Monday, November 15, 2010

今年のホリデーショッピング動向2

昨日の記事の続き。

月曜の朝を迎え、10月の小売統計が出されてきた。

10月米小売売上高は予想上回る、7カ月ぶり大幅な伸び (ロイター、11/15/10)

[ワシントン 15日 ロイター] 米商務省が15日発表した10月の小売売上高統計は、総売上高が前月比1.2%増と市場予想の0.7%増を上回った。4カ月連続で増加し、7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。

自動車を除く売上高は前月比0.4%増で予想と一致。前月の0.5%増からはやや伸びが鈍化した。

自動車・ガソリン・建設資材を除くコア売上高は0.2%増。前月は0.4%増だった。

同統計を受けて、年末商戦や夏以来回復が減速していた経済全般への期待が強まった。

昨日のエントリーにも書いたが、小売に関しては、どうやらこのままクリスマスまで突っ走れそうな雰囲気なんである。オンラインショッピングの方も、けっこう元気(例:Fedex、鼻息荒いw)。

そして、昨日のエントリーに関連して、今日、もうひとつ目に留まった記事はこちら。

Amazon shares weighed down by rivals' free shipping (Reuters, 11/15/10)

昨日のMHJで、「全米小売最大手のウォルマートが、ホリデーシーズンの間送料無料キャンペーンで、アマゾンに殴りこみかけた」と書きましたが、今朝は、案の定、そのニュースに反応してアマゾン株が下げ。後場になってさらに下げ足加速、ナスダック全体の足かせとなった。

今週は小売り関連の数字がさらにいくつか続く予定なので、注目したいですな。


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昨日のエントリー最後にあげたポイント3つのうち、(1)と(2)に関しては、こんな感じである。

で、3つ目の「目玉は$500以下の家電」というやつですが。

週末、犬と散歩しながらブルームバーグラジオを聴いてたところ、番組のゲスト(最後までこのゲストが誰だったのかわからずじまいだったのだが、小売業に深く関わっているエグゼクティブ風)が、こんなことを言って印象に残った。

「アメリカの消費者は、去年はできるだけお金を使わないようにしてジーと殻の中に篭っていた(cocooned in)けど、いいかげん我慢するのが嫌になってきていて、またお金を使いたくなり始めている。でも、経済の先行きはまだ不安なので、いまどきの消費行動は【Frugality】(質素・倹約)がトレンドだ。」

去年のキーワードは「欲しがりません、勝つまでは!」だったんだが、今年のそれは「殻から出よう、質素にキメよう。」というわけだ。(笑)

このゲストはこうも続けた。

「多くの消費者の財布の紐は相変わらず硬いけれど、(ずっと我慢してた反動もあって)ちまたでウワサになってるもの、楽しいと評判のもの、そういう一部の商品には足踏みせずにピョン!と飛びつく傾向も見て取れる。たとえば、iPadとか電子書籍リーダーとかね。」


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(その1)電子書籍リーダー市場は、この年末が節目になる!

で、その「iPadとか、電子書籍リーダーとか」なのだが、ウォルマートや家電大手ベストバイなどが、今年の年末商戦では相当チカラ入れて売ろうとしている商品でもある。

アマゾンなどは、同サイトで買った商品の支払いに、アメリカン・エクスプレスのクレジットカードポイントを用いることができるプログラムを立ち上げ、「Amexのポイントでも、キンドル買えるよ!」と宣伝している。

大手書籍ライバル、バーンズ&ノーブルなども、店内に『Nook専用コーナー』を作り、リーダー販売に余念がない。

これについて、14日のNYタイムズは、$150以下で買えるe-reader(電子書籍リーダー)は、今年の年末商戦で、(商品としての)【重要な節目(tipping-point)】を迎えるだろう、と書いている。

Great Holiday Expectations for E-Readers (New York Times, 11/14/10)


“Last year, when you think of the e-reader category, it was Nook and Kindle and Sony, but primarily Nook and Kindle if you look at the sales,” said William Lynch, chief executive of Barnes & Noble. “The difference this year is, there’s a whole lot more choice.”

(「去年、e-リーダーのカテゴリーと言えば、ヌック(Nook)かキンドルかソニーぐらいしかなくて、セールを見ると、基本的にはヌックとキンドルがほとんどだった。でも今年は違う。ものすごく多くの種類のe-リーダーが店頭に並んでいる。」バーンズ&ノーブルのCEO、ウィリアム・リンチはそう述べた。)

これまでなら、お母さんにはハードカバーの本をプレゼントしていたけれど、今年のプレゼントはe-リーダーにお母さんの好きそうな本をダウンロードしておいて、ラッピングして・・・。

小売店のそんな期待がまかり通る、今日このごろ。(笑)


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(その2)タブレット市場は、アップル依然として強し!

一方、昨年のクリスマスには「安価な小型ノートブック」として注目されてたネットブックのほうは、今年はiPadや他社タブレットに押されて、どうも盛り上がっていない雰囲気だ。

先日、某ネットサイトで「ネットブック市場を痛めつけるタブレットの需要」という調査記事を読んだので、MHJでも紹介したい。

Tablet Demand Hurting Netbook Market (Investor Place、11/2/10)

ChangeWave社が3108人の消費者を対象に、10月中に、「向こう3ヶ月以内に買うとしたら、どんなコンピュータが欲しいですか」という聞き取りをした結果である。(以下画像は記事より)

「向こう90日中にデスクトップを買う予定はありますか?」という質問には6%があると答え、8月の同調査時より1%上昇。一方「ラップトップを買う予定は?」という質問には8%があると答え、これは8月から変化なし。

ところが、「ネットブック購入予定」については、14%があると答えたが、昨年夏のピーク(24%)より10%も減少した。(参照:グラフ1/ネットブック需要)


グラフ1


ネットブック需要減少の背景にはリセッション終了という景気要因のほかに、タブレット型のコンピュータ、特にアップルのiPadの浸透が見て取れる。年末にかけての需要については、iPadに対する需要にモメンタムがついてきているのも、見て取れる。

重要なのは、現在iPadを所有しているひとのうち、およそ4分の3(73%)が「とても満足している」と答え、23%が「幾分満足している」と答えている、という点。(参照:グラフ2/iPad満足度)

グラフ2



将来の需要トレンド予測としては、いまだにiPadがダントツぽい。調査対象の26%が「将来タブレットを買う予定だ」と答えたが、うち80%がアップルのiPadを買いたいと答えた。(参照:グラフ3/買うとしたら、どのタブレットを買うか、ひとつだけ選択)

グラフ3


今年の7月~9月におけるタブレット市場でのアップルiPadのマーケットシェアが95%というロイター記事があって、筆者は「95%って、すごくね?」とたまげていたのだが、上の調査を見ても、10~12月も、やはりiPadのマーケットシェアは揺ぎ無い強さなのであろうな・・・と改めて思ったわけ。

しかし、それにしても、4人にひとりの消費者がタブレット欲しいと考えていて、うち8割がアップルというのは、やっぱり、すげー・・・と思わざるを得ない。

ちまたでは、iPadはピークを超えたとか言うひともいるらしいけど、この数字を見る限りでは、まだまだ人気は衰えてはいないよう。

うーむ・・・キンドルにしようか、iPadにしようか、それとも、お掃除ルンバにしようか・・・筆者にとっても悩ましいところ。

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