Friday, April 24, 2009

ワースト・イズ・オーバー・・・ほんとか?

The Worst is Over.(最悪期は脱した。)だそうです。

ほんとか?

NY株市場、今日もハイテク・金融、ともに底堅く、ニュースの見出しだけ見ている分には楽観的な雰囲気で一杯である。数週間連続株価続伸ですからね。ウキウキ組じゃなくても、なんとなく、明るくなるのが人情というもの。

メジャーなニュースサイト開けると、目に飛び込んでくるのは、

  『最悪期は脱した』とか 
  『回復の兆し』とか
  『ボトムは近い』とか

キラキラ明るい見出しが目立つ。


  "CBI Says Worst of British Recession Over" (Reuters)  
  (CBI英国産業連盟、リセッションは最悪期を脱したと見解/ロイター)

  "China's Premier Says Economy Better than Expected" (Associated Press)
  (中国首相、経済は予想よりも良好との発言/AP)

  "Dubai's Ruler Says the Worst Is Over" (Financial Times)  
  (ドバイの指導者、最悪期は脱したと述べる/フィナンシャルタイムズ)

  "U.S. Officials Suggest Worst of Recession Is Over" (Reuters)  
  (米国のオフィシャル、リセッションは最悪期を脱したとの言/ロイター)

  "Italy Employers See Signs Worst Over in Crisis" (Reuters)   
  (イタリアの企業経営者達は危機の最悪期を脱した兆候を察する/ロイター)

  "Worst Over? Just Maybe" (Associated Press)  
  (最悪期は終了?まだ「多分」の段階/AP)

  "'Worst Is Over; India to Be on Recovery Path in 2-3 Quarters'" (Business Line)  
  (最悪期は脱した:インド経済は第2から第3四半期に回復の予想/ビジネスライン)

  "US Hopes the Worst Is Over" (The National)  
  (最悪期終了の期待高まる米国/ザ・ナショナル誌)


なかなかウキウキしない「ウジウジ組」に所属する筆者も、ここまでワーストイズオーバーを連呼されると、さすがに、ふと不安になり

「ベアなわたしが馬鹿なのか・・・」

と自問してしまうほどであった。

だが、筆者には強い味方がいた。

『Financial Armageddon』というブログサイトである。(注:上の見出し群も、ここの4月20日付けのサイト記事より拝借。)


この『フィナンシャル・アルマゲドン』というサイト、ちまたに氾濫する【The Worst is Over】の見出しに対抗し

「どこかで聞いたことあるような・・・あっ、思い出した!」

といって、リーマンショック以前の記事見出しのコレクションを、合わせて掲載してくれました。

  "Lehman CEO Says Worst Is Over, Yet Troubles Ahead" (Reuters, 4/18/08)
  (リーマンブラザーズのCEO、最悪期は脱したがトラブルは続くと発言/ロイター、08年4月18日)

  "Bear Stearns Says Worst Is Over After Writedown" (CNBC, 11/14/07)
  (ベアスターンズ、不良資産償却で最悪期は脱した/CNBC,07年11月14日)

  "Citigroup Chief Says Worst of Crisis Is Over" (Evening Standard, May 7, 2008)
  (シティグループ会長、最悪期は脱したと発言/イブニング・スタンダード、08年5月7日)

  "Legg Mason's Miller Sees Recovery for Stocks; 'Worst Is Behind Us,' Famed Fund Manager Tells Beleaguered Shareholders" (MarketWatch, April 23, 2008)
  (レッグ・メイソンのミラー氏、株価回復に期待:著名ファンドマネージャー「最悪期は過去のもの」と不安がる株主達に語る/マーケットウォッチ、08年4月23日)

  "Is the Worst Over for Detroit?" (SmartMoney, July 18, 2005)
  (デトロイトから最悪期は去ったか?/スマートマネー、05年7月18日)


・・・わろうた。

『フィナンシャル・アルマゲドン』よ、わたしの脳裏に1ミリほど芽生え始めた一抹の不安を払拭してくれて、ありがとう!ありがとう!!

教訓:新聞見出しで市場を判断するなかれ。

日頃、Murray Hill Journalを読んで下さっている皆様、筆者と共にウジウジしている読者の皆様、メディアの心理作戦に負けるな!まだまだくじけるのは早い、ともにウジウジし続けよう!(笑)

   ★   ★   ★

いや、真面目な話、ずっとブルサインが続いていたS&P500インデックスにも、今日ついに、ベアサインが出たとのことである。

3月9日からずっとポジティブ圏で動いてきたMACDが、本日(4月24日)、ついにネガティブ圏に!





MACDとは、テクニカルアナリストがよく使う、ブルとベアのシグナルを示すチャートの一種。

Moving Average Convergence / Divergence の略だが、このMACDがポジティブに出るとブル派優勢、ネガティブに出るとベア派優勢で、MACDがゼロより下に来ると、株価は下降トレンドに入っているというサインになる。

※ この日本語サイト(↓)がMACDについて上手にまとめてくれてます。
http://www.kabu-beginner.com/k140090.shtml

前回のMHJ記事では、S&P500に含まれる株式の90%が50日間移動平均を超えて取引されてる、ということも書きましたが、MACDも。いよいよ下降トレンドか・・・。


   ★   ★   ★


今日(金曜日)のニューヨーク市場は、銀行のストレステストの“デザイン(やり方)”について連銀から詳細が出されてくる、というんで、みな朝から固唾を呑んで待ってたんだが、連銀が出したホワイトペーパーには、別に内容的に目新しいものはなく、ハッキリ言って不透明感は何も払拭されなかった。(ホワイトペーパーを読みたいという物好きな人は、こちらへ。)

それでも、金融株は強かったな。「明るいメディア見出し効果」なのか。

あるいは、新聞の見出しを読んだ【ビギナー後発組】が、いまごろその気になって、買いに入ってきてるのかしら。

しかし、安心するのは、まだ早い。ウジウジ。

そんな中で、誰より安心してダラケまくってるのが、このお方である。

オバマの経済アドバイザー、ラリー・サマーズ。

昨日(23日)、ホワイトハウスでは、またまた銀行の経営者達を集め、オバマが懇談会を開き「クレジットカードの金利を上げてるそうじゃないか、上げるのやめろ」と銀行にプレッシャーかけた。そこに同席したサマーズったら、グースカ居眠りしてやんの。

ほらほら、サマーズさん、誰かに写されてますよ。(笑)



春眠暁を覚えず。

まさか、サマーズも「Worst is Over」と思ってるのだろうか。



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