャン、見直しやら警告やらに入ってやんの。(暗い話で元気になるのが、債券オタクの常。)

7日(月):S&P、ギリシャのソブリン格付けをネガティブウォッチに。
8日(火):Fitch、ギリシャのソブリン格付けをA-からBBB+に格下げ。
8日(火):Moody's、英国と米国のソブリン格付け(ともにAaa)に圧力かかってると警告。
9日(水):S&P、スペインのソブリン格付けのアウトルック(見通し)をネガティブに変更。

株式市場は、普段はソブリンリスクなんて知ったことないわけだから、これらのニュース聞いて(例によって)過剰反応してるみたいだが、前回のMHJ記事で登場したように、ソブリンCDSのレベル一覧表をみると、2008年初めと比べると、グローバルでCDSの水準は上昇していた。

日頃こればっか暗くやってるソブリンCDS市場では、ギリシャ、英国、スペインなどは、すでにCDSプレミアムはジワジワ上昇続けていたわけである。

つまり、CDS市場参加者は、それらの国々の格付けに下方圧力がかかっていることを見越して、CDSのプライスにそれを織り込んできてたわけですね。

このように、債券市場では「格下げされるかもしれないリスク」というのは、格付け変更のアクションが実際に取られるずっと前からクレジットスプレッドに織り込まれて、格付け機関のほうがマーケットで取引されるスプレッド推移の【後追い】になることのほうが実は多い。エージェンシーに格下げされてからヨッコイショと腰上げてたら、間に合わんからな。

しつこいようですが、CDSというのは、対象になる債券のデフォルト可能性に対して保険かけとく、そういう商品である。だから、「自分が持ってる現物債券に、いまから保険かけといたほうがいい(=リスクヘッジしといたほうがいい)」と思う市場参加者が増えれば、CDSへの需要が増えてプレミアムは上昇するんである。また現物債券持ってなくても、ギリシャのCDSに対する需要が増えると考えるスペキュレーターが増えれば、それもCDSのプレミアムを押し上げる。

前回、MHJ記事で書いたように、ギリシャのCDSスプレッドは、格付け機関がアクション取る10日前には、すでに200bps超までワイドニングしていた。(2年前のレベルは22bps。)

そこにダメ押しの格付け機関による格下げが到来して、ギリシャのクレジットの売り(CDSの買い)に勢いがつき、CDSプレミアムが上昇し250bpsまで近づこうとしている。

9日付けのFTに、ギリシャ、英国、スペインのソブリンCDS、そして、西欧ソブリンCDSインデックス(iTraxx SovX/WE)の過去1年間の推移グラフが載っている。



このFTの記事によると、月曜のS&Pと翌日のFitchのアクションで悲観度が増し、30bpsワイドニングした、という。(ギリシャはオレンジの線。)

市場はとりわけ、イギリスとアイルランド両国の国家財政のバランスがいま以上に悪化することを懸念して、9日に出された予算数字に非常に敏感になっていたらしい。サプライズは無かったものの、CDSはワイドニングし、コンフィデンスが低下してきているのが見て取れる。

また、スペインは、経済成長が低いくせに、古典的な不動産バブルに陥って、銀行システムが不動産関連融資の償却で体力を失うという懸念が、筆者の知っている限り、ここ2年ほど続いていた。その始末をつける前にリーマンショックに襲われてさらにドツボにはまっちゃったというケースである。

現在は、格付け機関も連日ガタガタ動いていることだし、市場全体がソブリンリスクに注目して悲観的な方向にムードが傾いているのが感じられるときでもあるので、CDSの値動きは激しくなりがちだが、ここから先、それぞれのCDSがどういうトレンドラインを描くか、それによって、CDS投資の勝ち負けも決まってくる。

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さて、筆者もときどき拝見している為替ブログ『ロンドンFX』で、先週、ゴールドマンサックス(ロンドン)のスターエコノミストJim O'Nealとそのチームが先週2日に出した戦略レポート『Global Viewpoint:Unveiling Our Top Trades for 2010』と題されたレポートのことが紹介されていた。

同レポート(原文)にご興味あるかたは、こちら

このレポートは、2010年に取るべきポジションの推奨リスト。ただし、この手のレポートがターゲットにしている読者層というのは基本的に、「グローバル投資+オールアセットのヘッジファンド」である。それ故、個人で読むにはつまんねー(笑)んだが、ここに、【CDS投資における〝教科書的”な実践ストラテジー】が登場するので、ちょっと紹介したい。

同レポートの4ページ目に、Top Trade #6として、こんなトレーディング・アイディアが出てくる。

Top Trade #6: Long 5-yr Credit Protection on Spain,
Short 5-yr Credit Protection on Ireland at 70.2bp, target 20bp



「スペイン国のソブリン債5年物CDSをロング、アイルランドのソブリン債5年物CDSをショート、両者のCDSプレミアム差は70.2ベーシスポイント、この差が20ベーシスポイントまで縮小するのを目標値にする」って意味である。(1 basis point = 100分の1%)

クレジットのトレーディングは、取引の「単位」がでかく(1本$10ミリオン)、一般投資家の出入りはほとんどなく、ベーシスポイントなんつー普段聞きなれない言葉で取引されるために、情報も世間にはほとんど出回らない。だから、このトレーディング・アイディアを読んでも「へ?」となるひとも多いことと思う。

ややこしいんですがね、自分が投資しているインストルメントが「現物(キャッシュボンド)」なのか「デリバティブス」なのかで、ロングとショートのポジションが逆転するので、慣れるまでは誰もが最初は混乱するんだよね。

オニールの推奨は、「Relative Value(相対価値)」に着目した投資手法。

スペインとアイルランドの2国は現在、スプレッドに70bps程度の差がついて取引されているのだが、これら二つの国家の信用力を分析すると、両者にはそこまで大きな差が出るのは正当化できない、スプレッドの差は20bps程度まで縮むのが妥当である、とオニールは言う。

オニールはスペインの経済状況は2010年さらに悪化すると考えており、スペインが直面しているリスク要因をふまえると、90bps前後という水準での取引は、【相対的に】プレミアム(保険料)安すぎ→CDSはロング→クレジットはショート。

逆に、アイルランドのは景気回復はスペインよりも早いと考えるから、今の160bps前後というプレミアム水準は【相対的に】高すぎ→CDSはショート→クレジットはロング。

つまり、スプレッドの絶対値ではなくて、2者の信用力の相対的な強弱で、将来のスプレッドの動く「方向」にベットするわけだ。

(MHJ筆者のオピニオンを言わせてもらうと、アイルランドとスペインについているスプレッド差には、それぞれの国の「銀行システムの柔軟さの違い」というエレメントも反映されており、はたして両者の信用力がそんなにすぐに20bpsまで縮小するかは、わたしは現時点ではやや疑問視。)

少なくとも、昨日の段階では、スペインとアイルランドのCDSは、アイルランドの上昇の仕方のほうが派手。二国間のCDSプレミアムの差は、縮まらずに、逆に拡大したように見える。

12月2日付けのオニールの推奨に従って、アイルランドのクレジットにロングに出た投資家がいたとしたら、9日には、おもわず「チッ」と舌打ちしたことであろう。(笑) 来年はどうなるかね。

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前回のMHJで、筆者は、日本のCDSが81bpsにまで拡大してて、スペインの86bpsとさほど変わらないではないか、と述べた。

今週に入ってからの日本国のCDSの数字を調べてないんですが、日本もあれから7.2兆円の景気刺激パッケージを用意するとか、9.3兆円の国債増発することにしたとか、悲観派が喜びそうな話題多いね。

ここでオニールのようにRelative Valueで考えてみよう。米国のCDS32bps、英国69bps、中国87bpsに対し、日本81bpsだったとき、あなたなら、日本という国家の信用力は、過小評価されていると思いますか?日本のクレジットをロングする?

わたし?わたしなら、日本国CDSは買い(クレジットをショート)だね。

藤井財務相は、「国債を乱発することは国債市場の信頼を失うことになる。これは財政の健全化以上に大きな問題と認識しており、あらゆる努力をする」(元記事はここで読んだ。)と述べたそうですね。

でも、日本国債に対する市場の信頼(コンフィデンス)は、日本の「外」では、すでに壊れかけている、と筆者は思うね。

CDSのレベルが、そう語っている。




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