Tuesday, August 24, 2010

ガイトナーに味方はいるか

8月2日のNYタイムズに、ティム・ガイトナー財務長官の論文『Welcome to the Recovery』が掲載されたのを覚えておられる方もいるだろう。

Welcome to the Recovery
(New York Times, 8/2/10)

『景気回復へようこそ』という明るくアップビートなタイトルとは裏腹に、読む側の気持ちを何故か暗くした、あの論文・・・。

あれ以降、8月に入ってからの米株市場は、こんな有様である。




8月6日に出されてきた雇用統計は市場コンセンサスを大きく下回り、リカバリーどころか、オバマ政権の経済政策が勢いを失ってきているのは明らか。オバマの経済アドバイザーのクリスティン・ローマーもバークレイに送り返されることだし、あの『Welcome to the Recovery』というタイトルは、もしかするとガイトナー長官のエピタフ(墓碑銘)になるのでは・・・、などと野次馬の自分などは無責任なジョーク言ってたんである。

そしたら、今日、共和党のマイノリティ・リーダー、ジョン・ベーナー議員(John Boehner、オハイオ州)が、ガイトナー長官とラリー・サマーズをクビにしろ!とわめきだし、話題になった。

"President Obama should ask for - and accept - the resignations of the remaining members of his economic team, starting with Secretary Geithner and Larry Summers, the head of the National Economic Council
Minority leader Boehner: Fire Obama's economic team (Washington Post, 8/23/10)


オバマが政権をとってから1年半以上過ぎたわけだが、失業率は改善せず、住宅市場と消費の回復という頼みのシナリオも、いまや、ほとんど絶望的になってきている。

今朝(23日)出されてきた米中古住宅販売統計も、市場コンセンサスより【13%も】下ブレした。


上のWaPoの記事から――

Boehner said President Obama's team lacks "real-world, hands-on experience" in creating jobs that are needed for a full economic recovery. The Republican lawmaker cited reports that some senior aides complained of "exhaustion," including the recently departed budget chief Peter Orszag.

ベーナー議員は、完全経済回復に不可欠である職の創出のためには、(オバマ大統領の経済担当チームは)現実世界での実務経験を持ち合わせていないと批判し、最近も予算担当チーフが辞職するなど、シニアクラスの実務担当者たちが「政策に疲弊度がめだつ」と不満をいうようになっていると述べた。


オバマは休暇中のため、バイデン副大統領が代わりに、この政敵の発言について「共和側は自分たちの政策政策というが、彼らが政策と呼んでいるのは、われわれがやろうとしていることにともかくなんでも反対するだけ、そういう政策だ」と反撃。

"Mr. Boehner is nostalgic for those good old days, but Americans are not...We've seen this movie before Mr. Boehner," Biden said. "We've seen it before. And we know how it ends."

バイデン「ベーナー議員は古きよき時代を懐かしがっているだけ。だが米国民はそうじゃない。ベーナー議員が出てくる前にも、それとまったく同じ筋書きの映画を見たよ。そして、その映画がどういう結末を迎えるかも、われわれは知っているんだ。」

民主側はことあるごとにオバマの経済政策にケチつけてるベーナー議員に打撃与えようと、彼を攻撃するCM作って、ネガティブキャンペーン展開中。はっきり言って、共和も民主も、どっちも、どっち。








今年は中間選挙の年ということもあり、景気がなかなか上向かないことへの一般国民のフラストレーションに便乗して、共和・民主のポリティカルバトルが激化するのは予想されていたこと。

とはいえ、共和サイドがそうしてギャーギャー騒ぎだしても、大声あげてガイトナー長官をかばってあげようという声が「民主党の内輪から」も多く聞こえてこないというのが、少々痛い。

さて、ティム・ガイトナーの運命やいかに・・・!

ますます政争盛り上がる中、成り行きを見守ろうではないか。


”What is it, Lassie...is Timmy in trouble?
「どうしたの、ラッシー・・・ティミーが何か災難に遭ってるの?」


そうでした!ティミーには、ラッシーという強い味方がいましたね!!(違

ラッシーはいつだってティミーのともだち

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