Wednesday, December 3, 2008

30年物住宅モルゲージ5.47%に低下、住宅市場快復の兆し?

先週のFRB(米連銀)の発表 ― 準政府系金融機関(GSE)が発行する債券とMBSをそれぞれ$100Billion と $500Billion、合計6000億ドルを“直接”買い取る意思 ― を受けて、米国の住宅モルゲージローン金利が一気に低下した。



モルゲージ・バンカーズ協会(MBA)によると、FRBの発表直後から、固定・期間30年が前週の5.99%から先週は5.47%に、固定・期間15年が5.78%から5.18%に、それぞれ50bps以上もドロップした、という。



30年固定が5.47%は、たしかに、いい金利であります。米国の住宅ローンは、固定30年ものは6%切ると一般に安い、と感じるからね。



FRBの政策が金利をガンと下げ、金利がガンと下がったおかげで、住宅ローンへの申し込みが活発化、前週より112%(季節調整後)も跳ね上がった。

http://www.marketwatch.com/news/story/big-rate-drop-sends-mortgage/story.aspx?guid=%7BABF1DD99%2D9E4D%2D4F47%2D94EE%2D7E0956A6FE64%7D&dist=TNMostRead



どの金融機関も申込者への審査を厳しくしてるから、112%増のアプリケーションがそのまま住宅ローン発行残高を持ち上げる、という意味にはならないのはもちろんだけど、「住宅投資をあきらめたひとばかりじゃない」ってことで、ちょっと幸せな気持ちにしてくれる(笑)ニュースだな。



で、米株市場も、このニュースで幸せになって、今日のダウの終値は前日比172ポイント上昇した。









幸せなときは、幸せな発言をするひとも増える。今日のこの他のハッピーニュースは、「米国の住宅価格は下がり続けているが、長期ファンダメンタルズから判断すると、3.8%アンダーバリュー」と言い出してるエコノミストがいるみたいだし、
http://www.marketwatch.com/news/story/home-prices-now-undervalued-economists/story.aspx?guid=%7BE5CF55AB%2D4E86%2D4D86%2DB888%2D4EAFF46B4B97%7D&dist=TNMostRead

今日、ブルーグバーグラジオを聞いてたら、やっぱり、どこかのエコノミストだかアナリストが、「雇用統計はたしかにドン引きするぐらいひどいけど、雇用統計ってのは、Lagging Indicators で、Leading Indicator じゃないんだし、そろそろNY株価の底はできてきている、連日ボラティリティがものすごいのも、その証拠だ、などと言ってた。(ロイターの記事にこんなのhttp://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnJS829459820081203 が載ってたけど、わたしがラジオで聞いたひとが同一人物かは知らない。)

これらがその通りなら、株はいよいよ「買い時」ですかな。



でも。でも、である。



クレジット市場はまだ、本調子じゃないんだよなー。上述したモルゲージ金利低下の恩恵がしばらく継続することが重要だ。 



Flight to Quality(質への逃避)が続いているせいで米国債の一人勝ちだってのは数日前にもこのブログに書いたけど、企業債のスプレッドはまだタイトニングのトレンドが固まったとはいえないし。



クレジットスプレッドが全般に継続的にタイトニング・トレンドを描く、という手ごたえを感じるようになってきたら、自信を持って株を買おう。



株式サイドってのは、いつも「幸せを追い求める市場」。ここが一時的に幸せを感じて上昇しても、一時的で終わる可能性は常に高い。金融危機でクレジット市場がぶっ飛んだままだと、「株価の底」は見せかけに終わる可能性あるから。(これは、90年代終盤から2000年代初めにかけての日本市場が実際そうだったからね。)



わたしがいちばん注目してるのは、Citi の救済案で実行に移したプランを、あといくつ、他の金融機関にあてはめて処理するんだろう、ということです。



Citiの救済プランは、Citiにとっては、Good Deal なんてもんじゃない。最終処理コストは額面の20%で済むんだからね。残りのロスはみーんな国につけるんだから。プットオプションだーい!(詳細は別途書くつもり。)



Toxic Assets の売却損に20%のフロアつけられるなら、政府への不良資産売却は他行でもきっと進捗する。そうすれば、他の大手金融機関も売却を始められるだろうし、かなりの自己資本がフリーアップされるから、クレジットの再拡大も夢物語じゃなくなるもんな・・・・。不良資産がB/Sに現物で乗っかったままだと、信用拡大しろといわれたって、銀行だって、できないじゃん。



でも、こういう自己資本とクレジット拡大のリレーションシップなどが全然理解できないひとたち(代表者=マイケル・ムーア)が、マスコミに登場して、Citiは救済するのにGM救済しないのは変!とか、わめくんだよなぁ。マイケル・ムーア、今日もMSNBCのキース・オルバーマンの番組に出演して吼えてたけど、このひとって、毎度のことだけど、ウザイったらない。

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