Saturday, April 3, 2010

【備忘録4】ジョブレス・リカバリー

3月の雇用統計Nonfarm Payrollが出てきた。それに対するオバマの言。

”Worst of the storm is over.” 

クリーブランド連銀の『Data Updates』4月2日付けコメントも、ポジティブなトーン。
  • 失業率は9.7%で横ばい
  • 3月の+162,000のうち、国勢調査人員分が+48000で押し上げられているのは確かだが、それだけじゃない。
  • 増加は産業全体で見られ、ヘルスケアと教育セクターでの雇用増が特に目立つ。
  • 週の労働時間も33.1時間から33.3時間の増加。
   ★   ★   ★

ただし、一度失業した者は、失業期間が延びている、つまり、再就職が難しくなっているという状況がみえる。

(以下ふたつのチャートは、NYタイムズの記事より。)

グラフ1:16歳以上の労働者の失業期間は31.2週間で、DOLが同統計を取り始めた1948年以降最高値。


グラフ2:失業者のうち永久解雇の対象の労働者の割合は51.8%。落ちてきてはいるが、過去トレンドよりかなり高い位置に。


なお、U-6の数字は、前月の16.8%から16.9%へと微増。

(注) 失業統計にはU-1からU-6まで異なる定義で測るレシオがあり、オフィシャルな失業率というと、U-3を指す。ただし、『あんまり仕事がないんで、やる気なくなって仕事探す気すら失せた』ような人はU-3の分母に含まれないため、そういう人や経済的理由からパートタイムに従事している人も含まれるU-6のほうが、米国の失業状況として実態により近いとして注目されている。

(下図は、The Daily Capitalistより。拡大できます。)
 
そして、すっかりおなじみ、Calculated Riskブログの『雇用ピークから水面下に落ち、再び水面上に戻るまでの期間』のグラフ。これをみると、ぐずぐずしてはいるが、一方的な下落は止まり、底のあたりを徘徊しているのがわかる。
 
 
 
 
国勢調査人員ファクターの効果が7月までは続くということなので、雇用統計は、少なくとも夏までは、その底上げ効果が期待されている。国勢調査要因を抜いて、この春、どこまで雇用が増えるか。
 
オバマがいうように、The worst is REALLY over? 
 
いまのところは、Too soon to conclude かも。
 
この統計を受けて、金曜日は米国債の10年イールドが上昇。株式市場も週明けは好感するはず。このウキウキ感が継続する間に“ホンワカとした”金利上昇をもくろむ、そのための下地が着々と作られている、という感触をどうしても持ってしまうな。急激な金利上昇はまだまだ無理としても。
 
引き続きトレンドに着目。

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