Monday, April 11, 2011

ニューヨークのホームレスの数、過去最高

あまり、嬉しくない記事。

(Reuters, 4/11/11)

経済不況に加え、市の予算カットのあおりで、ニューヨーク市のホームレスの数が増加。ホームレス減少を目指すNPO、Coalition for the Homelessの報告書で明らかになった。

2010年度に市が提供するシェルターで夜を過ごした人の数は11万3553人で、前年比9%増、ブルームバーグが市長職に就いた2002年対比では39%増。(ただし、この数字は、利用総回数ではなく、一度でもシェルターで過ごしたことがある人をひとりと数えた数値。一人が何度も利用することもありなので、11万人が少ないと感じないように注意。自治体の年度は7月1日から。)


(グラフ出所:Coalition for the Homeless)


さらに胸が痛くなるのは、2010年度の数字には、子供が43000人も含まれており、前年比9%増。そんなに多くの子供が、毎晩のように親に手を引かれシェルターの入り口に並び、もしそのシェルターが満杯でその晩入れてもらえなかったら、別のシェルターに向かわなくてはならない。毎晩自分がどこに泊まるのかもわからないようでは、学校に通い続けることも難しい。シェルターはその日しか泊めてもらえない。一晩に、1万5千人以上の子供が順番待ちする、というのだ。

Coalition for the Homelessは、この報告書の中で、NY市のホームレス増加の主因はブルームバーグ市長の政策失敗と厳しく非難。

それに対しNY市の側は、市は努力をしていて、今年度はやや低減していると反論。

下のビデオは、この問題を取り上げたABCニュースのクリップ。





NYもようやく春めいてきたものの、去年の暮れに猛吹雪に襲われたNYではその後も連日マイナス10℃以下の日が続いたりして、今回の冬は実に長くて辛い冬だったと誰もが感じているところだ。

ロイター記事によると、今年2月のある厳寒の夜などは、一晩で4万人がシェルターの門を叩いたという。この数字も史上最高らしい。

筆者も毎日わんこを連れて自宅付近をブラブラ歩くのが日課だが、ホームレスの数は実際増えたという実感がある。公園のベンチに横たわっている人や、あきらかに精神を患ってウロウロしている浮浪者が目だって増えた。冷え冷えとする夜に、誰もいない公園脇のベンチに、そっとスープや服を置いてゆくひとの姿を見かけたことは、一度や二度ではない。朝同じ場所を再び通りかかると、スープはなくなっている。

米国経済は回復の一途という声が市場ではあちこちから聞こえるけれども、社会の底辺の実態は、ウォール街のエコノミストやアナリストの描く絵とはまた違う重たいリアリティを持って、こうして、せまってくる。



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