一方、株価の方は、ステートメントの内容をどう解釈したらいいのか判断つかなかったのかどうか、とりあえず、ウキウキ上昇。(ワケわからん。爆)
これが、昨日発表【直後】の10年米国債イールド(赤)と、S&P500(白)の動きである。
Graph: thanks to credittrader
今回のFOMCステートメントでは、前回6月に開かれた時のステートメントと比べると、米国経済成長に対する見解は全体的に弱腰になっていた。
例えば、言葉遣いが、以下のように変わったとか。
[前回] the labor market is improving gradually (労働市場は徐々に回復している)
[今回] employment has slowed in recent months (雇用状況はここ数ヶ月で鈍化した)
[前回] the pace of economic recovery is likely to be moderate for a time (経済回復のペースは当分穏やかなものとなろう)
[今回] the pace of economic recovery is likely to be more modest in the near term than had been anticipated (経済回復のペースは当面これまで期待されてたものに比べより穏やかなものになろう)
市場関係者にとっては、この、わずかに、なんとなく、ほんのちょっと、うっすらと、悪化方向が感じられる言葉遣いは、連銀ウォッチャーじゃなくても悲観的になるに十分であった。
FFレートのターゲットレンジは従来どおり0%から0.25%で、変更なし。
しかし、今回のステートメントでなんといっても目玉だったのは、連銀が投資証券として保有しているMBS証券の償還分が毎月$15-$20ビリオン程度発生するが、それを2年から10年の米国債に再投資する、と発表したことであった。
この情報を受けて、米国債イールドは大幅低下。以下、上から期間5年、7年、10年債、30年債のイールドの昨日(10日)の動きである。(買取対象に入らない30年債に注目。)(グラフはFT Alphavilleから)
★ ★ ★
さて、一夜明けた今日(11日)、米国債はブイブイ。
米国債10年債は昨日からさらに買い込まれ、利回りは1年4ヶ月ぶりの低水準を記録、7bps低下して2.69%に。2年債は1bps下げて0.51%に。
これを受けて、2年から10年までの期間のイールドカーブが寝て、2年/10年の利回り差は5連続営業日で縮小。一方、上のグラフで30年債は動いていないのが確認できるが、10年/30年の利回り差はイールドカーブが立って拡大した。
債券ストラテジスト達は、米国債の利回りにはまだ低下余地があると考えてるようであるな。
そして(昨日は発表後とりあえず上がってみた)株のほうは、今日はどっぷり売り一色。
一番最初に紹介したグラフを見ても、FOMC発表までの数日間、10年債のほうはじっと辛抱強く成り行きを待ち、株式のほうは実はこれといって上がる理由もなかったが、チマチマとショートポジションの手仕舞いをしながら様子見してましたといった雰囲気。実際、米株市場のここ数日の出来高は極めて薄かった。
今日は、FOMCステートメントの咀嚼も終わり、「ちまちまショートカバー」が一斉に「本格売り」に転じて崩れました、の図だな、これは。(グラフは、過去5日のNYダウの推移)
VIX指数は上がり、ウルトラショートの各種ETFも大幅上昇。
ということで、今日一日終えて、NY市場の雰囲気がどんなだったかというと、こんなところでしょうかね・・・。
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最後に、ちょっと興味引かれるグラフを見かけたので、それも、ここに記録しておきたい。
TIPS (Treasury Inflation Proteced Securities) である。(グラフはCrossing Wall Streetから)
このTIPSのイールドが低下傾向にあるのだけれど、5年債の利回りがゼロに抵触している。TIPSの買い手は、向こう5年リターンがなくてもいいと思って買っちゃってるらしい。
TIPSはご承知のとおり、金利は固定、元本がインフレに合わせて調整されるため、インフレーションによる価値下落からプロテクトされている、極めて低リスクの債券である。
質への逃避通り越して、怖がってる人もいる、ってことかいな?
しかし、MHJ筆者はもうひとつ、このグラフ見てて、気づいたことがある。
2008年初頭、ベア・スターンズが逝っちゃったころ、5年TIPSのイールドは、やっぱりゼロだったんだな・・・。
ついったー上では、何度もしつこく、ことあれば、今の金融市場の雰囲気が08年の初めに似ていると書いている筆者であるが(こことかここ)、今日もうひとつ似てるものを見つけてしまったのであった。
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