Monday, February 3, 2014

パーマブルの逆襲


パーマブル(Perma Bull)という言葉をご存知だろうか。なにがあろうが、「永遠にブル」な人達のことである。

米株が軟調ぎみだと暗くウジウジしながらも目元に笑みが隠せないパーマベア(Perma Bear)の心配をよそに、パーマブルは今日もこんなチャートを配って元気ハツラツ。

S&P500の純利益マージンは、業務ベース、経常ベースともに、9%付近でイケイケらしいよ。





 
このチャートが紹介されていた記事によると、米株界パーマブル代表、ドイチェ証券の株ストラテジスト、デビッド・ビアンコ(David Bianco)は、米国企業の収益性は2014年に更に高くなる、と考えてるそうだ。

ビアンコの米株式強気の背景には、数年前まで激しくアンダーファンデッド(Underfunded)だった米国の企業年金ファンドがほとんど水面下から回復したことがある。回復の背景としては、①金利上昇でホールドしてた債券に損失が発生したが、その損失をカバーして余りあるほど株式市場が好調だったこと、そして、②金利上昇の恩恵(割引率が高くなることで年金の将来オブリゲーションのキャッシュフローの現在価値が下がる) の両面がある。

彼は、2014年も企業にとっての年金関連コストが減少する(あるいは会計上利益になるケースも)ためボトムの業績にプラスに働く、と見ているわけ。


さらに、企業側はここ何年かでガガーンと資金不足状態に陥り相当痛い目にあったこともあって、事業決算数値を悪化させる年金関連のボラティリティを外そうというインセンティブが強く働いている、というのも、彼のブルの理由のひとつである。

つまり、

1) 自社の年金形態を、昔からひきずる「確定給付型(Defined Benefit)」から、401Kのような「確定拠出型(Defined Contribution)」へと移行させる企業が増えていて、このトレンドはリバースすることはない、
2) 確定給付型年金の絶対額は、この先退職者が増えるにつれ減ってゆく、
3) それに従い、マーケット・リスクは企業のB/S上から従業員(投資家本人)へとシフトされ続け、企業側のリスク・エクスポージャは減少してゆくから、将来の株価の下落が企業業績に与える影響度も限定的になってゆく

と、まぁ、こういう(ブルな)ストーリーラインのようだ。

2012年には、SP500のうち、確定給付型年金が全額資金充足していた(Fully Funded)のは20社も無かったそうだが、そうした重度の資金不足(Underfunded)の状態から、2013年末までにはほとんどが脱したというのは事実らしいから、年金関連の損失軽減という分析には、それなりの妥当性はあるといえばありますね。 



しかしですね・・・。

この、ビアンコさんといえばですね・・・SP500のターゲットを2008年10月まで1650にしていたという、『伝説のひと』である。

もういちど言うよ。2008年10月まで

(※ 忘れちゃったひとのためにいちおう書いておくと、リーマンショックは2008年9月15日に起こりました。)

このひとは、そんじょそこらのパーマブルじゃないんである。鋼鉄の筋金入りである。

証拠記事(as of 10/8/2008)ご用意しました、はい、どうぞ。(当時はUBSの方でした。)

UBS's David Bianco cuts S&P 500 12-month target

 

危機の真っ最中2008年~2009年に、S&P500で800ポイント上を睨んでいた伝説の男、ビアンコ。

上のイケイケなチャートは、パーマブルの逆襲 と読むべきなのか。

そんなことを考えながら、ふと本日の米株インデックスを見たら、絶好調で下げてましたわ・・・。

 

S&P500/2014年2月3日午後2時23分現在

 

(追加) イエレンFRB議長初日に、ダウ終値326ポイントも下がったんで、これも記念に貼っておく。

 

ニューヨーク・ダウ/2014年2月3日終値

 

  

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