Friday, January 15, 2010

今朝の「JPM4Q09決算」ツイッターまとめなど

今朝は早朝からJPモルガンの4Q09四半期決算発表だった。

同社の4Q09決算のプレスリリース全文は、こちら

 
来週は大手金融機関の決算が固まってる週で、他社に先駆けて通常より1週間早めて発表するJPMの決算には、MHJ筆者も非常に注目していた。

 
前回3Q09大手金融機関決算については、以下のMHJ記事に書いたので参照ください。

 

 
前期3Qの決算は、証券部門、とりわけ、FICCの債券トレーディング益およびインベストメントバンキングの引受け手数料がトップラインの牽引役となっており、

「証券市場でのプレゼンスが大きいか小さいかが明暗を分けた」

そういう決算だったと書いた。

ただし、融資やクレジット投資のポートフォリオから発生する償却コストが償却前利益(PPP=Pre-Provision Profit)を圧迫している状況は否定しようがなく、

「バランスシートの劣化が止まらないうちに収益だけがホイホイ改善してゆくなんてことが、ありえるわけないんである。」

とも書いた。

さて、これらのポイントが、今期4Q決算では、各社どう見えてくるのだろうか。

3Qを踏まえ、今回4Q09の大手金融機関決算については、筆者は以下の点に注目していた。

 
1.3Q09まで好決算を維持できた最大の理由は、FICC(債券・為替・コモディティ)部門の好調なトレーディング益だったが、クレジットスプレッドのタイトニングが進む中、4Qもこのトレンドを維持できるか。
 
2.資産内容に進捗はあったか?信用コストのトレンドは?
 
3.イールドカーブがスティープ化して長短金利差が大きくなっているが、これが収益性に及ぼす影響はどの程度?

まだJPM一社しか出てきていないため、詳しい話はまた別途しようと思うが、JPMについてのみ、今朝、プレスリリースが出された直後にツイッターにて筆者なりの【第一印象】をつぶやき続けたので、以下にまとめて残しておく。

15ページのプレスリリースを10分程度でザーと斜め読みして書いた内容なので、後日シッカリ見たら、まちがってるところもあるかもしれんけど。(間違いあれば、後日訂正します。)

 
(Twitterでフォローしてくださってる方は、今朝の自分のつぶやきのまとめですので、以下飛ばしてください。)

   ★   ★   ★

つぶやき#1:JPM Chase 4Q、当期利益$3.3Bn、前年同期比の4倍強。でも、この決算結果は、かなり【曲者】ですな。プレスリリースの数字を今ざーと拾い読みしてみたが、今回の増益に寄与した最大の要因はインベストメントバンキングの粗利が前年4Qのマイナスから今年4Qはプラスに転じたため。

つぶやき#2:JPM続き:ただし、4Q08のインベストメントバンキングの落ち込みが激しかったために大きく転じたようにみえるが、3Q09の粗利と比較すると、3Q=7.5bn から 4Q=4.9bn とトップラインは35%も落ち込んでて、ボトムの数字だけで見えるほど、ハッピーな数字ではない。

つぶやき#3:JP続き2:注目のFICCの債券トレーディング益については(1)トレーディングボリュームの全体的な落ち込み、および(2)トレーディングのスプレッドがプロダクト全般おしなべて縮小したために、大きく減少。FICCのトレーディングでの落ち込みを、IBの手数料収入増で相殺した格好。

つぶやき#4:JPM続き3:JPMのFICC債券トレーディングの4Qの状況はJPMに特異な話じゃないから、同様の減益効果やIBによる相殺効果は、GSやMSにも起こるはず。となると、インベストメントバンキングのランキングでダントツの成績だったGSは、今期決算もかなり好調かもしれないな・・・。

つぶやき#5:JPM続き4:一方の商業銀行部門は、リテール、ホールセール、カード、どのラインも、パッとしない数字が並ぶ。3部門すべてで期中の償却コストが前年同期比で増加しており、信用ポートフォリオの劣化は全然止まってないことが、ありあり。

つぶやき#6:JPM続き5:ジェイミー・ダイモンは先日、最悪期は脱したと言ってたが、たしかに3Q09と比較すると、期中の償却額は【鈍化】してるように見えるけど、飛び上がって喜ぶほど良好な数字が出てきてるわけでもない。特に稼ぎ頭のリテール部門は3Q09と比べ、粗利下がって償却上がる。だめじゃん。

つぶやき#7:JPM続き6:JPMで意外と健闘したのがアセットマネージメント部門だな。インベストメントバンキングの弱さとFICCの減益で証券業務の成績が散々になることが今から予想されるバンカメにとっては、旧メリルのアセットマネージメント部門がどれほど貢献してくれたかキーポイントになりそう。

   ★   ★   ★

ということで、「JPMの4Q09当期利益、前年同期比で4倍強」というニュース見出しだけ見ると、ポジティブだったと思われるだろうが、実際のところ、かなり厳しい決算結果だった、というほうが妥当である。

CEOダイモンも、「まだまだ予断を許さぬ」と慎重姿勢を崩さず、『ボトムが4倍』という部分だけ見てぬか喜びしそうな投資家を抑えつけた。

だいたいですね、去年の4Qといったら、リーマンショック直後でしょ。それと比較してボトムが悪かったら、「あんたら一体、何やってたのさ!」と顔面往復ビンタですよ。アウトライアー(Outlier)の極みだった去年の4Qと比較して、収益がよかっただの悪かっただの、そういう議論自体が完全に無意味である。

そのうち、別のポストでも説明したいと思うが、「Provision for Loan Losses(貸倒引当金)」について、最後に述べておきたい。

貸倒引当金、というのは、Expected Loss、すなわち、銀行がオペレーションやっていく上で、将来発生するであろう、とあらかじめ【予想できる額】を計量的にはじき出して引き当てておく、そういう性格のアイテムなんであります。

JPMは、今期も引当金をかなり積み増して、累積されたProvisionは融資全体の5.5%、と言った。

これは結構重要な数字ですな。5.5%って、過去の実績からみるとすごく高い数値だもん。

JPMが積み増した、ということは、「JPMは将来それだけの損失が発生すると見込んでいる」という意味である。

バランスシート上の融資残高自体は減少傾向にある。だが、今期も引当金の積み増しが必要となった。

これは、融資のポートフォリオの劣化は安定と呼ぶにはまだ遠く、現在も劣化進行中、という意味に他ならない。

マクロ要因から劣化が継続していることがわかっているのに、ドンドコ新規の貸し出しやローンの書き換えに励むようなアホな銀行などいやしない。損失膨らむのを承知で進んでやるバカがどこにいる。JPMですら、引当残高が全融資残高の5.5%もあっても、まだ慎重姿勢を崩すことができない、それが現実。

バーニー・フランクみたいなポピュリストの政治家は、「銀行が積極的に貸し出さないのはヤル気がないからだ」とかわめいてるけれど、政府が進めようとしているLoan Modificationプログラムに、どの銀行も及び腰なのは、当たり前。

(インプリケーション)
ファニーとフレディとFHAのみなさん、まだまだ出番は増えますよ~!!




★ ランキングに参加してます。よろしければ投票クリックお願いします。★
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 アメリカ経済
人気ブログランキングへ

No comments:

Post a Comment