30日の朝にBEA(Bureau of Economic Analysis)から出されてきた米個人所得(Personal Income)の統計は、実質可処分所得(Real Disposable Income=DPI)の減少、という暗い内容であった。
BEAによる統計リリース全文はこちら。
明るい経済統計がでてくるわきゃーない、というのはわかっている。
わかっちゃーいるが、数字をみせつけられると、やはり、暗い。(泣笑)
先週金曜日(27日)のダウ上昇分のほとんどを吐き出すに十分なほどの暗さであった。
中間選挙が本格化するまであと2ヶ月程度。共和党は、経済失速はなにもかもオバマが悪いと叩きまくり、民主党は、種まいたのは共和政権じゃないかと叩き返す。
時期が時期ですので、そうやって政争に気を取られてるのも仕方ないとは思いますが、確実に米経済失速してますんで、政治家の皆様には、票集めも大事かもしれないが、本質論の部分にもうすこし焦点合わせて議論戦わせてもらえないものかと、一般納税者の筆者としては思うわけである。
ムーディーズ・アナリティクスによると、米国の過剰住宅在庫は増えてきており、現在、米国内で空き家になっている住宅戸数は、カナダ国全部の住宅戸数の2倍、ということである。
下のグラフは、縦軸は単位千戸、緑の線が空き家になっている住宅戸数の実際数値、ゴールドの線が長期トレンド。
緑の線が長期トレンドから乖離して上昇している、の図。
一方で、住宅ローンの借り入れ金利は30年固定で4.36%まで低下しており、米国の住宅融資市場では、近年ありえなかった低金利。
金利がそこまで下がっても「借り換え需要」だけが増えていて、新規ローンについては、期待されるほど伸びていない。
米国はいま、個人も、企業も、デレバレッジングの最中。可処分所得が減少、失業率は上昇、将来の不安が払拭されていない中で、どれほど多くのひとが、多額の借金組んで、いま住宅を購入したいと考えるであろうか。
米国は将来的に人口が増加することが期待されている国なので、過剰住宅は、【長期的には】吸収されてゆくことだろうが、目先、【短期的な需要】喚起ということになると、かなり厳しいと判断せざるをえない。
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と、いろいろ暗くグチャグチャ言ってみたが、要するに、
「現状、この経済環境下で、米国株に対してどれほど期待できるというんだよ」
という話である。
バリュエーションで見たときに安いとか言ってるひとはもちろんいるわけだが、センチメントが暗すぎて、バリュエーションだけでは説得力はない。
さらには、夏季最後の週ということもあり、取引高は最悪・最低の薄商いで、米株市場にはまったく覇気はない。
米国株に対する慎重な態度・見方は、どうがんばっても崩すことができないので、そこでとりあえず、他国にも目を向けてみる。
各国のETFとティッカー、今年に入ってからのリターン実績を良いほうから順に並べると、下の表のようになる。(クリックすると拡大します。数値は30日付。表は、Seeking Alpha より。)
これをみると、南米やアジアでは、今年に入ってからのETFのリターンがハンパじゃない伸びを見せてる国もあるな。
逆に下位には軒並み欧州の国名が並ぶ。(別に驚かないが。)
すこし、じっくりと、他国の市場についても、勉強せなあかんな・・・と思っている。
こんばんは。
ReplyDelete通りすがりの愛読者です。
住宅価格の下落は日本のバブル崩壊直後を
思い出しますね。
当時、日本人はまたしばらくしたら景気回復するさとどこか楽観的な考えを残していた故に
不動産のデレバレッジングが進まず、最終的にノンバンク、興銀、山一の崩壊という第2次下落クライマックスを迎えました。
アメリカは人口が増えている、といいつつ
問題の本質は目下の存在的な過剰在庫にある訳で、正しく考えるならば人口増加から来る実需の伸び率でどれだけ早く過剰在庫が解消されるのかを示さなければ意味が有りません。
ポジティブな要素を探したが、それしか無かった・・・という印象を受けます。
それと、じわじわと下がる住宅価格と細ってきた取引量の組み合わせは、本能的にいやーな予感がするのは私だけでしょうか?
株式市場でそういったトレンドになったときは、たいていギャップダウンが起こることが多いように思います。
嫌なことは強い印象で記憶されている、という理由の単なる迷信ならばよいのですが。